英国の大手スーパーマーケットチェーンSainsbury’sは、人の出入りの多いロンドンのコンビニの1店舗で、顧客がスマホのアプリを利用しスキャンすればレジなし決済ができる新技術をテストしている。これは、英国のスーパーマーケットでは初めてのことである。

 

Sainsbury’sのClapham North station Local店を訪れた顧客は、Sainsbury’sのスマホアプリ「SmartShop」の最新バージョンを使うことで、店内を見て回りながら購入したい商品をスキャンすることができ、店内のどの場所にいてもアプリからApple Payを利用した支払いが可能。これまでのようにわざわざレジに行かなくても、商品の支払いを済ませ、店を出ることができる。

 

こうしたSainsburyの最新テクノロジーは、2018年初めにSeattleにオープンしたレジ精算不要店舗「Amazon Go」への直接的な対抗策とみられる。とはいえ、Sainsbury’sは英国で定評のある有力な食料雑貨ブランドである一方、Amazonは米国のグローサリーストアチェーンWhole Foodsの買収や、Amazon Pantryサービス(食品や日用品など毎日使うもの必要な分だけ購入できるAmazon Prime会員向けサービス)などで、まだ食料品チェーン市場に参入したばかりである。

 

Sainsbury’sの68店舗では、顧客はすでにこのSmartShopアプリを利用できるものの、買い物中にスキャンした後は、いまだ指定されたレジで支払いを行わなければならない。Smart Shopアプリ開始以来、アプリ経由で10万を超える取引が行われ、毎週3,000から4,000人の新たな顧客が登録を行っているという。

 

「テクノロジーの進化や顧客の買い物習慣の変化により、食料雑貨品の購入方法も変わってきている」と話すSainsbury’sグループのデジタル最高責任者Clodagh Moriaty氏。「我々のチームは、顧客に新しく便利なショッピング体験を提供できるように、常に努力を続けている。レジ精算なしで顧客が買い物できる英国初の食料雑貨小売店になれたことは大変光栄である。SmartShopの最新バージョンには、新しい決済機能が追加された。スキャンし、レジなしで決済するのを望む顧客が、入店してから買い物を終え店を出るまでの時間は、著しく短縮されるだろう」。

 

Clapham店では、Smart Shopアプリでの決済方法だけではなく、レジでの支払いを好む顧客のためにセルフレジと有人レジの両方を残している。Sainsbury’sは、Clapham店での顧客からのフィードバックを活かし、Smart Shopアプリ体験を改善、発展させる予定。今後数ヶ月の間に、別のタイプの店舗やロケーションでこのテクノロジーを試す計画だ。

 

スキャンすることで決済が可能なこのSmartShopアプリは、Sainsbury’sの専門家チームにより同社内で開発。さらに広範囲な研究や開発、ユーザ体験テストを続けているという。最初のトライアルはEuston駅にあるSainsbury’sコンビニ店で実施。顧客はそのアプリを使い、セット割引になる昼食用の3商品をスキャンし、決済を行った。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing」の8/14公開の記事を翻訳・補足したものです。