Googleの検索担当リエゾン(連絡・広報)であるDanny Sullivan氏による、SEOに関するヒントと好結果をもたらすコンテンツやWebサイトの作り方とは。

 

Googleの検索担当リエゾン(連絡・広報担当)であるDanny Sullivan氏は、「Google検索からのオーガニックトラフィック獲得に悩んでいるなら、次の3つの主な領域に注力するべきだ」と言う。

 

  • 高品質のコンテンツを作り続ける。読者にとって最善だと思うことをしよう
  • トラフィックソースを多様化し、コンテンツを複数のチャネルで宣伝する
  • 直接もしくはeメールやソーシャルメディア経由でオーディエンスとエンゲージメントを築く

 

どれも目新しいことではなく、どれも簡単なことでもなく、このアドバイスのどれも人々を幸せにするようなものではない。

 

意味すること

Google検索で成功するには、GoogleやSEOの既成概念にとらわれずに考えなければならない。SEOの裏ワザや抜け穴の時代は、急速に終焉を迎えている。重要なSEO要素すべてに焦点を当て、長期戦に臨む人が、SEOの未来を勝ち取るであろう。

 

関心を持つ理由

Googleのアドバイスは「役に立つコンテンツを作成すること」に変異しがちで、そのことへの不満は今も続いている。Googleは有益なコンテンツを作成するために必要なすべてを教えるわけでも、それを評価する手助けをするわけでもない。オーディエンスをどう増やすかを考えるのは私たちの仕事である。Google検索によるトラフィックの流入や、ビジビリティ(検索時の発見しやすさ)の向上を期待するのは戦略ではない。

 

優れたコンテンツにするには

Sullivan氏によれば、楽しみにしている読者の心に響くコンテンツを作成することが極めて重要であるという。しかし、それが唯一の要素ではない。

 

「先に話した通り、誰もが読者にとって最善だと思うことを、できる限りすることに集中すべきだと考える」とSullivan氏は語った。「さまざまな方面から多くのアドバイスを受けて、さらにGoogleがやっていると思われること、あるいはやっていないと思われることを耳にして混乱することもあるだろう。本当はコンテンツに集中したいだけなのに。迷ったら、もう一度そこに注力してほしい。それがあなたの試金石になる」。

 

Sullivan氏は、米国のSEO代理店iPullRankのCEOであるMike King氏のアドバイスを引用した。

 

「優れたコンテンツを作成し、適切に宣伝すること。これは冗談だが、本気でもある。Googleはそのアドバイスをし続けているが、私たちは実行できないと躊躇(ちゅうちょ)している。SEO担当者にはコントロールできない場合もある。Googleに優位性を与えているこれらの機能を検討した結果、より良いコンテンツを作成し、それに共感するオーディエンスに宣伝することが、これらの方策に最大の効果をもたらすことは明らかである。リンクやコンテンツ機能の測定は、かなりの成果をあげることは確かだろうが、本当にGoogleで長期的に勝ちたいのであれば、ランクインに値するものを作り続けなければならないだろう」。

 

出典:「Secrets from the Algorithm: Google Search’s Internal Engineering Documentation Has Leaked(アルゴリズムの秘密:Google検索の内部エンジニアリング文書が流出)」

 

最近のGoogleアルゴリズムアップデートの影響を受けたWebサイトは、今後のGoogleコアアップデートによっていくらか不安が改善されるかもしれない。しかし、以前と同様にSullivan氏は、それがGoogleの問題である可能性を認めている。「また、ここで述べたように、これらのケースは、サイトではなくGoogleが原因の場合もある。今後リリースするアップデートは、こういったケースでもっと上手く機能することがあるかもしれない」。

 

トラフィックソースの多様化

たとえばGoogle検索だけ、というようなひとつのトラフィックソースに頼ることは避けるべきだ。複数のトラフィックソースを持つことは有益である。しかし、これもSEOの成功を保証するものではない。

 

Sullivan氏は、「サイト外での取り組みについての質問だが、私がGoogle検索で働く前から知っていること、そして検索ランキングチームの一員になってから知ったことから、Google検索で成功する方法のひとつは、Google検索の枠を超えて考えることだと思う」と語った。

 

「人々が好むコンテンツを持つ優れたサイトは、さまざまな方法でトラフィックを集める。利用者は直接サイトを訪れる。それはeメール経由であることも多い」と、同氏。「ほかのサイトのリンク経由のこともある。ソーシャルメディアでのメンションであることも。これは、ソーシャルでのメンションやeメールでのメンションを大量に得れば、魔法のようにGoogleでのランクが上がるという意味ではない(私が知る限りそのようなことはない)。これはGoogleのためだけではなく、利用者のためになるという意味で、普通のサイトを構築している可能性が高いことを意味する。私たちのランキングシステムは、利用者にとって良いコンテンツに報いるためにあるのだ」。

 

オーディエンスを作る

Sullivan氏は、Google入社前にSearch Engine LandMarTechの姉妹サイト。SEO、PPC、検索に関するニュース、情報、洞察などを提供している。本社:米国)を含む2つのWebサイトを運営していた。どちらもゼロからのスタートだったが、彼はどちらをも有名で、権威があり、信頼され、利益を生む存在へと成長させることに成功した。

 

どのようなことを行ったのか。Sullivan氏は個人的な例を紹介した。「私はハイキングが好きだ。数年前、あるハイキング情報を探しているときに、素晴らしい一人用ハイキングサイトを見つけ、ニュースレターに登録した。今では常連だ。検索は、読者や顧客と長期的な関係を築くための素晴らしい導入である。私の主要な目標は常に、利用者がサイトを訪れた後、eメール、フィード、ソーシャルメディアでつながることだった」。

同氏は、eメールリストやソーシャルアカウントなどオーディエンスにリーチする複数の方法を展開する必要性を強調している。

 

多彩なシグナル

これはSEOにおける、永遠の「卵が先か鶏が先か問題」である。Googleにランクインしていないから、人々はあなたの素晴らしいコンテンツを見つけられないのだ。

 

NavBoost(Googleのアルゴリズムの一部で、ユーザーのクリックデータを検索結果に順位付ける要因のひとつ)とユーザーのインタラクション(クリック)がランキングに影響を与えるというGoogleのリークと暴露情報を踏まえて、Sullivan氏は「それがすべてだと言うなら、そもそも誰もランクインしないだろう。(中略)新しいサイト(かつては新しいサイトであったはずのあなたのサイトも含めて)は、どうやって見られるのだろうか。現実には、私たちは専ら『集約され匿名化されたインタラクションデータ』だけでなく、さまざまなランキングシグナルを使用しているのだ」。

 

Sullivan氏の投稿
彼のX(旧Twitter)での投稿については、こちらこちらこちらこちらから読むことができる。

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の6/10公開の記事を翻訳・補足したものです。