Shopifyで作成されたストアは、目的を「厳密なトランザクショナルキーワードでランキングすること」に置いてブログコンテンツを作成するといいだろう。

Shopifyで作成されたストアが、SEO最適化のためにブログコンテンツを作成することは、もっとも一般的な戦略である。しかしShopifyで作成されたストアが、インフォメーショナル(情報を収集することを目的とする情報型)なインテント(検索意図)を持つキーワードを、トランザクションページ(EC機能を持つページ)でターゲットにしているのを目にすることが多い。これにより、ストアが提供するコンテンツと、Googleが“喜んで”ランク付けするコンテンツとの間に矛盾が生まれている。その結果、そのShopifyで作成されたストアは、キーワードのインテントをサポートするページを持っていないことになる。本記事では、この矛盾を特定し、修正する方法について説明したい。

さっそく見ていこう。

 

Shopifyのキーワード・インテントを見極める

「selfie camera(自撮りカメラ)」というワードのクエリを例にしてみよう。表面上は、これはトランザクションクショナル(資料請求、購入、問い合わせといった、行動が明確に想定されている取引型)クエリのように見える。「selfie camera(自撮りカメラ)」というワードを購入目的で検索しているユーザーは、製品を購入するためにクエリを実行している。

しかし、GoogleのSERP(検索結果表示ページ)を見てみると、実際には違うことがわかる。

 

 

このワードに対する検索結果の上位3つは、すべて、トランザクショナルではなく、インフォメーショナル(情報収集型)な性質を持っている。つまり、もし、Shopifyストアが、このクエリでコレクションページをランキングさせようとしても、全く効果がない可能性があることを意味する。

 

これは、Googleが、キーワードに対するユーザーのインテントを表示している例である。これらの検索結果を表示することにより、Googleは、ユーザーがこのクエリによってインフォメーショナル な「Listicle (まとめ記事)」タイプのコンテンツを求めていることを示しているのだ。ユーザーは、Shopifyストア内で販売されている全ての「selfie camera(自撮りカメラ)」を見たいのではなく、市場が提供する自撮りカメラのなかで最高のものはどれかを知りたいと思っている。

 

このことは、カテゴリページにおいては、このキーワードでランクインする機会がないことを意味している。その代わりに、この熱望するキーワードでランクインする機会は、Shopifyブログの中にある

 

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もう一つの興味深い例がある。「best selfie camera(最高の自撮りカメラ)」というワードと同様に、「cloth diaper(布おむつ)」もトランザクショナルに思えるキーワードの例である。繰り返しになるが、表面的には、このキーワードは布おむつを購入したいと考えているユーザーによって検索されていると考えられる。

しかしSERPを見ると、それは、このワードでは部分的にしか当てはまらないことがわかる。そして、そこには様々なインテントが混在することもわかるだろう。

 

 

このように、ランキング上位3位までのページは、「cloth diaper(布おむつ)」の購入を検討しているユーザー向けのトランザクショナルページである。:

 

  1. Cotton Babiesの布おむつ – bumGenius(布おむつのバムジーニアス)のメーカー
  2. 再利用可能なビー布ポケットオムツ 6枚+6枚 – Amazon.com
  3. Green Mountain Diapers:赤ちゃんのための布おむつ

 

しかし、4位と5位の検索結果は、本質的に、よりインフォメーショナルである。

 

  1. 2020年の布おむつベスト6 – Babylist
  2. 布おむつ101:あなたが知っておくべきすべてのこと

 

これは、「ミックス・インテント」検索結果と呼ばれる。ここでは、2つの異なるユーザー・インテントが作用しており、1つは、トランザクショナル(布おむつを購入したい)であり、もう1つは、インフォメーショナル(ベストプラクティスについての詳細情報を知りたい)である。どちらのタイプのページも、このワードの最初の検索結果ページに表示される可能性がある。つまり、これらのページにとっては、複数回表示される可能性があるということである。

 

例えば、1位のCottonbabies.comの結果を見てみよう。このストアは、「cloth diaper(布おむつ)」で1位を獲得しているので、明らかに素晴らしいSEO対策をしていることがわかる。しかし、さらに別のもう1つの同社ページが、検索結果として表示されるチャンスがあるかもしれない。Cottonbabies.comは、トランザクショナル・インテントに対しランキングしているが、インフォメーショナルでは、ランキングしていない。

 

同社のサイトを見てみると、「布おむつの基本」をターゲット・キーワードにしたページを持っている。これは、基本的には /pages/ URL パスの下にあるブログ記事タイプのコンテンツである。このページを見てみると、「cloth diaper(布おむつ)」に関するあらゆる質問に対する回答を提供している、非常に詳細なFAQであることがわかる。

 

 

このページは、「cloth diaper(布おむつ)」というキーワードのトランザクショナルな性質をさらにターゲットとするために、最適化を改善する絶好の機会になるだろう。次のような調整を行うことを検討することができる。

 

  • FAQから、「ガイド 」タイプのコンテンツへフォーマットを変更する
  • FAQを明確なカテゴリに整理する(利点、洗濯方法など)
  • コンテンツギャップを埋めるチャンスを模索する(布おむつの種類)

 

これらを実行することにより、ShopifyのEC側のカテゴリページとブログ記事の両方が、Cottonbabies.com.の非常に重要なキーワードにおいて、トップ10にランクインするチャンスを得られるかもしれない。

 

トランザクションとインフォメーショナル・インテントの両方において、ページをランキングさせるのは難しいように思えるかもしれないが、十分に実現する可能性がある。

 

例えば、Later.com(インスタグラム向けマーケティングプラットフォーム)では、キーワード「instagram scheduler(Instagramのスケジューラー)」において、素晴らしい仕事をしている。これが同社にとって、非常に重要なワードであることを認識し、ホームページをトランザクショナル・インテント向けに、そして、ブログ記事をインフォメーション・インテント向けに最適化しているのだ。その結果、彼らは、そのキーワードの1位と2位を獲得している。

 

この戦略は、多くのShopifyストアにとってメリットがある。

 

Shopifyブログにおけるチャンスを見つける

ここで紹介したすべての情報は確かに素晴らしいが、どのようにして自社のShopifyブログにおけるチャンスを見つけられるだろうか?幸いなことに、そのプロセスは非常に簡単である。

 

  1. 価値の高いキーワードを特定する:自社ストアにとって多額の収益を生み出す可能性が高いとわかっているキーワードを特定することができる。また、それらのキーワードを収益に結びつけるために、Google AdWordsのデータを使用することもできる。

 

  1. 手動で、それらのキーワードのインテントを確認する:次に、これらのキーワードのそれぞれについて、手動で検索を実行する。そして、Googleが実際に表示する検索結果タイプに注意する。それらはインフォメーショナルなのか、トランザクショナルなのか、または両方のミックスだろうか?

 

  1. 自社サイトコンテンツのインベントリを作成する:自社Shopifyストアは、各キーワードのインテントと一致するコンテンツをもっているか?商品リスティングページを検索結果として表示するクエリ向けに作成されたカテゴリページを持っているか?インフォメーショナル・コンテンツへのクエリのために書かれた投稿記事を持っているか?

 

  1. コンテンツの最適化/制作:次に、どのような実行ステップを踏むかを決定する必要がある。コンテンツのインフラが整っている場合は、ただ、既存ページのターゲティングを最適化して調整する必要があるだけかもしれない。そうでない場合は、新しいページを作成する必要があるかもしれない。

 

コンテンツギャップを埋めるためのShopifyブログの新規作成方法

自社ストアのコアキーワードでランキングするだけの競争力を持ったブログコンテンツがないとなれば、それを制作する必要がある。これは、特にゼロから始めなければならない場合は、少し困難な作業になる可能性がある。

 

幸いなことに、Googleの検索結果ほど優れたSEOリサーチツールは存在しない。それらをレビューすることで、どのような種類のコンテンツがGoogle検索エンジンで上位にランキングされているのかを正確に知ることができる。

 

  1. ランキング上位の投稿に共通するトピックに注意

これはおそらく、Shopifyブログの記事が、上位ランキング表示されるための最も重要な側面の一つである。多くの場合、ユーザーがインフォメーショナルな記事を探しているときに、ある特定のタイプの質問に回答してくれることを期待している。自社コンテンツが、それらの質問すべてに確実に答えることが目標なのである。

 

そのためにはまず、検索結果の最初のページに表示されるURLには、共通して、どのような種類のコンテンツがあるかを記録することから始めよう。例えば、「cloth diaper (布おむつ)」の例に戻ると、上位に表示されたインフォメーショナル記事の両方が「布おむつの種類」について述べていることがわかる。

 

 

もちろん、これは、自社コンテンツにもこの情報が含まれていることを確認する必要があるということだ。Googleもユーザーも、このページのこのコンテンツが、「cloth diaper(布おむつ)」というワードに対してランキングされるための十分な関連性があるとみなされることを期待しているだろう。

 

  1. 「関連検索」を見直す

また、検索結果の下部にある「関連検索」キーワードを確認することもできる。これは、ユーザーが、このトピック関連で、一般的に検索している他のクエリを表示する。多くの場合、これらには自社コンテンツに活用できそうなトピックのアイデアが含まれている。

 

例えば、このクエリ「cloth diaper(布おむつ)」に表示される「関連検索」の例は以下の通りだ。

 

関連検索のアイデアの多くは、明らかにブランド名であることが多いため(「cloth diaper(布おむつ) amazon」、「cloth diaper(布おむつ) walmart」)、自社コンテンツには適していない。しかしそれでも、使えるアイデアはある。例えば、「how to clean cloth diapers (布おむつの洗濯方法)」は、自社ページに追加するべき素晴らしいセクションとなるだろう。この関連検索セクションを使って、自社のコアトピックに関連した追加コンテンツのアイデアを見つけることができる。

 

  1. ハブコンテンツの活用

SEOでは、「ハブコンテンツ」という概念がさらなる人気を集めている。実際には、質問に答えるだけでなく、そのトピックに関連してサイトが提供している他の内部リソースにリンクしている記事が、Googleのランキングに入っているのをよく目にする。例えば、SEOサービスを提供するMozの「Beginner’s Guide To SEO」は、ページに掲載しているコンテンツが非常に限定されているにもかかわらず、「SEO」というワードで非常に良いランキングを獲得している。この記事を書いている時点では、同ページのトップには、約6〜7段落のコンテンツが掲載されている。その下には、単に内部リンクの集約リストがあるだけである。

 

Shopifyブログのコンテンツを書く場合、それをひとつの”ハブコンテンツ “にしてみてほしい。自社サイトに、ユーザーが役に立つと思う他の有用なリソースがすでに含まれている場合は、記事内でそれらへのリンクを貼る必要がある。必要に応じて、ページのコンテンツ上と、下部にある「リソース」と呼ばれるセクションの両方にリンクを貼ることをお勧めする。

 

これにより、ユーザーにもGoogleに対しても、自社サイトが元のクエリに答えるコンテンツを持っているだけでなく、ユーザーが持つ可能性のある他の質問にも答えることができることを示すことができるだろう。

 

  1. 商品ページへのアップセル

このプロセスのもどかしい部分の1つは、これらのページが、本来はインフォメーショナルなものであり、本質的にはあまり収益にフォーカスしたものでないことだと理解していることだ。もし、これらのページによって、収益増加が促進されないのであれば、これらのブログを作成して最適化するインセンティブが低くなるだろう。

だからこそ、自社Shopifyブログが、関連商品のアップセルの機会を提供しているかどうかを確認することが重要である。これにはいくつかの方法がある。

 

  1. 記事の最後で、「関連商品」にリンクしていることを確認する
  2. 記事内に関連製品やカテゴリのページへのリンクを含む

 

そうすることで、自社ブログ記事がユーザーのコンバージョンにつながる可能性が高くなるだろう。

 

結論

Shopifyストアにとって、ブログは、最優先すべき事項ではないように思えるかもしれない。しかし、SEO対策としては非常に重要なものである。Shopifyストアでは、一見トランザクション的だが実際Googleがインフォメーショナル検索結果をランキングさせるキーワードに対し、上位に表示されるために、ブログコンテンツを作成する必要があるかもしれない。これは自社コンテンツ戦略において極めて重要となるため、自社にとっての高価値キーワードのインテントを、常に理解しておくべきなのである。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の5/26公開の記事を翻訳・補足したものです。