コールトラッキング(電話アクセス解析)は、エージェンシー(広告代理店)が戦略的ビジネスパートナーとしての地位を高めるために役立つ。そして、コールトラッキングの継続的な進化に伴い、多くのエージェンシーにとって差別化のポイントとなる。
コールトラッキングやデジタルマーケティングツールが普及する以前、企業は、顧客に依存して広告効果のトラッキングを行なっていた。顧客からの電話が鳴ると、顧客が覚えていることを期待し「当社をどのようにお知りになりましたか?」と尋ねていた。
現在では、米国広告費の半分以上をデジタル広告が占めるようになった。デジタルトランスフォーメーションにより、マーケティングや広告がデジタルチャネルに大きくシフトしただけではない。デジタルマーケティングエージェンシーにとって、以下のことを可能にした。
- 複雑なカスタマージャーニーのモニタリングと分析の向上
- クライアントに対するキャンペーン成果のハードデータでの提示
- カスタマージャーニーに関するクライアントへの教育の容易化
- クライアントのリードへの適切なフォローアップ実現のサポート
しかし、上記マーケティング活動には、適切なツールとテクノロジーが不可欠である。そのため、CallRail(データ主導のマーケティングアトリビューションおよびリード管理プラットフォーム)は、10年前に、シンプルかつパワフルで、あらゆる企業が利用できるように開発したセルフサービス・コールトラッキングソリューションを発売した。「2011年当時、誰もが利用できるコールアナリティクスは提供されていなかった。そして、中小企業の特定のニーズに適するものもなかった」と、CallRailの共同設立者兼CEOのAndy Powell氏は語っている。
今では、ほとんどのデジタルエージェンシーが、コールトラッキングなしではビジネスを継続できない。実際、調査対象となったマーケティングエージェンシーのリーダーの95%が、コールトラッキングは、自社ビジネスにとって「非常に重要である」または「重要である」と回答している。
コールトラッキングを戦略的ビジネスパートナーシップ構築に活用するエージェンシー
エージェンシーは、コールトラッキングなどの技術を使って、リードをより正確にトラッキングすることで、これまで以上に強力な戦略的ビジネスパートナーとしての役割を果たすことができる。コールトラッキングは、マーケティング担当者の助けとなり、エージェンシーとクライアントの関係をより強固なものにする。
- マーケティング担当者は、レポート作成に悩まされるのではなく、マーケティングミックスの改善により注力することができる。レポートを自動化することにより、エージェンシーは、どのチャネルにおいて顧客にリーチできているかを調査する時間ができ、必要な調整を行うことができる。
- コールトラッキングとウェブフォームトラッキングを併用することで、カスタマージャーニーの複雑な性質をクライアントに理解してもらうことができる。コールトラッキングは、電話をかけるきっかけとなった広告やキーワードを示し、フォームトラッキングは、フォーム送信のきっかけとなったものを示す。このように全体像を捉えることで、エージェンシーは、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことが可能となる。
- 会話インテリジェンスを使って、クライアントのバイヤーペルソナ(企業の製品やサービスにおける理想的な顧客モデル)やクライアントや業界に対する理解を深めることができる。通話録音と文字による通話記録によって、顧客の真の動機に関するインサイトや、詳細な業界のトレンドやニュースを獲得することができる。
- クライアントに対し、従業員教育の改善点を示すことができる。顧客インサイトは、クライアントの従業員が、見込み客や顧客と接する際の妥当性や有効性についての情報をクライアントに提供する際に役立つ。
- クライアントへの価値証明が容易になる。明確で詳細なレポートを提供することにより、クライアントは、マーケティング活動がどのようにビジネスを改善しているかを知ることができる。
CallRail社が行なった最近の調査では、67%のエージェンシーが、クライアントが自社を選んだ最大の理由は、クライアントに対する強力な戦略的パートナーとしての地位を確立していたからだと回答。エージェンシーは、マーケティングの原理や施策に関する知識を提供し、クライアントがより効率的に成長し、広告費を賢く使うための最新ツールの活用法を指導する能力を持つことにより、クライアントとの信頼関係を築くチャンスを得る。
デジタルマーケティングエージェンシーであるNifty Marketingのクライアントサクセス部門ディレクターRyan Amen氏は、コールトラッキング分析機能が、エージェンシーの戦略的パートナーとしてのポシションを高めるのに役立っていると語った。「コールトラッキングによって、クライアントは、何がきっかけで電話がかかってきたのかを理解することができる。そして、クライアントが、いかにマーケティング活動が受電に直結しているかを知ることで、私たちの活動の価値を認識することになる。クライアントが疑心暗鬼になったときに、コールトラッキングによって、そのアトリビューションを証明したことが幾度となくある」。
オムニチャネル・マーケティング課題を統合リード・トラッキングで解決
顧客は、オムニチャネル・マーケティングおいて、一貫したエクスペリエンスが提供されることを望んでいる。しかし企業は、IDデータ検証、データ統合、マルチタッチ・アトリビューションなどの大きな課題に直面している。顧客関係管理ソリューションを提供するSalesforceの調査によると、4分の3以上の顧客が「コンテキストに応じて異なるチャネルを選択する」と回答し、74%が「1回の取引を完了するために複数チャネルを使用したことがある」と回答している。
顧客が利用するチャネルの数が増加するほど、カスタマージャーニーはより複雑になる。そして、エージェンシーやそのクライアントは、顧客の購買意思決定に影響を与えるメッセージングやチャネルを理解するために、オムニチャネルアプローチを取り入れる必要がある。しかし、オムニチャネルのカスタマージャーニーを管理することは、大企業のようなリソースや専門知識、予算を持たない中小企業にとっては、特に困難である。そこでエージェンシーは、オムニチャネルという状況でのビジネスをナビゲートし、また、そのために必要なツールを提供することによって、中小企業にとって価値が高い戦略的パートナーとなり得る。
企業は、エージェンシーと提携し統合リード・トラッキングを利用することにより、オムニチャネル・マーケティングを改善することができる。代理店は、顧客がどのようにクライアントのビジネスを発見し、クライアントとの交流方法を選択しているかをクライアントが理解するためのサポートを行い、リードコミュニケーション・データを合理化、一元化するためのCallRail社Lead Centerのようなリード管理・コミュニケーションソリューションを提案することができる。また、エージェンシーがクライアントをサポートする方法には以下のようなものがある。
- データの分析と活用
- マルチタッチ・アトリビューションの簡素化
- 顧客対応時間の短縮
- 顧客が希望するチャネルでのフォローアップ
コールトラッキングによるエージェンシー向け分析の簡素化
デジタルマーケティングや広告における選択肢が増加したにもかかわらず、顧客の60%は、今も電話をかけることを好む。これは、e メールを選択する顧客の約4倍である。電話は何十年にもわたりビジネスにとって不可欠な存在のままであるが、変化したのは、コールトラッキング技術がいかに洗練され、利用しやすいものに進化したかということである。
10年ほど前までは、コールトラッキングツールは、高価で、導入が煩雑で、手間がかかるため、大企業のみが利用するものだった。ペイ・パー・クリック(PPC)広告やGoogleマイビジネス(Googleが提供している無料のローカルビジネス登録サービス)が登場し、CallRailのような業界リーダーは、手頃な価格のセルフサービス型の顧客活動やリードをトラッキングするためのオプションが必要だと考えた。これらのオプションは、企業とその代理店の両方にとって、キャンペーンの可視性と透明性を向上させる。
現在では、中小企業もこれらのツールを利用して、市場競争力を高めることができる。コールトラッキングとフォームトラッキングの統合ツールは、より正確にパフォーマンスを測定し、より明確なインサイトを提供すると同時に、分析を簡素化することができる。これは、多数のクライアントとそのチャネルを抱えているエージェンシーにとっては、特に有効である。
テキサス州の広告代理店であるSwash Labs社のメディア&プランニング担当ディレクター、Stephanie Delk氏は、すべてのマーケティングリードをトラッキングするための単一プラットフォームの必要性について次のように述べている。「中堅企業と提携する場合、それらの多くはさまざまな機能を持つ異なるソリューションを使用しているが、すべてのソリューションを結びつけられるのはCallRailしかない。同社は、フォーム、コール、ソーシャルプラットフォームのすべてを1箇所で分析することができる」と述べている。
アナリティクス時代にエージェンシーが注目されるためには
多くの企業では、データが氾濫するあまり、データを処理するための実行可能な方法がわからなくなっている。そのため、企業がデータを活用できるようにサポートするエージェンシーが、マーケティングの未来を担うことになるだろう。
「今後10年間で、コールトラッキングは拡大し続け、通話だけではなく、真のビジネスの全体像や顧客への見え方までを含有するものになるだろう」と、CallRail社の最高技術責任者であるElliot Wood氏は述べている。「オムニチャネル・コミュニケーション・パッケージをいかにしてエージェンシーに提供するかという点が、ますます重要になる。しかし、マーケティングアトリビューションに従事する社員が限られる場合でも、顧客意図を把握し、リードが、本当に求めているタイプのリードであるかどうかを簡単に識別できるように、インテリジェンスを蓄積していく必要があるだろう」。
コールトラッキングは、企業が確実に論理に基づいてマーケティング投資の意思決定を行うための、データを駆動した高度技術へと進化している。CallRailは、エージェンシーが顧客の望む包括的ソリューションを提供できるようサポートする。コールトラッキングは、マーケティングやリードアトリビューションにますます不可欠なものとなっており、今後も改良を重ね、より革新的なものになるだろう。また、データに基づいた意思決定を行い、クライアントに明確なROIを示したいと考えるエージェンシー内マーケティング担当者にとっても、その必要性はますます高まっていくだろう。
「私たちは、常に次のトレンドを予測している」とAndy Powell氏は言う。「私たちが取り組むべき最も重要なことは、コールトラッキング市場がどこに向かっているのかを見極めることだ。常に、私たちの顧客から学び、顧客とパートナーシップを組み、自社製品を拡大していく。そうすることにより、エージェンシーの効率と生産性の向上に貢献しつつ、常に現状を打破している」。
マーケティングの未来は高度分析にあり、エージェンシーが競争力を維持するためには、包括的なトラッキングソリューションをツールキットに備えている必要がある。そうして、クライアントの戦略的ビジネスパートナーとなることが可能になるのだ。Ryan Amen氏は、次のように付け加えている。「すべての点をつなぐことができるかどうかにかかっている。カスタマージャーニー全体に対する理解を深め、その全体像を把握するために有効なものすべてに、高い価値があるのだ」。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/9公開の記事を翻訳・補足したものです。