「Buy with Prime」を使ってAmazon Primeの特典を自社ブランドのWebサイトで利用可能にすることで、セラーはブランドと顧客双方に利益をもたらすことができる。

 

重要なポイント

  • 全体として、「Buy with Prime」のインテグレーションは比較的容易である。
  • 「フルフィルメント by Amazon」を利用している場合でも、サードパーティである場合でも、「Buy with Prime」はカスタマージャーニーに付加価値をもたらす。


Amazon Primeは、一貫性や信頼度の度合いと結び付けられてきた。世界中で2億人以上の利用者から信頼されており、eコマースのセラーは、Amazonの「Buy with Prime」をウェブサイトのチェックアウトプロセスに追加することで、そのユーザー層を活用することができる。


顧客はAmazon Primeのアカウントにログインするだけで、支払いや配送に関するすべての情報を利用できる。Amazonによると、「Buy with Prime」の使いやすさ、送料無料、使い慣れたチェックアウト体験により、買い物客のコンバージョンは平均25%増加したという。貴社がブランドなら、それが貴社ウェブサイトにおけるコンバージョンとなるのだ。


顧客がAmazonで貴社ブランドの商品を購入するとき、彼らはAmazonの顧客でもある。これを避けて通ることは難しく、特に「Amazon DSP」のようなAmazonのマーケティング機能を利用する場合、貴社はAmazonの顧客をAmazonでターゲティングすることになる。「Buy with Prime」を利用している人は、引き続きあなたの顧客なのだ。顧客はチェックアウトオプションにたどり着くまでに、貴社ブランドのマーケティングファネルやウェブサイトでやり取りしたことになるはずだが、彼らはPrimeの利便性を享受し、エクスペリエンスを向上させることができる。


「Buy with Prime」を利用するマーチャントは、Amazonでのレビューを紹介することもできる。貴社ブランドがAmazonで肯定的な支持を得ているなら、消費者の信頼を引き出すのは簡単なことだ。オンラインショッピングの利用者は意思決定の際にレビューを参考にするため、Amazonと貴社ウェブサイトの両方のレビューが見られることは、コンバージョンの促進に役立つだろう。

これは、特にフルフィルメントの観点から、Amazonでのプレゼンスを確立しているブランドにとって最も有用である。「Buy with Prime」が機能するためには、Amazonのフルフィルメントセンターに在庫を持つ必要がある。2022年に「Buy with Prime」が導入された当初は、フルフィルメント by Amazon(FBA)事業者のみが招待制でこの機能を利用できた。しかし現在では、サードパーティの事業者であれば誰でも利用できる。ただし、「Buy with Prime」のページのFAQセクションに記載されている「利用した分の料金を支払う。保管にかかる費用を除くすべての料金は、事業者が販売を行った後に請求される」との条件を満たす必要がある。

この料金を支払えば、Amazonは着払いで配達を行ってくれる。Amazonは人工知能と「リージョナリゼーション(地域化)」を使って配送プロセスを強化し、より顧客に近い地域に在庫を保管している。オンライン買い物客は、配送に関してはスピードよりも価格を重視する。ある調査によると、配送コストは配送スピードの2.85倍も重要視されているという。もしその顧客がPrime会員であれば、追加の送料なくして迅速な配送が提供されるということは、貴社ブランドと結びくための究極の価値となるのだ。


全体として、「Buy with Prime」のインテグレーションは比較的簡単で、Shopifyのようなeコマースプラットフォームを利用している場合でも、自社ブランドのウェブサイトに追加するコードは最小限で済む。また、セラーは、「Buy with Prime」に対応する商品とその価格を選択することができる。Amazonでの販売価格とは異なる、より高いバンドル価格を設けることも可能ということだ。ただし、「Buy with Prime」を利用するには、自社ウェブサイトで「Amazon Pay」が利用可能となっている必要がある。


「Buy with Prime」には、いくつかの推奨されるインテグレーション機能がある。セラーがBigCommerce(小売業者に顧客グループとセグメンテーション、検索エンジン最適化、ウェブホスティングなどのSaaSを提供するeコマースプラットフォーム)のウェブサイトを使用する場合、インテグレーションにコードは必要ない。BigCommerceのセラーは、プラットフォーム間でカタログを自動的に同期し、注文と返品を監視することができる。Klaviyo(Shopifyが提供するメルマガ配信アプリ)のユーザーであれば、「Buy with Prime」にある、購入データを同期してターゲットを絞ったメッセージで顧客にアプローチするためのインテグレーション機能も利用可能だ。Klaviyoを利用することで、買い物客を再エンゲージし、Prime会員にリピートしてもらい、自社サイトで「Buy with Prime」を利用してチェックアウトを完了するよう促すことができる。


貴社ブランドは、氏名、メールアドレス、配送先住所、電話番号などの買い物客の情報にアクセスすることができる。AmazonはPrimeに関する顧客データも取得するが、貴社サイトにおけるPrime以外の注文関連データを取得することはない。


私の会社のChannel Op(Amazonに焦点を当てたデジタルマーケティングエージェンシー)では、ブランドがAmazonのツールを使ってブランド力を高めるのを見たいと思っている。Amazonの最大の強みは、マーケットプレイスに多様なセラーがいることだ。しかし、Amazonとそのウェブサイトでの在庫の動きには、時として不均衡がある。あるブランドのウェブサイトでは売れているのに、Amazonでは売れていない商品がある場合、「Buy with Prime」を使えば、Amazonにある在庫を移動させることができる。これは、貴社ブランドのツールベルトにもう一つのツールが加わることになるだろう。


Amazonがこれらのツールをアップデートすることを期待している。私が望んでいる機能のひとつが、「Buy with Prime」の買い物かごだ。現在、チェックアウトはユニットごとに行われており、オンラインショッピングの利用者は1ユニットのトランザクションに制限されている。レジかごに1つの商品だけでなく、3つ入れられるようになれば、利益率が上がるだろう。


より多くのブランドが、Amazon Primeに寄せるオンライン買い物客の信頼を活用できるようになることを期待している。すでにフルフィルメント by Amazonを利用している企業にとっても、サードパーティにとっても、「Buy with Prime」はカスタマージャーニーに付加価値をもたらすものだ。


※当記事は米国メディア「Entrepreneur」の8/25公開の記事を翻訳・補足したものです。