ブラックフライデーとサイバーマンデーに向けて小売事業者は何をするべきか | 海外ニュース | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2018/10/26

ブラックフライデーとサイバーマンデーに向けて小売事業者は何をするべきか

2018年のホリデーシーズンに備える小売業者にとって、この記事は手助けにならないかもしれない。というのは冗談であるが、eコマースにおいて習得すべき最低限の、そして標準的なチェックリストといえば、負荷テストや在庫管理、モバイルサイトの最適化、セキュリティコンプライアンス、有料広告、Eメールドリップキャンペーン(自動送信されるマーケティングメール)、ソーシャルメディアキャンペーン、そして顧客サポートなどが挙げられるだろう。

しかし、今年のホリデーシーズン、そして来年のサイバーマンデーはもちろん、今後のホリデーシーズンにおいてまず何から始めたらよいか。ここでは、時間をかけてコマースインフラについて詳しく考えていくことにする。

 

いわゆる“超目玉商品”は、ブラックフライデーの週末において重要な戦略だと一般的には考えられるかもしれない。しかし長期的な成功を望むなら、新しい機能やプロモーション以上のものを考える必要がある。eコマースの世界(そしてコマース全体)は、急速に、そして加速的なペースで動いているが、その中でまず、そのコマースプラットフォームが将来的にあなたの店を背負い続けることができる器があるのかどうかを確認する必要がある。

そのプラットフォームは必要なものを十分備えているだろうか。たとえそうではなくても、焦らないでほしい。以下に、将来的な準備に役立つ、開発、国際化、チャネルおよびデータに関する4つの見識を挙げていく。

 

1.柔軟性を持つ継続的な改善

Amazonのプラットフォーム分析ディレクターJon Jenkins氏は「我が開発チームは、平均11.6秒に1回新しいコードを制作し、展開した」と2011年のVelocity Conferenceで語った。わかりやすく言うと、Amazonは新しい機能を構築し、既存の機能を更新し、A/Bテストを行い、バグを修正することで、製品と顧客体験全般を徐々に向上させてきたということだ。こうしてAmazonは驚異的な業績をあげてきた。

将来のために準備しているならば、開発のための「技術ファースト」のアプローチを組織がサポートしているかどうか確認したい。少量のコードを頻繁に統合することで、「継続的インテグレーション」(ソフトウェア開発の方法)となり、開発チームはより良いコードを作成し、生産性を高め、より早く出荷することができるので、結果として顧客体験の要求に素早く対応することが可能になる。

また、ソフトウェア開発のもう一つの手法「継続的デリバリー」(または比較的規模が小さな継続的な配信)によって、チームは構築、テスト、反映を自動化できるので、ソフトウェアは短期間でリリースされ続け、増分更新が可能となる。

小規模に、そして頻繁に更新することで、柔軟性が保たれるだけでなく、サイト全体を閉鎖せずに大規模な更新が可能になる。ちなみに最近、大手小売業者から「11月は更新のため一時サイトを閉鎖します」というEメールを受け取った…。

インフラとソフトウェアをクラッシュしないよう変更できる確証がないせいで、ホリデーシーズン前の2か月間(ちなみにそれは1年の16%にあたる)、サイトを一部閉鎖しているとしたら、その業者は日々遅れを取っていることになる。“Amazon効果”は本物だ。

 

2.国際化による新市場への参入

国際市場向けにサイトを最適化するということは、ただ単に通貨換算機能を付加したり、国際配送オプションを用意したりするという意味だけではない。つまり、eコマースのコンテンツをパーソナライズし、ターゲット製品を定義し、販売戦略を特定の地域市場に合わせるということだ。

あなたが新しい市場を開拓しようとしている衣料品小売業者だとしたら、まず、戦略的に販売していく商品を厳選したいと考えるだろう。さらに、あらゆる地域の多くの人々の心に響くメッセージを発信しなければならない。カジュアルなニュアンスが適しているのか、またフォーマルな書き方を守り通すべきか。

米国の日当たりのよい郊外に住む買い物客と、英国の雨の多い都市に住む買い物客とではニーズはまったく異なるということも覚えておきたい。地域差だけではない。国際化するにあたっては、中国の「独身の日」のように市場毎のイベントに合わせた新しいプロモーションを考えなければならない。また、モバイルデバイスが商品閲覧に主要な国なのか、オフラインの買い物客が多い地域なのか、などといった各地域の状況に合わせる必要があるということだ。

新しい市場は、新しい販売戦略をもたらす。小売業者は、自社のコマースプラットフォームがさまざまな為替相場や税制(例えば付加価値税)に適しているかどうかも確かめたいだろう。そしてコンバージョンをどう解釈するか、状況に合わせて臨機応変に対応したいとも考えるだろう。配送については国際配送のための適切なルールを設定し、買い物客が思いがけず高い配送コストを負担することにならないよう配慮するべきだ。

eコマースは商取引であり、商取引はグローバルだ。国際的なニーズを受け入れ、尊重し、サポートすることができなければ、コンバージョン率は低下する。これにAmazonは対応している。幸運なことに、国際化をサポートする技術を持つコマースプラットフォームがある。次回の大ヒットやセールを見て見ぬふりをする小売業者は、これらを確認する意味があるだろう。

 

3.オムニチャネルは買い物客の実際の購入状況を反映

”オムニチャネル”は、今やちょっとしたバズワードになっているが、これが商業的に広く議論されるのには理由がある。賢い買い物客は、もはや1か所だけで買い物をしない。今ではカスタマージャーニーは実店舗から始まり、モバイルアプリでマーケットプレイスサイトを訪問し、デスクトップで買い物を完了する、というような複数のタッチポイントがあると考えられている。

そのため、小売業者は買い物客にとって可能な限りシームレスな体験を提供することが不可欠であり、チャネルの奔流を継続していくうちに、一貫したとびきりのブランド体験を可能にするのだ。

残念なことに、多くの小売業者はこの“シームレスな体験”を提供することに苦戦している。多くの場合、在庫用でも顧客データ用でもなく、またトラフィック用、ユーザーエクスペリエンスもしくはマーケティングメトリクスでもない、信頼できる唯一の情報源がデータ上にないためだ。

Amazonマーケットプレイスの店舗や実店舗などとデータを共有しないオンラインショップがあるとする。例えばそのオンラインショップがサイバーマンデーにシャツの在庫がなくなったとすると、もうそのシャツは販売できない。一方、5マイル離れた実店舗に多くの在庫があれば、出荷することができるのだ。

オムニチャネルはカスタマイズが必要だ。新しいロイヤルティプログラム、モバイルPOS、または店舗引き渡しのような新しいフルフィルメントオプションを用意するといった柔軟なインフラが必要となる。そうすれば、小売業者は全チャネルのデータの全体論的視野で把握することができる。注文、出荷、コンバージョン毎に集中的に監視し管理するための場所を持つことが、どれほどすばらしいことか想像してみてほしい。

 

4.リアルタイムデータがすべて

はっきり言おう。データが店舗で起きていることとリアルタイムに結びついていないなら、それは“でたらめ”だ。

サイバーマンデーのような一大ショッピングイベントに関して言えば、時は一刻を争う。大量のトラフィックや販売、サポートの問合せが殺到したとき、秒刻みですべてをきちんと把握しておかなければならないのだ。夜間になって初めて在庫処理をするようなシステムだとしたら、こうした比較的簡単な機能でさえ絶望的に不出来と言えよう。

「アルゴリズムリアルタイムデータ」を使用することで、小売業者はプロモーションを進める上ですぐに傾向をつかむことができる。行動を予測するために、それらの傾向を参考にしながらすばらしい買い物体験を提供するためのタイムリーな決定ができる。その結果、より大きなコンバージョンをもたらすことができるのだ。

ある製品が他と比べてコンバージョン率が低かったとしたら?-価格を調整しよう。コンバージョンが全くない?-購入手続きのCTA(行動喚起)に問題があるかもしれない。このようなリアルタイムの解決策は、静的モデルではとうてい不可能だろう。

では、小売業者はリアルタイムデータをどう使うのか。それは再びインフラの話に戻る。インフラが、データを保持し分析できるイベント駆動型(利用者などが引き起こすできごとに対応して処理をする方式)かということを確認する必要がある。リアルタイムで多くのタイプのデータスキーマを扱うドキュメント指向のデータベースMongoDBのようなNoSQL(関係データベース管理システム以外のデータベース管理システムを指すおおまかな分類語。Not only SQL)データベースを調べることを検討するべきだ。

 

もちろん、今年のホリデーシーズンを乗り切るために必要なことをして欲しいというのが筆者の結論だ。まずは、重要な手持ちのアイテムをすべてチェックすること。そして困難に備えよう!そして、今年のホリデーシーズンの熱狂が収まったところで、長期的な目標について考えたい。

その際は、まず開発プロセスを再考するべきだ。柔軟で、継続的な改善が可能かどうかを確認してほしい。そして新しい国際市場へ参入するのだ。買い物客の実際の購入方法を反映させ、データの信頼できる唯一の情報源を確立する。最後は、顧客とリアルタイムの対話を常に維持することである。

 

2019年のホリデーシーズンが、想像以上の成功をもたらすことを筆者は望んでいる。そして、繁忙期が終わったとき、一度深呼吸をして、どのような経緯だったかを振り返り、自身に問いかけて欲しい。このコマースインフラは、2019年の市場をどこへ導くのだろうか。5年後は?10年後は?向かう方向が気に入らなければ、コース修正を始めるのに最適なタイミングと言えよう。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の10/19公開の記事を翻訳・補足したものです。