2024年に最大の小売業者になるといわれているAmazonは、eコマースセラーにとって最も頼りになる存在である。しかし、よくある間違いに陥らないように、以下の5つのステップを実行して成功をつかもう。
重要なポイント
・Amazonは2024年に小売業のトップになるとJPMorgan(米国の総合金融機関)は予測しているが、適切な準備なしにはセラーの成功は保証されない
・ブランドが成功するためには、Amazonのマーケットプレイスを理解し、徹底的な市場調査を行い、在庫ロジスティクスやパフォーマンスモニタリングのためのツールを活用することが重要となる
・ブランドは、強力なパートナーシップを維持し、Amazonのプラットフォームで成功するために、絶えず変化する同社のポリシーや手数料、機能に適応し、最新情報を入手する必要がある
JPMorganのアナリストによると、Amazonは2024年に最大の小売業者になる見通しである。
オンラインでの知名度や販売開始の手軽さからセラーはAmazonに押し寄せるが、同社マーケットプレイスでの成功は決して保証されているものではない。独自のニッチ市場を難なく開拓してきたブランドと同じくらい、Amazonでの販売で重大な問題に直面しているブランドも多い。
販売環境に慣れることは確かに役立つが、すべてのブランドが時間をかけて適切なデューデリジェンス(適正評価手続き)を実施し、Amazonのセラー向けポリシーを完全に理解しているわけではない。これでは、配送の遅延、質の低いカスタマーサービス、不正確な商品説明、利用規約違反などのさまざまな問題によって、フルフィルメントのエラー、在庫切れ、過剰な価格設定、さらにはアカウント停止などの可能性が高まるだけである。
言い換えれば、計り知れない影響力を持つマーケットプレイスを知り尽くすことが、ビジネスの成功に不可欠になっているのである。
ベテランのセラーでさえ、問題にぶつかることがある。たとえば、クリック課金型広告(PPC)だ。PPCは、マーケットプレイスでのビジビリティ(可視性)と売上を促進するために、その重要性が高まっている。このような取り組みに投資しなければ、貴社ブランドは苦境に立たされる可能性がある。また、新規参入者が頻繁に現れるなか、独自のプライベートブランドを立ち上げないことも問題になり得る。また、商品をプライム配送の対象にしないことも、問題を引き起こす可能性があるだろう。フルフィルメント by Amazon(FBA)の商品は、マーケットプレイスでより良いパフォーマンスを発揮する傾向がある。
リストは延々と続き、そしてこのような疑問が残る。「Amazonと良好なパートナーシップを築くにはどうすればよいのだろうか」。これには、多くの場合、次のような方法がある。
1.市場調査を実施する
Amazonで販売するブランドにとっては、差別化が鍵となる。そして、言うまでもなく、そのための最良の手段は市場調査である。他の事業立ち上げと同様、時間をかけて販売戦略のギャップと機会を特定する。競合他社や市場、顧客を知る。そして、この情報をもとに、独自の機能、サービスの品質、バンドルオプション、価格、あるいはまったく別の要素など、自社ブランドを差別化するものを見極めるのだ。製品リストやマーケティング資料でこれらの差別化要素を強調し、貴社ブランドが他の何千もの選択肢から際立つようにしよう。
専門家からのアドバイス:Amazonの新規セラーは、サイトの組み込みツールをチェックしてみよう。たとえば、Amazonセラーセントラルのレポートでは、競合他社の価格設定や売上ランキングに関するインサイトを入手できる。さらに、商品追跡、競合他社分析、キーワード調査などの高度なリサーチ機能を提供するJungle ScoutやHelium 10のようなサードパーティツールも検討してみてほしい。これらは、貴社ブランドを際立たせるためのインサイトを得るのに役立つ。
2.在庫ロジスティクスを決定する
在庫の管理は重要である。今年eコマースの売上が伸び悩むなか、倉庫の閉鎖や人員削減、事業拡大の遅れに悩まされたAmazonに尋ねてみるとよい。消費者の嗜好の変化と売上の低迷を受け、小売企業は在庫問題の解決を図るため、このホリデーシーズンの早い時期から戦略的な値引きを行ってきた。たとえば、Amazonは、ホリデーシーズンのラッシュに先駆けて、10月に初の「Prime Early Access Sale」を実施した。
幸いなことに、テクノロジー(在庫管理ソフトウェアや予測ソフトウェアなど)は、在庫レベルや販売速度をモニターし、需要を予測し、再注文数量を決定するのに役立つ。過剰在庫や品切れを避けるために、再注文ポイントと安全在庫レベルを設定するようにしよう。
こうしたことが得意でない場合は、Amazonに関する専門知識を有するパートナーが、データの精査、在庫管理、予測の作成を支援してくれる。パートナーとの協力の有無にかかわらず、市場動向、季節変動、過去の販売データに基づいて在庫戦略を定期的に見直し、更新するようにしよう。
3.フルフィルメントを優先する
特にフルフィルメント by Amazon(FBA)を利用する場合は、商品の準備と梱包を確認しよう。また、顧客関係管理(CRM)ソフトウェアを活用して、顧客とのやり取りを追跡し、対応を自動化し、顧客とのコミュニケーションの記録を管理しよう。
サイト上のAmazonセラー数は増え続けていることから(現在1,000万人近くいる)、フルフィルメントプロセスをおろそかにすることで、消費者に他社を探す理由を与えてはならない。AmazonのFBAは迅速な配送で知られているだけに、これは犯しうる最大の過ちの一つである。
4.パフォーマンスの定期的なモニタリング
Amazonは、コンバージョン率、在庫回転率、広告キャンペーンのパフォーマンスなど、セラー向けのパフォーマンス指標を幅広く提供している。、SellerApp、Merchant Spring、ManageByStatsなどのサードパーティツールは、より包括的なパフォーマンス追跡やレポート機能を提供しているため、情報のギャップを埋めることができる。そして、価格設定、在庫レベル、広告キャンペーンを調整することで、競争力を維持し、成果を最大化するとともに、Amazonセラーセントラルのよくある問題を回避することもできる。
5.必要に応じて適応する
Amazonは想像もできないほどのリーチを可能にする一方で、セラー向けのAmazonポリシーを変更することで悪名高い。料金や機能、仕組みについても同じことがいえる。幸いなことに、セラーフォーラムに参加したり、業界のニュースレターを購読したり、専門的なウェビナーに参加したりすることで最新情報を得ることができる。Feedlyのようなニュースアグリゲーターツールを使うことで、カスタムニュースフィードやAmazonの販売ルールに変更があった場合の通知を作成することができ、負担の一部を軽減することができる。
ブランド規模の大小に関わらず、忍耐が重要となる。すぐに結果が出ることはほとんどないだろう。しかし、Amazonの販売ルールに従ってブランドの存在感を高めさえすれば、成功の可能性は高まるのだ。
※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の1/9公開の記事を翻訳・補足したものです。