2015年から急激に盛り上がった中国でのオンライン生放送のトレンドは、2016年には国民にしっかり根付いてきている。2016年前半だけで中国ではのべ3.2億人がオンライン生放送を視聴した。人気が高まってきたと共に、コンテンツ面で様々な問題(倫理・セクシャル・暴力)も発生した。

 

<参考>

凄まじい影響力を持つ中国ネットインフルエンサー「網紅(ワンホン)」の実態と活用方法

KOLの影響力とビジネス構造を読み解く - 中国でのオンラインマーケティングに欠かせない役割

 

 

それでもなぜ生放送は人気があるのか

オンライン生放送のアナウンサー(≒網紅)として活躍している盛寧氏は次のように解説している。インターネットの発展に伴い、エンタテインメントも多様化してきた。そのような中で生放送は簡単・直接・随時での高いインタラクティブ性を有しており、それが爆発的な人気を得るに至ったようだ。

盛寧氏は現役大学生のため「網紅」としての活動も含めると一日のスゲジュールは多忙を極める。午前中授業を受け、午後はTV番組のアナウンサーの録画の仕事をこなし、夜時間があれば生放送をする。

また、中国政法大学のマスメディア研究センターの副係長朱氏はオンライン生放送のアナウンサーがビジネス的に成功している理由を以下のように解説している。今までオンライン生放送を見ているだけの一人のオンラインユーザーが、思い立って生放送上で自分のチャンネルを持つことで簡単に表現する側に回ることができることや、そのような一般ユーザーと大きく変わらない網紅を見たいというニーズ、さらにはECと連携することで網紅は大きな収入を得るチャンスがあることが大きいという。

 

なぜ様々な問題が発生したのか

朱氏によると、それはオンライン生放送のビジネスモデルと関係が深いようだ。現在の生放送プラットフォームとオンライン生放送のアナウンサーはユーザーからのギフトに頼っているので、ギフトをもらうために、コンテンツのセクシャル化や“さくら”を雇うことなどの問題が発生したのである。また、人柄や実績などは問わず、誰でもオンライン生放送のアナウンサーになれることにより、オンライン生放送のアナウンサーのレベルもそれぞれであるためである。そのため、オンライン生放送プラットフォーム側は利益を得るとともに、コンテンツの監視もしっかり行っていく必要がある。

 

オンライン生放送のアナウンサーの月収は

盛氏の平均月収は1万元(15万円以上)であるが、大部分のオンライン生放送のアナウンサーはどのようにファンに注目してもらえるかを考え、もがいている状態だ。また、収入も安定せず、活動期間は1年間程度が限界だ。

 

生放送の未来

これまで、政府は各種の生放送の管理施策を公表してきたが、12月12日に中国文化部は、2017年から実施予定の「オンラインパーフォマンス活動管理方法」を公表し、審査されていないオンラインゲームについての生放送も禁止とした。このような生放送業界のための規制は、業界の長期的な発展に大きく貢献していくはずだ。

また、联讯証券の最新レポートによると、ビデオソーシャル(オンライン生放送などのリアルタイム・インタラクティブなソーシャルプラットフォームの総称)は更に拡大していき、BAT(百度、アリババ、Tencent)などの主要プレイヤーもオンライン生放送業界に投資を行っている。今後のオンライン生放送業界はいかに発展していくのかについて、朱氏は楽観的な見方をしているようだ。オンライン生放送は今後も様々な業界に浸透し、この新しい勢いのあるサービス領域は決して短命ではないだろう。今後、ビジネスモデルも多様化されるだろうと述べている。艾瑞コンサルティング会社レポートによると、今後、生放送機能は主に三つの方向へ展開する。ニュース、EC、ソーシャル広告である。

 

※当記事は中国メディア「電商報」の12/23公開の記事を翻訳・補足したものです。