ECサイトを運営する企業が優秀な人材を採用・育成するために気を付けるべきこと
Webサイトやオンラインの活性化により、ECサイトを運営する企業が多くなってきている。eccLabの調べによると、日本国内には既に180万を超える店舗が存在している。そのため、ECサイトを運営するための人材は慢性的に不足している状況だ。しかし、いざECサイトを運営するための人材を採用しようとしても、「良い人材が採用できない」「良い人材が応募してきてくれない」など採用活動がうまくいかないという話を聞くことも多い。そこで今回は、ECサイトを運営する企業が、優秀な人材を採用し育成するために気を付けなければならないことを考えていく。
<参考>
国内のECサイト・ネットショップは一体何店舗稼動しているのか?
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オンライン専業ではない企業が間違えやすい罠
「良い人材が採用できない」「良い人材が応募してきてくれない」という声の多くは、オンラインが専業ではない企業から聞かれることが多い。これは決して偶然ではない。オンラインを専業としない企業においては、従来のリアル(対面でのBtoCやBtoBの直販など)の販売チャネルでのビジネスを主軸とした経営を行ってきている。そのため、ECサイトは後から出てきた、「あまり得意ではないけど対応しなくてはならないもの」という位置付けのケースが多い。
そのため、トップをはじめとする経営陣にとってリアルの商流については勘所を把握しており身近に感じ、的確な経営判断を行うことが出来るが、ECサイト運営は「良く分からないもの」となっているケースが非常に多い。そして実際に、このような考え方が採用・育成がうまくいかないもっとも重要な問題となってくる。以下、4つのポイントを見ていこう。
経営陣がWeb・オンラインを勉強すること
まず多少なりとも経営陣がWebやECサイトなどのオンライン全般についての基本的な知識を身に着けることは極めて重要な命題だ。オンラインマーケティングにおいて、難しいことはどのようなポイントかを学び、どれだけのコストがかかるものなのかを理解していく。そうすることで、社内のオンライン担当メンバーとの意思疎通や、採用に際して求職者とのコミュニケーションや面接における判断基準がより正しいものになるだろう。分からない分からないと言うだけでなく、自分でオンラインで情報を収集し勉強していくことが必要だろう。間違っても部下にこの調査自体を丸投げせず、自ら学んでいって欲しい。そうすることで、WebやECサイトというものに対して歩み寄り、担当メンバーとも良いコミュニケーションが増えていくだろう。
オンライン上に採用ページを準備すること
これは非常に基本的なポイントだが、WebやECサイトが苦手な企業が、ECサイト担当者を求めているとき、企業のホームページ内に採用ページが存在していないケースが多い。ECサイト運営のスキルを持った求職者は基本的にはオンライン上からその企業の事業概要や、社風、そしてどのような人材を求めているのかの情報収集を行う。そのため採用ページ(その企業ではどのような求人を現在行っているのかが分かるページ)の準備は最低限行っていきたい。ホームページはあるけど、たいしてアクセスもされていないから数年更新をしていない、という企業には、Web関係の優秀なスキルを持った求職者は門戸を叩かないと考えた方がいいだろう。
スーパーマンはいないということを理解すること
ECサイトをはじめとするオンラインの取り組みは、難しくよく理解できないものだが、専門の人なら全部うまくやってもらえるんじゃないか、という考え方を経営陣が持っているケースも散見される。しかし実際にはECサイトの運営に関わる業務は多岐にわたり、これらの全ての業務を完璧にこなすことが出来る人材など存在しない。WebやECサイトに強いメンバーを一人採用したら全てをこなすことが出来る、という考えは間違っている。またそのようなメンバーにとってもまだまだ勉強が足りていない領域がある自覚があるため、外部のセミナー参加などにも理解を示し、場合によっては、苦手な業務領域については積極的に外注(アウトソース)を活用することも必要だ。採用したらすぐにオンライン取り組みの成果が出るものだという勘違いは、ECサイト担当メンバーのモチベーションを減退させる一因に繋がるため気を付けたい。
<参考>
限られた工数で中小EC事業者がどのように手間をかけずにサイトを立ち上げ成長させていくのか
ECサイト運営業務を5つに大別して整理してみた - 事業者が注力すべき業務と、効率化・アウトソースすべき業務
オンラインを活用した業務の進め方に理解を示すこと
WebやECサイトなどのオンライン取り組み全般を着実に進めていくためには、最新の情報をインターネット上から収集することは必須となる。しかし、オンラインを専業としない企業では、職場でネットサーフィンをしていると遊んでいると勘違いされるケースすら時々あるという。また、外部の支援業者とのコミュニケーションにおいても添付ファイルのやり取りが禁止されていたり、プロジェクトを円滑に進めるためのチャットツールなどの利用を禁じられているケースも多い。もちろんセキュリティ上のケアを行うことは大前提だが、これらの業務の進め方を全て禁止にするのも、インターネット=危険、というITに関する知識不足に起因する間違った判断だ。
さらに、ECサイト運用に関わるKPIなどのレポートを従来のリアルでの取り組みをベースとした紙ベースのレポートフォーマットに落とし込まないといけない場合も多い。本来であればレポートはリアルタイムに行うことが出来、リアルにはない様々な指標がECサイト運営には存在している。それらを理解し、うまく経営判断に組み込んでいくことも必要になってくるだろう。
優秀な人材を採用・育成するために
WebやECサイトに興味を持った意欲の溢れる人材が市場に溢れているのは間違いない。しかし、そのような人材を採用できないのはそのような人材に魅力的な企業だと思ってもらえていないこと、そして実際に会っているのに優秀な人材だと気が付いていない、という2点が大きな原因となっているだろう。ここで挙げた4点のポイントを理解し、まずは経営陣を含め、会社全体としてWebやECサイトなどのオンライン取り組み全般に対する理解を深めることから始めていく必要があるだろう。そうすることで、ECサイト運営を行うために必要な優秀な人材を採用し、育成できるようになっていくのではないだろうか。
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