顧客ロイヤルティスキームとデジタル・リワード・プラットフォームを提供するSaaS(サービス型ソフトウェア)プラットフォーム会社Eagle Eyeは、「The Digital Imperative」レポートをリリース。今回のレポートでは、パフォーマンス主導型マーケティングに関する現在の傾向とインサイトを詳述している。Eagle Eyeは、同社のカスタムソフトウェア「Eagle Eye AIR」を通じて、顧客ロイヤルティ・プログラムやスタッフ・ロイヤルティ・リワードなどのデジタルサービスを提供。このレポートにおいて同社アナリストは、ロイヤルティやリワード・プログラムを実施することで、魅力的な顧客との関係を構築し、それを維持することの重要性について概説している。

 

Eagle Eyeの業界インサイト統括責任者であるMiya Knights氏は、次のように述べている。「現在、大多数の顧客がデジタル環境でショッピングをし、様々なアクティビティを行なっている。つまり、デジタル環境での顧客とのコネクションを確立することは、企業にとって不可欠である」。さらに、「小売業者は、オンライン、もしくは、実店舗どちらかだけのビジネスを行っている限り、顧客のショッピングジャーニーのごく一部しか見えていないという事実をよく認識しているはずだ」と言う。

 

今回の調査は、デジタルチャネルにおける顧客エンゲージメントがもたらす影響を深く理解するために、米国、オーストラリア、英国、およびカナダの4,000人以上の消費者を対象として実施された。

 

今回の調査による重要な発見は次の4つである。

「小売業者とブランドは、パーソナライズされたショッピングジャーニーを提供するために、顧客とデジタル環境でのコネクションを確立しなければならない」

「オンラインの買い物客は、eメール、モバイルおよびオンラインのコードやクーポンのオファーとプロモーションを好む」

「消費者は、自分に関連性の高いマーケティングが行われることを期待している」

「今まで以上に消費者は、マーケティングの対象からオプトアウト(Eメール配信や情報提供の受け取りなどに対する登録や同意を取り消すこと)することが可能であることを認識している」

 

「自社の顧客について、その好みやカスタマージャーニーなどを完全に把握していなければ、どうやって彼らのニーズに対応することができるだろうか?また、どうやって、デジタルにもテクノロジーにも精通し、システムの活用方法を知っている顧客に対して、遅れをとらずにいられるだろうか?」と、Knights氏。「消費者は、すでに、小売業者よりも2、3歩先を行っている。顧客とデジタル環境においてコネクションを確立していなければ、顧客の行動をトラッキングすることは不可能である」。

 

Eagle Eyeによると、顧客とのデジタル環境でのコネクションを持つことで、より効率的な方法で顧客データを追跡することが可能となり、リピーター顧客に対してデータを利用したパーソナライズされたキャンペーン、プロモーション、およびクーポンを提供することができるとのこと。そこでKnights氏は、小売業者が「GIVE-TO-GET(見返りを期待して提供する)」という考え方を理解する必要性を強調している。消費者が、自分のショッピング履歴、検索履歴および他のデータを小売業者に提供するのは、見返りとして“より関連性の高いパーソナライズされたデジタルプロモーションの提供”を望んでいるからなのである。

 

今回のレポートによると、31%の消費者が、「ブランドまたは小売業者が提供するロイヤルティ・プログラムや他のタイプのリワード・プログラムが、購入決定に大きい影響力を及ぼす」と回答。さらに、94%の消費者は、オファーやプロモーションの利用を決定する上で、「自分と関連性があるかどうか」が最も重要な要素であると回答した。

 

「もし私が消費者で、小売業者に自身の個人データを提供するならば、それに値する何かしらの見返りを期待できると認識している。感謝されるだけなのか、特別な特典の提供があるのかはともかく、私は、匿名の顧客が提供していない「個人情報」を提供しているのだ。したがって、私はより価値がある顧客であり、小売業者は、本人が“特別な顧客である”と感じられるような対応をする必要があるのではないか」と、Knights氏は述べている。

 

The Digital Imperativeレポートによると、過去6ヶ月間で、32%の消費者がeメールマーケティングとプロモーションからオプトアウトしている。Knigts氏は、オプトアウトの原因として、顧客との関連性が欠如したリワードプロモーションの提供など、いくつかの原因を挙げることができると述べている。もし過去の購入履歴や、実際に興味がある商品とは無関係のプロモーションをひっきりなしに、まるで迷惑メールのように送信されたら、その顧客はデータ共有を拒否するだろう。米国の32%、英国の28%、そしてカナダとオーストラリアの34%の買い物客は、「過去6か月以内に最も頻繁に利用しているブランドのeメールマーケティングとプロモーションからオプトアウトした」と回答している。

 

「GIVE-TO-GET」という動きは、まさに、当然の報いである。この考え方は北米の消費者が最も意識していることであり、その結果、彼らは自身の個人データの価値を認識するようになった」と、Knights氏。「私をよく理解するつもりがないのであれば、私は自身のデータを提供しない」。

 

米国でオプトアウトが増加しているもう1つの理由は、最近の特にFacebookとCambridge Analytica間のデータ流用事件などから生じた、セキュリティとプライバシー問題への懸念だろうと、Knights氏は指摘している。さらに、FacebookやGoogle、Androidの幹部も、昨年の米議会で消費者データとロケーションの違法な収集と追跡について証言しなければならなかった。セキュリティとプライバシーに関する懸念は、米国とカナダで最も拡がっており、ヨーロッパでは、より厳しいGDPR(EU一般データ保護規則)が発効されている。

 

「我々の調査からは、米国では個人データに対する意識に大きな変化があったが、カナダではそれほどではなく、英国およびオーストラリアでは全く変化がないことがわかった。それは、米国の消費者がFacebookによるデータ不正使用を知り、マーケティングキャンペーンへの参加から身を引くという直接的な相関関係であると考える」と、Knights氏は述べている。

 

しかし、ロイヤルティスキームは、消費者と小売業者の両方でますます普及している。今回の調査対象の消費者の約3分の2が、調査実施前2週間以内にロイヤリティプログラムポイント、割引クーポン、および(または)、バウチャー(商品引換券)を集めたり、利用したりしていたのだ。Knights氏は、マーケティング費用を最適化し、投資収益率を最大化するために、Eagle EyeのようなSaaSプラットフォームを利用することの重要性を強調している。

 

「クーポン、バウチャー、リワード・プログラム、ロイヤリティ・ポイントの配布をデジタル化することで、不正行為を排除できる」と、Knights氏。「また、それらのデジタルクッキーを利用し、インタラクションや購入情報を収集したり、マーケティング支出を、そのコードやプロモーションに結び付けたりすることもできる。そうすれば、『○○ドルを費やし、○○の売り上げを達成したが、実際に何枚のクーポンがその売り上げに貢献したかが不明』というような事態は避けられる」。

 

Knights氏は、「クーポン発行から回収までを管理するEagle Eyeのクーポンプラットフォームを使用すると、非常に厳密に運営することが可能となるだろう。その結果、顧客が望むものを提供し、意味のある継続的なリレーションシップへとつながるデジタル環境下でのコネクションを生み出すことができる。そして、より多くのデータを取得し、インタラクティブな方法でマーケティングエンジンにフィードバックし、よりカスタマイズされた効果的なキャンペーンを構築することが可能となる」と結論付けた。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の1/21公開の記事を翻訳・補足したものです。