英国では、電車での通勤時間が長い。昨年29億ユーロに達した電車通勤時に購入されるeコマースの売上は、2022年までに75%増、52億ユーロに達すると予測されている。

これは、電車内広告を扱う広告代理店KBH On-Train Mediaがコンサルティング会社Retail Economic と提携して行った複数の調査結果によるもの。電車で移動している人々が消費する金額は、オンライン売上の25ユーロのうち1ユーロを占める割合だといい、各取引の平均購入額は31.68ユーロとのこと。通勤者の51%が移動中にオンラインで買い物をしており、週に1回以上電車内で購入をするアクティブな買い物客は15%に達する。

 

電車通勤者はもっとお金を使う

今回の調査によると、英国の成人人口の9%に当たる電車通勤者による購入総額は、総売上の11%を担っているという。つまり、電車通勤者は平均的な英国の世帯よりも、1人当たりの支出が多いということだ。

このように通勤者が通勤中にオンラインでより多くの買い物をする理由は、いくつかある。それは、電車内のWi-Fi環境がより整備されるようになったことや、スマートデバイスの増加などが挙げられる。また、電車での移動時間を「自分の好きなことをできる時間」と感じる通勤者が増えているのも一因だ。「他にすることがなく時間的なプレッシャーを感じない電車通勤中が、買い物するのに便利なタイミングだと考えている」とのこと。

 

電車通勤者は「自由な時間がある」という理由でオンラインショップを利用

このことは、乗車中にオンラインで買い物をする動機を尋ねた質問に対する回答にも裏付けられる。ほとんどの通勤者が、「自由な時間があるから」(26%)、「利便性」(25%)、「退屈だから」(17%)、「時間的プレッシャーがないから」(13%)、「車中での商品閲覧が楽しいから」(11%)と回答した。

 

乗車中にオンラインショッピングをする理由

 

通勤途中のオンライン注文は、多くの場合、午後4時から午後8時の間に行われているという。2番目に人気のある時間帯は、朝のラッシュアワー時である午前6時から午前10時だった。

 

KBH On-Train Mediaのマネージング・ディレクターIan Reynolds氏は、電車通勤をするオーディエンスは“1人当たりの支出”という観点でその平均を上回る、「経済的にエネルギッシュな人種」であると語った。「今回のすべての調査結果は、『電車通勤者市場』で成功を収めることが、小売業の成長に重要な要素をなることを示している。」

 

小売業者はモバイル最適化を優先させるべき

調査対象者の回答からReynolds氏は、「通勤者はより良いネット接続環境があれば、電車移動中により頻繁に買い物をするだろうと考えている。より多くの小売業者が、ウェブサイトやアプリのモバイル最適化を優先的に実行し、よりシームレスなショッピング体験を提供することも重要である」と述べた。

 

※当記事は英国メディア「E-Commerce News Europe」の11/29公開の記事を翻訳・補足したものです。