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マーケティング
2018/11/08

今日の“ブリック・アンド・クリック”買い物客に向けたSoLoMoマーケティングの復活

この約10年間、新しい時代に適応できなかった、または適応することを拒んだ多くの企業は、より新興で革新的な企業、あるいはデジタル時代のビジネスのやり方を再考した企業に無残にも敗れていった。

 

例えば、2011年に経営破綻した国際的な書店チェーンBorders。同店舗の通路で本を探した記憶がある人は、Amazonの実店舗分野への進出の足掛かりの1つが書店であったことを皮肉に感じているだろう。それはNetflixが、2010年に倒産した米国のレンタルビデオチェーンBlockbusterが最後の店舗を閉鎖した後に、戦略的にレンタルビデオ実店舗をオープンしたことに匹敵するかもしれない。

 

しかし今や、古くさく、大抵は面倒な体験を、デジタル変革によってより便利で魅力的でスマートな体験に変えることが可能になっている。例えば、Lyftを使えば、タクシーを今いる場所まで配車してもらい、モバイルアプリで乗車料金を決済することができる。またStarbucksは、コーヒーの注文から決済までをモバイルで行い、あとは商品を受け取るだけのサービスを提供。AIスタイリストサービスのStitch Fixは、ユーザーのサイズとスタイルに合った服を選んでくれるのだ。さらにAmazonは、日用品やユニークな商品を、2日以内に玄関口まで届けてくれる。これらのサービスでは、すべてテクノロジー(通常はクラウドベース技術)を活用し、円滑な取引が行われている。

 

こうしたショッピング体験は、今日の消費者にとっては当たり前のことだと考えられている。しかしAmazonと同様に、デジタル革新を行ってきた事業者の有名どころですら、買い物客の信頼を獲得しなければならなかった時代があった。

 

Amazonが消費者の信頼を獲得した方法の1つは、ユーザーによる商品評価とレビューの導入である。そして、そのレビューシステムは、eコマースの不可欠な要素となった。そして、ついにAmazonは、「ユーザーによるレビュー評価」という現在では当たり前になったデジタル体験を、実店舗「Amazon 4-star」というオフライン体験と予期せぬ方法で結びつけた。この「Amazon 4-star」は、Amazonサイトで星4つ以上の評価を得た商品を取り揃えた実店舗である。

 

こうした取り組みは、ブランドが長年にわたり模索してきたSoLoMo(ソーシャル・ローカル・モバイル)マーケティングの非常に優れた一例となった。

 

過去のマーケティングトレンドの新しい解釈

このSoLoMoという略語は2018年に生まれ、その関心は2014年にピークに達した。しかしその後、オムニチャネルという概念が普及するにつれて関心は薄れていった。

 

だが、過去に人気だったSoLoMoのコンセプトの基本的な概念は、現在でも有効である。アプリがその代表例であるが、本質的にソーシャルメディアはモバイルで展開されている。また、ショールーミング、ローカル検索、ローカルレビューアプリのように、モバイルは、実際ローカルと密接に結びついているのだ。

 

実店舗内ビーコン、ジオフェンシング、ソーシャルメディアチェックインなどのSoLoMo戦略を試みたブランドは、数多く存在する。しかし、小売業における完全なSoLoMo手法のアプローチを成功させた事業者は、ほとんどいない。

 

そのなかでもStarbucksは、成功したブランドのトップに挙げられるだろう。この5年間においては、さらに洗練されたSoLoMo戦略を実行している。

 

Starbucksは、複数の戦略によって、ソーシャルエンゲージメント(コンテスト、ロイヤルティプログラム、ユーザー発信のコンテンツ)を向上させ、ローカライズされた体験(GPS位置情報に基づいた直近店舗表示や、オンラインで注文決済した商品の店舗ピックアップ、ローカルプロモーション)を提供し、さらに、モバイル端末上で顧客との全取引(注文、決済、ギフトカード)を可能にした。

 

Starbucksはコーヒー以上の価値を提供している一方で、他の小売事業者はStarbucksのようなシームレスなアプローチを採用することに苦戦している。課題となっているのは、いかにして、買い物客が最寄りの実店舗でピックアップする数千点という商品在庫を確保するか、またどのようにモバイル端末で顧客とコミュニーケーションをとるか、多様な手法でソーシャルエンゲージメントを向上させるかという点である。

 

ソーシャルプルーフ

Amazonは、モバイルやソーシャルに対する期待値をあげるという点で大きな役割を担っている。特に、現在のeコマースサイトにおいて、商品評価やレビューを一般的な要素としたことは重要な意味を持つ。ソーシャルプルーフ(社会的証明)とは、買い物客が製品やサービスについてネットブラウジングをし、オンライン事業者から購入する際に感じるリスクを最小限に抑えるために求められるものだ。

 

時が経つにつれ、消費者と企業の双方が、ネガティブなレビューであっても書き込みがないよりは有益だということを学び始めた。レビューが自分にどれだけの関連性があるか、そして、書き込んでいるレビュアーにどれほど信頼性があるかを判断する消費者の感覚も鋭くなってきている。

 

例えば、身長の小柄な買い物客は、アパレル商品の丈が長すぎると不満を書き込む可能性がある。そのレビューは、似たような身長の消費者とっては有益であろうが、そうでない人には役に立たないものだ。賢明な買い物客はそのことを理解しており、小売業者も、関連性が低いレビューを除外する方法を見出している。

 

これまで消費者は、自分の携帯電話でレビューをチェックしたり、店舗で返品できる商品を試しに購入したりしていたが、Amazon 4-starでは、このソーシャルプルーフが実店舗に取り入れられるのだ。

 

ローカルプレゼンスとパーソナライゼーション

ソーシャルプルーフは企業に大きな変化をもたらしたが、Amazonの弱点の1つは、ローカルな実店舗を持っていないことである。例えば、(日常生活の中で)「2日以内の配達」では間に合わないこともある。例えば、パーティーの日にはギリギリのタイミングで何かが必要になるものだ。また、ただ目的もなく実店舗を見て回り、気に入った商品を試着してみたり、購入したりしてみたい気分の日もある。

 

Amazon 4-starでは、Amazonサイトで買い物客による評価に基づいたベスト商品をローカル店舗で販売することにより、そのギャップを埋めようとしている。同店には、単に高評価を獲得した商品だけでなく、トップセラー商品やその地域に特化した人気商品も揃えられているのだ。

 

店舗のロケーション毎の消費者の好みに合わせた商品は、Amazonがパーソナライズしたデジタルエクスペリエンスを、消費者体験の向上のために店舗にも取り入れる1つの方法にすぎない。

 

顧客にパーソナライズされたコンテンツと商品が届けられれば、購入額は増え、クリック率は上昇し、コンバージョン増加につながることを認識することが重要である。それに応じて、購入のための(無駄な)クリック数は減少する。

 

言い換えれば、顧客の購入までの過程を中断する余計な情報が入り込まなければ、カスタマーエクスペリエンスは改善され、コンバージョン率も上昇するということだ。

 

現在のところ、Amazon4-star はニューヨーク1店舗のみの展開であるが、都市毎のパーソナライゼーションの事例は無限に考えられる。

 

例えば、冬のシカゴで人気のある商品は、同じ時期にサンディエゴの店舗では販売されないだろう。販売される商品の差は、必要な衣類や家庭用品に違いをもたらす著しく異なる気候によるかもしれないし、または、人気のローカルイベントの違いによるかもしれない。

 

夏のサンディエゴで最も人気のある商品は、スーパーヒーローの衣装などのコミコン(漫画などの大衆文化に関するコンベンションの大規模イベント)関連商品の可能性もある。また夏のシカゴで最も人気のあるアイテムは、ロックフェスティバルLollapaloozaに着ていくアパレル商品かもしれない。コミコンもLollapaloozaも、それぞれの都市で非常に人気のあるイベントである。

 

Amazonのパーソナライゼーション手法は、ユニークであると言えよう。なぜなら、従来の小売業者は店頭に並べる商品をただ選ぶだけであるが、Amazonは、買い物客自身が書き込んだレビューによって店舗での販売商品を決定しているからである。それはまさに、実生活におけるユーザー発信のコンテンツなのである。

 

モバイル対応した小売業

1億人存在すると言われるAmazonプライム会員には、Amazon 4-starでの割引特典が与えられている。そしてAmazonは、プライム会員のAmazon 4-starでのオフライン購入をトラッキングすることが可能になる。

 

Amazonは、自社のモバイルアプリ内のジオロケーション機能を有効にし、店内センサーと組み合わせることで、ユーザーが手に取った商品、棚に戻した商品、最終的に購入した商品、しなかった商品を追跡することができる。Amazonは、ユーザーについて獲得したより多くの情報に基づいて、各ユーザーとパーソナライズした取引を実現することが可能になるだろう。

 

こうした機能は、最初の4-star店舗には実装されていないが、こうした体験が4-star店舗にて実現するのも時間の問題だろう。

 

Amazonの「ワンクリック購入」は、購買体験の障害を取り除き、カスタマーエクスペリエンスを向上させている代表的な事例である。店内の行列に並ぶ買い物客は、「同じ商品を買うなら、オンラインで購入すればよかった」と思うはずだ。

 

すでにAmazon Goが登場しているように、将来的に消費者がレジに並ぶことなく店を出ることは可能になるだろう。4-star 店舗でも、店舗出入口ゲートを通過する際に個人のプライムアカウントで決済ができるようになる可能性が高い。

 

もちろん、プライムメンバーでなくても(現時点ではプライムメンバーより高い価格での購入となるが)、誰もが4-star店舗で買い物をすることができる。

 

小売業者が、複数のチャネルにわたり買い物をする消費者を分析すれば、Amazonと同じように、以下のことを認識し始めるだろう。それはつまり、他事業者の提供しているいわゆる「分断されたショッピング体験」の中で際立つ、「各タッチポイントがシームレスに機能する体験」を提供することの重要性だ。

 

通常小売業者は、オンラインで一旦注文が行われたあとの配送先の変更を、発送処理がすでに“別部署”の処理に移っていることを理由に、認めないことが多い。しかしAmazon 4-starは、買い物客のあらゆるニーズに対応する可能性が高く、ニューヨークの街中で荷物を持って歩きたくない買い物客に対し、店舗から自宅やオフィスなどに商品を発送するサービスを柔軟に提供していくようになるだろう。

 

あらゆるプロセスにおけるカスタマーエクスペリエンス

Amazonは様々な側面で、確実に小売業に変化をもたらした。同社の一連のローカル店舗のオープンによって、デジタル体験をオフラインに、そして、オフライン体験をオンラインに取り込み続けるだろう。

 

Amazonには、チャネルという意識はない。なぜなら、買い物客もチャネルを気にしていないからだ。そしてそれが、かつてないほどに顧客の期待値を高めている。

 

現代の顧客の期待は非常に高いものである。マーケターや小売業者は、その期待に応えなければならない。そのために、デジタルと実店舗の両方において、顧客について知り得た情報、そして顧客が次にどのような反応をするかという予測に基づいて、パーソナライズしたカスタマーエクスペリエンスを、日々改善していくことに全力で取り組む必要があるのだ。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の11/2公開の記事を翻訳・補足したものです。