モバイルショッピング広告プラットフォームS4Mは、英国の大手市場調査会社IHS Markitに委託し、Drive-to-Store(消費者に店舗への来店を促し、オンライン投資をオフラインの効果に帰因させるマーケティング方法)広告についての調査結果を発表した。S4Mによれば、「Drive-to-Store広告の現状2019」は、あらゆるメディアにおけるDrive-to-Storeキャンペーンの広告市場規模を評価した初めての調査だという。この調査では、IHS Markitによる市場データと予測を裏付けるため、全ての小売業界の中から400社の広告主が調査対象となった。

 

注目すべき数字

2019年の小売業者によるDrive-to-Store広告費用は、世界の小売業界全体の広告予算の58%である550億ユーロ(490億ポンド)に達すると予測されている。

2019年の米国におけるDrive-to-Store広告費用の占める割合も、全世界の割合と同じ58%であり、190億ユーロに達する勢い。

自動車業界は、Drive-to-Store投資のリーディング・セクターであり、2018年には150億ユーロを費やしている。

米国でのリーディング・セクターも、自動車業界であり、食料品業界がそれに続く。2018年の市場規模は、自動車業界が60億ユーロ、食料品業界が40億ユーロであった。2023年にはそれぞれ70億ユーロ、60億ユーロに達すると予測されている。

世界的にみて、2023年にはDrive-to-Store投資対象となる主要なフォーマットはモバイルになると考えられ、その割合は2018年の19%から2023年には26%になると予測されている。米国においては、成長率が2018年の22%から、2023年には28%に達することになるだろう。

小売業者がDrive-to-Store広告への投資に力を入れている第一の理由は、主に、売上と店舗来店数に対する広告効果が挙げられている。反対に、Drive-to-Storeキャンペーンがどの程度の効果があるかを測定していない広告主は、その主な理由として、導入可能な測定ツールについて十分な知識がないことを挙げている。

 

重要な調査結果

デジタルが牽引するDrive-to-Store広告の成長

来店客数を増やすことは、常に小売業の主要な目標の1つであり、広告主の広告戦略の大部分は来店客数増加のために構築されていると言っても過言ではない。事実、全世界においてDrive-to-Store広告への投資額は増加しており、2018年は小売業者の全広告投資の54%であったのに対し、2023年には65%に達すると予測されている。この成長は、主に、店舗来客数増加を目的に小売業者が使用する主要なデジタル媒体によるといえる。 実際、世界的にみてデジタルが占めるDrive-to-Store支出の割合は、2018年が54%であったのに対し、2023年には68%にのぼると考えられる。

 

より多くの広告主が求めるリアルタイムの測定、および最適化できるアクティベーション

Drive-to-Store広告の台頭は、効果的かつ測定可能なソリューションに対する需要の高まりによってもたらされた。これらの新しいソリューションは、モバイル使用の飛躍的な成長とモバイルの技術的特異性によって生み出された。特に位置情報データの活用によって、ブランドはオンラインとオフラインのギャップを埋めることが可能となった。これが、今後数年間で、Drive-to-Store広告のメディアミックス(複数のメディアを組み合わせて効果を高めるための広告活動)が、著しく成長すると考えられる理由だ。そしてその成長は、今回調査対象となった広告主が、販売拠点への来客数増加において、最も高いパフォーマンスを提供すると考えるモバイルとソーシャルメディアの2つのメディアチャネルによって牽引されるだろう。

 

同時に、2023年までにモバイルは、米国の小売業者にとって最も効果が高いと認識されるチャネルになると予測される。今回の調査によると、米国の小売業者はDrive-to-Store広告の費用の28%をモバイルに費やすという。これとは対照的に、この調査において、小売業者は屋外広告やチラシに費やすのは、Drive-to-Store広告予算の4%、デスクトップにおいてはわずか3%とみている。このように消極的な数字にも関わらず、小売業者は消費者を店舗へ誘導するため、メディアミックスにおいて引き続き従来型メディアを使用するだろう。その一方で、オンデマンドテレビ、プログラマティックオーディオ、および屋外デジタルなどのデジタルソリューションへの利用も増加する見込みだ。

 

小売業者は、従来のメディアKPI(主要業績評価指標)を放棄し、実店舗におけるDrive-to-Store戦略による効果を具体的に測定したいと考えている

この調査によると、Drive-to-Store戦略を実行する広告主は、主に、自社の販売拠点における具体的な効果を測定する方法を模索しているという。そのため、広告主がDrive-to-Store戦略の効果測定指標として最初に挙げた主要業績評価指標(KPI)は、来客数、特に増加した来客数、および店舗での売上となった。リーチ(どのくらいユーザーが閲覧したかを示す広告の到達率)、クリック率、繰り返し数などの従来のメディアKPIは、最も下位にランク付けされている。

 

Drive-to-Store広告をより積極的に活用するセクター

米国では、Drive-to-Store広告がすでに確立されている。その成長は他の広告市場を上回り、2023年までに、小売事業者による広告支出の約64%に達すると予測されている。自動車業界が、引き続きDrive-to-Store広告市場を独占し、2023年には、その市場規模が70億ユーロ(総広告予算の52%)に達すると予測される。しかし、自動車業界だけがDrive-to-Store広告に多大な投資を行っているわけではない。食料品業界では60億ユーロ、レストラン業界では50億ユーロを、それぞれDrive-to-Store広告へ投資しており、自動車業界に次ぐ大規模セクターとなっている。

 

さらに、すべてのカテゴリの米国小売業界の広告は、引き続き、デジタルメディアが独占し、2023年までには、70%近くを占めると見込まれている。また、モバイルがDrive-to-Store広告市場をリードし、2023年までに28%のシェアを獲得する予想。ソーシャルメディアのシェアは、2018年の9%から2023年には21%まで成長するだろう。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の6/17公開の記事を翻訳・補足したものです。