英国の化粧品・バス用品メーカーLushは、ソーシャルメディアの閉鎖を決定した。同社は、常に注目を引く策を講じなければならないアルゴリズムを非難している。
Twitterでは「アルゴリズムと闘うことに疲れた」とツイートし、「ニュースフィードのより優位に表示されるために予算を費やすつもりはない」と述べている。
Lush UKのSNSのフォロワー数は、Twitterで20万2千人、Instagramで56万9千人であり、Facebookの「いいね」獲得数は42万3千人を超えている。これほどの相当なフォロワー数にもかかわらず、LushはLush Kitchen、Lush Times、Lush Life、Soapbox、GorillaのすべてのSNSアカウントを閉鎖する意向だ。
「ソーシャルメディア上では、私たちが顧客と直接話すことがますます難しくなってきている。そこでソーシャルチャネルとは決別し、代わりにお客様と私たちの会話のチャンスを広げることにした」とLushは言う。
この決定により顧客は、オンラインでのライブチャットやeメール、電話にてのみ同ブランドとコンタクトを取ることが可能に。なお、英国では閉鎖するが、Lush North Americaはソーシャルメディアのアカウントをそのまま継続する予定だ。
「通常、常にブランドというものはオンライン中の顧客をあらゆる場所でターゲットにする機会を狙っているものだ。ソーシャルメディアに相当な時間が費やされる今の時代に、SNSのメインアカウントを削除するというLushの決断は、顧客が同ブランドとコミュニケーションを取ったり、その商品を見つけたりすることを困難にさせてしまうだろう。同社は、インフルエンサーコミュニティを通じたSNSの利用はそのまま続けるようなので、ソーシャルメディアから完全に撤退するわけではないようだ。したがって、今回のLushの戦略は、顧客との交流の可能性を単にせばめてしまうだけのように思われる」と、フィンランドの広告スタートアップSmartlyのヨーロッパ中東アフリカ地区総支配人Andrew French氏は言う。
「これは、Lushが、自社オーディエンスがオンラインで何をチェックしているかを確認する機能を大幅に失うことを意味している。また、SNSでのクリエイティブやメッセージングに対する影響力も失い、収入機会にも影響を及ぼすだろう。ブランドはアルゴリズムと戦うのではなく、それを受け入れ、新たなチャネルやフォーマットが提供する絶えず変化する可能性を活かし、顧客と交流すべきである」。
さらに同氏は、「パーソナライズされた関連性の高いSNS上のコミュニケーションは、まさに顧客主体の情報、オファー、ニュースの共有方法である。もしLushがソーシャル広告にお金を費やしたくないのであればそうする必要はない。しかし、顧客とのこれほど貴重なタッチポイントを一斉になくしてしまうということは、顧客にとってストレスとなり、同社に代わる他のブランドに乗り換えることになりかねない」と加えている。
※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の4/10公開の記事を翻訳・補足したものです。