さらに複雑化するユーザージャーニーに対し、大量のデータポイントを処理して活用するための有効なツールも存在している。ここではCRO(コンバージョン率最適化)施策を向上させる方法を紹介しよう。

 

目が回るほど多くのマーケティング用語に溢れている現状では、「本当にCROについて知る必要はあるのか?」と疑問に思うかもしれない。

しかし、ここではCROについて知ることが非常に重要であると強調したい。それも、今すぐに知る必要がある。少しでも簡単に理解できるように、「CRO」を正式な名称「コンバージョン率最適化」と表記してみよう。コンバージョン率最適化とは、「購入」や「申し込み」といった、サイトの目的を達成する訪問者の数を増加させることである。最良のディスプレイ広告キャンペーンを実行するための全てのアドバイスを提供しても、有料サーチ広告施策を改善するためにできる限りの自動化を実装した(実際に多くのマーケターが実行しているだろう)サイトが一定水準を満たしていなければ、更なるトラフィックを生み出しても意味がない。ウェブサイト自体がユーザーの期待に応えられていない場合や、ユーザーにとって魅力的でない場合、サイト訪問までに表示した連続的な広告メッセージがどれほど素晴らしいものであっても、訪問者はサイトを離れてしまうことになり、再度戻ってくる可能性は低いだろう。

 

コンバージョン率の最適化(ここからは、CROと記載する)は、現在さらに多くのマーケティング担当者が取り入れている「フルファネル戦略」の一環である。マーケティングファネルは、行動パターンやトレンドをよく表しているが、デジタルマーケティング担当者は、潜在顧客の日常生活における思考や気晴らしをより深く掘り下げる必要がある。一般的な買い物客は、デスクトップでネットブラウジングを始め、お茶を飲むために休憩し、そのあとモバイルで検索を続け、外出先で接続ができなくなると、同じ日の遅い時間に閲覧していたページを再度訪問しているかもしれない。ユーザージャーニーは複雑になっているが、有効なツールを使用すれば、大量のデータポイントを処理し活用することも可能である。

 

これらの情報を活用するためには、取得したデータをどのように解釈し、利用すれば、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができるかを理解する必要がある。

 

 

 

CROはビジネスにどのように役立つのか?

CRO施策を向上させるために、重要な3つの領域:

1.獲得効率

CROのポジティブな影響は、複数チャネルが円滑に融合し有料メディア施策の効率を向上させ、CPA(広告コスト。Cost Per Acquisition)を減少させ、競合他社からリードすることにつながる。既存のトラフィックを最大限に活用することは、投資対効果(ROI)を最大化しながら、売上と収益を増加させるコスト効率の高い方法である。

 

2.収益の成長とリテンション

全ては、自転車競技におけるデイブ・ブレイルスフォード氏の輝かしい功績「わずかな改善の積み重ね」に立ち返ることができるだろう。サイトジャーニーの各段階のチャネル、デバイス、訪問者のタイプ別における、たった1%ずつの改善であったとしても、積み重ねれば売上と収益の両面で著しい向上となる。また、魅力あるサイトエクスペリエンスを提供すれば、ユーザーを自社ウェブサイトに再度訪問させることができ、リテンションという観点からもさらなる成長が見込めるのだ。

 

3.カスタマーインサイト

CROを行うことにより、自社のマーケティング活動とその有効性について総合的な見識を得ることができる。そして、さまざまなデータポイントを組み合わせてビジネスとオーディエンスについての知識を広げることも可能である。この種の厳密な「実験と学習」プログラムを通じて、有償のトラフィックを誘導するための最適なランディングページを見極め、オーディエンスが最も共鳴するコンテンツを理解し、そうして習得した見識をサイトの他の領域に応用することができるのだ。

 

どのような改善点が存在するか?

マーケティング担当者の多くが目を背けがちな大きな問題の1つは、サイトスピードである。Googleはモバイルサイトのサイトスピードについて警告し続けているが、テクノロジーに精通した企業でさえ聞こえないふりをしているようにも思える。サイト訪問者のネットブラウジングは、主に、デスクトップ使用からモバイル使用へ変化しており、サイト運営者もこれらのニーズに適応する必要があるだろう。

 

自社サイトの検索ランキングはどのように変化しているのか。自社サイトと複数の競合他社サイトについて、Googleモバイル速度テストを行い、その結果の収益への影響を算出してみるべきである。

 

次の事例も考慮すべきである。モバイルページの読み込み時間が1秒遅くなると、コンバージョンは最大で20%の影響を受けるとされる。ランディングページの作成のための全ての努力と、トラフィック獲得に費やした全費用が、ページの読み込み時間という最初のハードルで無意味なものになってしまうのである。サイトがモバイルフレンドリーでない場合は、ページビュー数や顧客満足度が大幅に低下し、訪問者がサイトを離脱する可能性は5倍増加すると言われている。

 

表示スピードを加速させるために今できることは何か。それは、画像を最適化することから始めるのが適切である。多くの場合、ページのダウンロードバイトのほとんどを画像が占めている。画像を適切なフォーマットで圧縮することにより、画像のバイト数を大幅に落とすことができ、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させることが可能である。Googleは、画像圧縮ツールSquooshといった新しいソリューションを提供している。サイトスピードを改善し、訪問者をサポートすることは、如何なる理由であれ必要なのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の12/10公開の記事を翻訳・補足したものです。