「コンテンツマーケティング」という言葉の表す領域は広く、複数の解釈ができる用語である。それはブログ投稿を意味することもあるし、インタラクティブなコンテンツを意味することもある。1800年代に遡ると、世界最大の建設機械メーカーJohn Deereは、コンテンツマーケティングとしてなんと印刷雑誌を発行していたくらいだ。

マーケティングに使用されるコンテンツの形式や種類に関係なく、有用な情報や面白い情報を、ユーザーに語りかけるように伝えることは、優れたマーケティングにとっては常に必要不可欠だ。コンテンツマーケティングとは、自社Webページ(コンテンツ)を関連性の高いオーディエンスに対し、オンライン上で宣伝すること(ソーシャルメディアや他のWebサイトを介したマーケティング)であり、サーチ広告と同じである。

今回は、クライアントが利用可能なコンテンツマーケティングの機会を見出し、有効活用するサポートを行うために実践しているプロセスを説明していこう。

 

既存のコンテンツから始める

コンテンツマーケティングを展開し始めるのに最適な場所は、既存のページである。そこには既にコンテンツが存在しているため、先行投資が最小限で済むからだ。

Googleが提供するアクセス解析ツールGoogle Analyticsを利用し、自社の最も効果の高いページ上でのオーガニックトラフィックにおける機会を見出すことは簡単である。自身のサイトがどのようにトラフィックを獲得しているかを理解することは重要だが、さらに新たなチャンスを求めていきたい。自社のベストなページはすでに効果をあげているが、さらなる成長を達成するために新しい機会を捉える必要があるのだ。

 

既存のページで新たな機会を見つける

新たなコンテンツマーケティングの機会を見つけるには、まずはGoogle 検索結果におけるサイトの掲載順位を監視・管理・改善する際に役立つ無料サービスGoogleサーチコンソール(以下GSC)から始めよう。GSCでは、Webサイトに関連付けられたキーワードや検索クエリを分析し、Google検索で獲得したクリック数とインプレッションを確認できる。また個々のページのクリック数とインプレッションを分析することも可能だ。

クエリとページを比較し、ページが上位クエリにマッチしているかどうかを確認する。クリック数やインプレッションの増加を期待できるページはあるだろうか?GSCに表示されないさらに効果的なページがあるだろうか?これらの質問を自問したい。現在Googleが特定のクエリに関連付けているページよりも、検索ランキング上位に表示され、クリック数が多い既存ページを最適化して、宣伝できるチャンスがあるかもしれないのだ。

予算がある場合は、最も効果が高いページと効果が低いページを特定するのに役立つ優れたいくつかのツールを利用することも可能だ。以下のAhrefsMOZ、およびSEMrushといったツールは、コンテンツ分析のための様々な方法を提供する。

これらのツールは、自社サイトの最も効果的なコンテンツを見つけるために役立つだろう。しかし、もっと重要なのは、検索結果表示の1ページ目にランキングされることである。多くの場合、いくつかの簡単な最適化(タイトルの微調整、ヘッダータグなど)と更新が、検索ランキングで1ページ目に表示されるか2ページ目に表示されるかの違いを生むのだ。

新しいコンテンツを作成するよりも既存のページを更新する方がはるかに簡単であるため、現在のランキングを分析し、ライキングアップの機会があるかどうかを常に検証する必要があるだろう。

 

既存のコンテンツの更新、再利用、宣伝

既存のページに対する新しいコンテンツマーケティングの機会を特定できれば、次は実行に移すことだ。

全てではないとしても、既存ページに対してコンテンツマーケティングを行うときは大抵、ある程度の更新または再フォーマット、あるいはその両方を必要とする。単純に宣伝が不十分でパフォーマンスを向上させるためにより多くのリンク設定が必要な場合があるが、ほとんどの場合、ページ上の最適化を行う必要がある。

 

コンテンツを更新する

ページの更新は、ページ更新日を変更する以上の大きな意味がある。

既存のページの検索パフォーマンスを向上させるためには、ページ上で、より最新の詳細な情報を提供する相当なアップデートを行う必要がある。たとえば、最近、筆者が書いたあるガイドがいくつかのキーワードでランキングされていることがわかった。そして検索結果表示の最初のページにランキングさせるためその投稿をアップデートした。

通常行うアップデートは以下の通り。

 

・読みやすさを改善し、明確な情報階層のためにコンテンツを再構築。

・トピックに関するより深いリサーチを行い、より実用的な情報を提供。

・より正確な情報を提供するため、情報が古いセクションを書き直す。

・信頼できる外部情報源を関連リンクとして追加する。

・リンク先不明となった外部リンクを修正し、更新する。

・関連ページへの内部リンクを追加する。

・最新、高品質の画像を追加する。

 

これらの更新を行うには多大な時間を必要とするが、それでも新しいコンテンツのアイデアを生み出し一から新しい投稿をすることに比べれば、そこまでの時間と労力はかからない。そして何よりも重要なのは、このアップデートにより検索結果のトップに投稿がランキングされる可能性が高まることである。

 

コンテンツの再利用と再フォーマット

ページを更新し、コンテンツを再利用または再フォーマットすることで、ランキングの順位を上げることも可能だ。既存ページを新鮮で素晴らしいコンテンツを作成するためのショートカットとして、更新し、再利用、再フォーマットするのだ。

コンテンツを新しいフォーマットに変換、または、既存のページに新しいフォーマットを追加することにより、そのコンテンツの検索パフォーマンスが向上する場合がある。例えば、ページがターゲティングしているワードに対して、複数の動画検索結果が表示されている場合は、動画コンテンツを追加することでページの効果を高める可能性がある。その他の再フォーマットオプションは以下のとおり。

 

・リッチスニペット(検索結果一部として表示される要約文)を最適化するための、情報クエリ用の簡潔な定義、または箇条書きリストを、ページの上部に追加する。

・ツール、クイズ、ゲームなどの補完的なインタラクティブ要素を作成する。

・長文テキストを簡潔でわかりやすいインフォグラフィックに変換する。

・高品質のオリジナル写真と画像を開発する。

・動画またはオーディオコンテンツをブログの投稿内に含める。

 

コンテンツを再利用することで、ページに新たな命が吹き込まれる。しかし、それだけではなく、より優れたユーザーエクスペリエンスと検索意図に沿った的確な答えを生み出せば、オーガニック検索におけるそのページのパフォーマンスも向上させることが可能だ。

上位ランキングではあるものの1ページ目に表示されない場合は、現状の上位結果を分析し、フォーマットにおける傾向を特定できるかどうかを検討する。そして自社ページにこれらの要素がない場合は、その要素を追加するとページのランクを上げることができるだろう。

 

コンテンツ作成の機会を見つける

既存のページを最適化することが最も簡単な方法だが、オーガニック検索で長期的な成功を維持するには、新たなコンテンツを作成する必要もある。

コンテンツのインスピレーションは様々なソースからもたらされるが、検索において効果的なコンテンツを作成したい場合、ニッチ分析や、競合研究(自分のコンテンツの強みや提供できる価値を踏まえた上で他社の戦略やツールなどを日々チェックする)に焦点を当てる必要がある。

 

ニッチ分析

コンテンツマーケティングのニッチ分析では、オーディエンスがオンラインでどのように検索し、またどういったトピックに興味を持っているのかを調査する。

オーディエンスが自社のビジネスに関連するトピックに関する検索をどのように行っているか、及び、オーディエンスが使用する言語を理解する必要がある。単語の使用法の微妙な違いが検索ボリュームの大きな違いを生む可能性があるため、オーディエンスが使用する用語に一致するようにコンテンツを最適化する必要があるのだ。

 

例えば、検索ワード「coffee mug holder」と「coffee mug rack」の違いを見てみよう。(Moz’s Keyword Explorerを使用)。

 

「holder」と「rack」のわずかな違いが、月別の検索量ボリュームで約2,000の違いに相当する。筆者に「どちらがより検索量が多いのか」と質問してくれていれば、「rack」と正直に回答していただろう。このように、自社のオーディエンスが使用している言語を理解して、自社ブランドに関連する情報を見つけることが極めて重要なのだ。

フォーマットに注意を払うことは、ニッチ分析においても重要だ。あなたのオーディエンスが特定のフォーマットを好むことに気付いたなら(そして、そのフォーマットが検索結果のトップのサイトでも採用されていれば)、そのフォーマットで自社コンテンツを構築するべきである。

 

競合研究

競合研究は、コンテンツマーケティングにおけるギャップを見つける最良の方法の1つだ。複数の競合サイトにオーガニックトラフィックをもたらしているトピックがあり、そのトピックに対応するものが自社ページにない場合、コンテンツマーケティングにギャップがあるということだ。

SEMrushは、競合他社のWebサイトでどのキーワードやページが最もトラフィックを得ているかを(パーセンテージで)レポートしてくれるため、競合調査における最適なツールの1つである。一握りの競合他社に関するこれらのレポートをエクスポートすることで、傾向を比較し、自社サイトにも関連性の高いオーディエンスを呼び込む新しいコンテンツを制作する機会を得られる。

ここで重要なのは、トピックがオーディエンスにとって共感できるものであることを裏付けるために、複数の競合会社の傾向を探ることなのである。

その他の重要なポイントは、競合他社のページのクオリティをレビューすることだ。あなたは現実的に、同等かそれ以上のものをつくり出すことができるだろうか?もしその答えが「いいえ」の場合は、別のチャンスを探るべきである。なぜなら、その関連用語でランキングしたいのであれば、同等以上の品質のコンテンツを制作する必須条件となるからである。

 

結論

どこに着目すれば良いか理解していれば、コンテンツマーケティングの機会を見つけるのは容易なことなのである。

既存のページから始め、わずかな変更を加えることによりSEOに大きな影響を与え得る機会を特定するのだ。通常これには、何らかの再利用、再フォーマット、および更新が含まれる。

既存のページにおける機会を利用し終えたら、上位ランクの競合他社のページを調査するとともに、自社オーディエンスとニッチを分析し、コンテンツのインスピレーションを獲得しよう。

この簡単なプロセスに従うことにより、その先何年にもわたってコンテンツマーケティングが促進される。そして検索におけるパフォーマンスが向上し、サイトでオーガニックトラフィックを獲得できるコンテンツを構築することが可能になるだろう。

 

※当記事は英国メディア「Marketing Land」の8/1公開の記事を翻訳・補足したものです。