オンラインでモノをデザインしてそのまま売る - C2CとソーシャルコマースでカスタムオーダーECの新しい波を作る | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2014/06/20

オンラインでモノをデザインしてそのまま売る - C2CとソーシャルコマースでカスタムオーダーECの新しい波を作る

オンラインでモノをデザインしてそのまま売る

 

C2Cコマースサービスの勃興により、ECの売主が法人企業だけであった時代は終わろうとしている。多くの個人が気軽にECを始めることが出来るようになり、消費者から見ると、売主が法人か個人かの違いはそれほど重要ではなくなってきているものも多くなってきた。そんな中、モノを持たない個人でもデザイン力とアイディア力があれば、オンライン上で販売するモノを作ってそのまま売ることが出来るサービスが立ち上がってきた。今回はそんなカスタムオーダーECサービスを3つ見てみる。

 

<参考>

カスタムオーダーEC - どこまで消費者の想像力と購買意欲を刺激し続けることができるか

 

 

UTme!

 

最初にチェックするのは、ユニクロが5月19日に始めたばかりの新サービス「UTme!」だ。

 

 

スマホアプリもしくはパソコンのブラウザ上でオリジナルデザインのTシャツを作成し、その場ですぐに購入できるというこのサービス。Tシャツの作成方法はいたって簡単で、既存素材を組み合わせたり、自由なペイントや文字の配置、画像の貼り付けによって自分だけのデザインを作り上げていく。基本的な手順はアプリとPCで共通しており、デザイン作成後に各種エフェクトでリミックスするという2ステップで完成する。基本デザインは、指先やマウスで絵の具風の色を塗るPAINT、好きな文字を入力するTYPOGRAPHY、画像を使用するPHOTOの3種類から選択。その後、リミックスという作業に移り、SPLASH、GLITCH、MOSAICの中から好みの効果を選ぶ。スマホをシェイクすることで適度な加工処理が掛けられるなど、遊びの要素を盛り込んだ操作方法がユニークだ。Tシャツのデザインは丸首タイプで色は白のみ。サイズはXS~XLで価格は1枚1,900円となっている(消費税、送料別)。作成したデザインはTwitterやFacebookでシェアできるほか、他の人が作成したデザインを特設サイトで閲覧することも可能だ。しかし、他の人が作成した商品を購入することは出来ないようだ。

 

一方このサービスは違った側面でも注目を浴びたのも記憶に新しいだろう。ユニクロはリリース時、投稿したデザインの著作権をすべて同社に無償で譲渡し、著作人格権も行使しないとしていたが、ユーザーからの反発を受け、リリース翌日の5月20日には「著作権はユーザーのものとする」と利用規約を改正した。

 

 

SUZURI

 

GMO ペパボ(旧paperboy&co.)も4月2日に「SUZURI」という新サービスをリリースした。

 

SUZURIは、自作のイラストや写真をアップロー ドするだけで、Tシャツ、iPhoneケース、トートバッグ、マグカップに商品化して販売できるECサービスだ。SUZURIでは、自分のためにデザイン することはもちろん、他のユーザーに向けて販売するという点も重視している。例えば、出品者の利益を100円単位で自由に設定することができる「トリブン」という仕組み。製造原価やGMOペパボの取り分に上乗せする形で、デザイナーは自分の取り分を自由に設定できる。販売にあたり、初期費用や月額利用 料、販売手数料はすべてSUZURI側で代行してもらえるので、個人で事業を展開したいユーザーには打ってつけのサービスと言えるだろう。自分だけのため に作りたいというユーザーに対しては、トリブンを0にすることで原価のみでの制作が可能となっている。

 

また、SUZURIではネットでの利用が前提である ため、モニタ上で見る商品の素材のテクスチャやシワ感などを、よりリアルに伝えられるようにこだわったとのこと。デザインする過程も非常にシンプルで、手 軽に洒落た商品を作ることができるSUZURI。GMOペパボはこれまでにも古着フリマアプリ「kiteco」、ハンドメイド作品のオンラインマーケット 「minne」などを立ち上げているので、今後の展開に期待できそうだ。

 

 

ニコニコ静画 印刷工房

 

ドワンゴもユニクロよりひと足早く、ユーザーが投稿したイラストをグッズ化して販売できるオンデマンド通販サービス「ニコニコ静画の印刷工房(β版)」を5月1日にスタートさせた。

 

 

同サービスは、グッズ製造会社である大英グループとの共同企画として実現したもの。このサービスはターゲットが少しマニア向けとなっているところが特徴。イラスト投稿者がニコニコ静画からグッズ化を申請すると、自身のオリジナルイラストを商品に加工し、在庫を持たずに1点から販売できる。作成可能なグッヅもアニメ好きをターゲットとしているだけあり、Tシャツ(3,500円)、スマートフォンケース(3,500円)だけでなく、抱きまくらカバー(13,000円)、ピローケース(3,500円)、ベッドシーツカバー(16,000円)など風変わりなものが主力商品として並んでいる。

売り上げの10%がユーザーに分配される形式をとっている。現在グッズ化できるのはオリジナルイラストのみで、二次創作やR15指定作品は不可。しかし今後登録基準は緩和される可能性があるという。

 

 

C2CとソーシャルコマースでカスタムオーダーECの新しい波を作る

 

以前紹介したカスタムオーダーECサービスを第一波とするならば、ここ数ヶ月でリリースされたこれらのサービスは第二波と捉えることが出来るだろう。第一波では通常のBtoCの延長線のコマースサービスで、EC事業者がその商材をより自由に作って購入してほしい、という視点から作られていた。しかしこの第二波の各サービスは、もともと持っているそれぞれの事業者の商材を売るためというよりは、サービス自体に真新しさをもたせることに重点を置き、C2Cで他のユーザーに売ってもらう・見てもらう・楽しんでもらうという要素が強い。またソーシャルコマース的な機能も多く実装されており、簡単にソーシャルメディアでシェアできたり、人気投票出来る機能も目に付く。

オンラインで買うモノを自由に作れることで満足していた時代から、売るモノを自由に作りシェアする時代が到来してきている。カスタムオーダーECの第一波に、C2Cとソーシャルコマースの視点を付加したこの第二波は大きなトレンドの波を作ることが出来るのか、注目していきたい。

 

<参考>

ソーシャルからコマースへの系譜 PinterestからSumally、FANCY、そしてOrigamiへ(前編)

「ソーシャルコマース成功のための3つのポイント」 桜丘製作所 鈴木大也氏 キーパーソンインタビュー