優秀なECサイト運営担当者はどのように育ち戦力となっていくのか

 

ECサイトの構築・運営に関わる環境はここ数年で飛躍的に改善されている。様々な業務を支援するシステムやサービスがどんどん生まれ続けており、日々の業務は効率化の一途を辿っている。しかし、実際の業務を行うECサイト運営担当者からすると、常に新しいテクノロジー、マーケティング手法を学び、新しいノウハウを柔軟にサイト運営に盛り込んでいく必要があり難易度が上がってきている側面もある。

そのため、EC業界では人材を採用し育てて強化するよりも、慣例的に外部の支援業者を活用するケースが多い。しかし、これからさらにECサイトにおいて売上をしっかり上げていき、利益を確保するためには、中核となるような人材をしっかり育てていくことは避けられないだろう。そこで課題となるのが、入社した人材をどのようにフォローし育てていくか、育てた人材をどのように配置するか、など近年急激に成長したEC業界であるが故に、ノウハウが確立されておらず非常に難しいものがある。そこで今回は主に、中途で入社した人材を育てるのに必要な要素、戦力化の定義、人材配置における重要なポイントについて考えていく。

 

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入社後スムーズにEC運営担当者を育てるために重要な2つの要素

 

話をシンプルにするために、人材を採用した直後からの育成についてまずは考えていく。ただ、これは多くの企業においては、入社直後だけしか当てはまらない話ではなく、このような取り組みを行っていない企業についてはどの段階においても当てはまる考え方となる。

 

社内体制

まず基本的なポイントとなるが、育てるための体制をしっかり準備しておく必要がある。気をつけるべきポイントは主に3点ある。1つ目は業務内容の引き継ぎだ。必要な業務の全体像がわかるマニュアルや資料などが準備されており、業務内容を漏れ無く把握できることが必要不可欠である。たとえ同じアパレルを扱うEC事業社であっても、業務内容の細かい部分は異なる部分も多いので、業務内容のマニュアルは丁寧に作っておく必要がある。日々のルーティン業務ならマニュアルさえ読めれば誰でもできるというレベルのものを作っておくといいだろう。

2つ目は指導体制の確立だ。メンター的な位置づけの社員を置くなどして、何かわからない事があった時に質問や相談ができる環境をしっかりと作ることが重要である。また、業務スキルの見極めや管理もメンターの重要な役割の1つである。会社の規模にもよるが、1人の新人に対して1人担当のメンターがつくのが理想的だろう。

3つ目は指導プログラムの確立だ。いつまでに業務を覚えさせて、いつから実際の業務に入ってもらうかなど、具体的なスケジュールを決める必要がある。もちろんスケジュールは、新卒なのか中途なのか、またEC経験者なのかによって異なるが社内で必ず基準を持ち、その上で個人のレベルに合わせて柔軟に対応する必要がある。

 

上司

業務スキルの見極めや管理だけでなく、個人のWILL、MUST、CANをしっかり引き出せるマネジャー(上司)がいることが社員の定着・戦力化の条件だ。WILL、MUST、CANとは人材育成や採用活動の場でよく用いられるフレームワークである。それぞれ、WILL(やりたいこと)、MUST(やらなければならないこと)、CAN(できること)を示している。この3つについてそれぞれ見ていこう。

 

WILL・・・やりたいこと

新卒ないし中途で入社してきた人はなにかしら「やりたいこと」を持って入社してきている。この「やりたいこと」を引き出すことは非常に重要である。なぜなら実際の業務とやりたいことにギャップが生まれてしまうと、仕事のモチベーションが下がってしまうおそれがあるからだ。例えば、商品販促をしたいと思っている人に対して商品管理の仕事ばかりを任せてしまうようなことがあるとその人のモチベーションは徐々に下がっていくだろう。

 

MUST・・・やらなければならないこと

前述のWILLとは逆に、やらなければならないことをしっかりと示すことも上司の役割の1つだ。会社としてその人にどのような役割を求めているかをしっかり伝えることでその人の成長スピードをあげることができる。

 

CAN・・・できること

CANは、過去の経験や積み上げてきたスキルなど、すぐに発揮できる能力のことだ。自分自身で認識しやすいことではあるが、一方で、自分で気づいていなかったり、逆にCAN(できる)と思いこんでしまっているケースがある。今その人ができることと出来ないことをしっかりと整理することが上司に求められる。そのうえで今その人がやらなければならないことを伝えることが必要である。

 

つまり、WILLのミスマッチをなくす、MUSTをしっかり伝える、CANを整理することが上司に求められる役割であり、成長に不可欠であるといえる。このように上司のやるべきことを明確にすることで、驚くほど部下への指示は明確になるケースが多い。

 

ECサイト運営担当者は何を戦力化のゴールとするべきか

 

何がどこまでできたら戦力化といえるのかは会社によって異なるので、具体的な目標を設定してそのプロセスをマネジメントすることが非常に重要になってくる。それによって戦力化期間は大きく変わってくる。そこで、ここでは転職組の1つの戦力化のモデルを紹介していく。もし戦力化の定義が曖昧であるような場合は是非参考にして欲しい。

 

step1 業務把握

まず最初のステップとしては業務を把握し、誰にも聞かずともその会社のEC業務を行えるようになることだ。前述の通り、同じ商材を扱うECに事業会社であっても業務内容はことなる。まずは自社の業務内容をしっかりと把握してもらいそれに従って業務を遂行することができる必要である。

 

step2 前職の経験を踏まえた業務

2つ目ステップとしては、前職の経験を活かして業務をしてもらうことを求めていく。転職者を採用する最大のメリットは、前職の経験を自社に持ち込んでもらうことだ。自社の業務内容を把握してもらった上で、そこに自分の持っているノウハウを活かしてもらうのだ。例えば、前職で広告施策を主に担当していた人を採用した場合では、最初は従来の方法で業務してもらうが、慣れてきたら前職の経験も踏まえて、業務の流れを変えたり、広告の方法を変えたりすることで、より良い方向に向かうだろう。ここまで達成できれば、ひとまずの戦力化のゴールとも言える。

 

step3 改善案の提言

その先のステップとしては、業務全体の改善案の提案まで求めるていく。前職の経験を活かして働いてもらった上で、更に転職組に求めるポイントとしては、他社がどのように業務を設計しているか?といった情報と合わせて自社の課題を洗い出して解決させることだ。ここまでできると転職組の戦力化という観点では120点なのではないだろうか。

 

 

想いにギャップを生じさせない人材配置とは

 

従業員と企業の間で「想い」にギャップを生じさせないためには、人材を適材適所で配置する必要がある。EC事業社に限った話ではないが、人材は大きく分けて2パターンの特性に分類できると言われている。1つ目がクリエイティビティーの高い企画業務や改善業務を任せられる人材。2つ目が確立された業務フローに沿ってルーティンワークをミスなくきっちりこなす人材。どちらが良い悪いではなく、あらゆるビジネスを実践するうえで2パターンの人材をバランスよく雇用できていることが望ましい。しかし、企業は往々にして1つ目のハイスペック人材を求めて、既存社員にも頭を使って考える仕事を求めがちだ。実際にクリエイティビティーの高い仕事をできる人材はそれほど多くないし、やれと言われてできるものでもなく、相応のポテンシャルを持った人材を採用して、さらに知識のインプットと合わせて実践する機会を提供して育成しない限り、自然に育つことはない。EC事業社においても、比較的ルーティンワークの多いEC運営担当に改善や企画といった付加価値の高い仕事を突然求めてしまうとそこでギャップが生まれるというケース多いのではないだろうか。EC運営担当の個々のポテンシャルを見極めて、企画系人材に育てるのか、きっちりルーティンを回す人材として貢献してもらうのか、を常に意識することでEC事業社ないし事業部が円滑に運営できるのではないだろうか。

 

 

優秀なECサイト運営担当者を育てていくために

 

繰り返しになるが、EC事業社では人材は軽視されがちな観点であるが、非常に重要である。自社の社員をしっかりと戦力化、定着化することが安定した運営において必要不可欠だ。この記事から参考になる部分がすこしでもあれば参考にして欲しい。また、もし必要な人材が不足していると言った悩みを持つ事業社の方がいれば、以下の問い合わせフォームから問い合わせいただければ、通販人材バンクの協力の下EC経験者の即戦力を紹介することも可能だ。ぜひ活用して欲しい。

 

 

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