Beef ‘O’ Brady’sは、ソフトウェア企業PAR Technologyと提携して注文、店内での食事、ロイヤリティ特典、データを統合している。

Beef ‘O’ Brady’sとその姉妹会社であるThe Brass Tapの親会社FSC Franchise Co.(FSC)のCMO、Heather Boggs氏は、「私たちは、すべてのプラットフォームでシームレスなカスタマージャーニーを求めていた」と語る。「これには、ロイヤリティやメニューも含まれる。メニューというのは、beefobradys.comで見るメニューだけでなく、モバイルアプリやサードパーティパートナー全体で見るものも含まれる」と続けた。

家族経営のスポーツ・パブ・チェーン、Beef ‘O’ Brady’sは、ピックアップや配達、店内での食事のための統一された顧客体験を構築している。これらの多くの可動部分を単一のプラットフォーム(厳密には、注文とロイヤリティのための接続された2つのプラットフォーム)で管理することにより、顧客データも統合されている。

UberEatsDoorDashのようなサードパーティアプリで注文する場合でも、Beef ‘O’ Bradyのモバイルハブで注文する場合でも、顧客は、次のオンライン購入や来店のための関連オファーとともに、より一貫性のあるサービスを見つけることができる。Beef ‘O’ Brady’s(顧客に「Beef’s」の愛称で親しまれている)は現在、米国の21州に143店舗ある。

シームレスなカスタマージャーニーの構築

Beef ‘O’ Brady’sは、米国のソフトウェア会社PAR Technology(PAR)Punchhエンゲージメント&ロイヤリティプラットフォームを以前から利用していた。今年、Beef ‘O’ Brady’sはPARとのパートナーシップを開始し、PunchhのロイヤリティプラットフォームとPARが提供する注文用の「MENUプラットフォーム」を導入した。

メニュー注文データを一元化し、顧客ロイヤリティデータと結びつけることで、同フランチャイズは特定の顧客層をターゲットにした期間限定メニューやプロモーションをテストすることができる。また、顧客は一貫性のあるシームレスな体験をすることができる。同社のマーケティングチームは、特定の市場でどのメニューがヒットしているかを把握することが可能となる。また、デジタル・チャネルやサードパーティのデリバリー・パートナーで問題が発生した場合のトラブルシューティングも可能である。

ロイヤリティ、パーソナライズされたお得な情報、そしてインサイト

「ロイヤリティプログラムはレストランビジネスの大きな部分を占めているため、顧客と1対1の関係を築くことができる」とBoggs氏は語る。「以前のプログラムでは欠けていたかもしれないデータを得ることができる。このようなデータ・インサイトを得て、個々の顧客に合わせてオファーや特典をパーソナライズすることが可能となる」と続けた。

パーソナライズされたゲストエクスペリエンスに役立つインサイトには、顧客の行動、購買パターン、顧客が子供を持つかどうかなどが含まれ、これらが適切なオファーにつながる。

これらの顧客インサイトは、オンラインやモバイルアプリなど、顧客がメニューに関わるすべてのタッチポイントから得られる。PARのMENUプラットフォームは、Punchhロイヤリティプログラムと組み合わせることで、常連客のデータを一元化。これによりBeef ‘O’ Brady’sは、適切な顧客に関連性のあるパーソナライズされたオファーを送ることができる。

マーケティングチームは、このインサイトにPunchhプラットフォームのダッシュボードからアクセスできる。

「会員について知る必要があることは、すべてこのダッシュボードで知ることができる」とBoggs氏。「実際、かなり詳細な内容にまで踏み込んでいる」と続けた。

特定の店舗のサーバーは、「Beef’s Rewards」と呼ばれるプログラムに付随するロイヤリティ体験を開始するために、その場で顧客に電話番号を尋ねる。こうすることで、店舗での体験がオンラインでの体験に反映され、顧客はロイヤリティ・プロフィールにログインするか、まだ登録していない場合は登録するオプションが与えられる。

また、ロイヤリティプログラムの顧客ごとに統一されたデータを持つことで、マーケティングチームは特定の顧客層をターゲットにしたキャンペーンやプロモーションを構築することができる。

「手羽先とビールを買いに来る常連客と話をするのとは違う方法で、お母さんたちや家族連れの客と話をしたいのだ」とBoggs氏は言う。「データによって、彼らが前回来店したときのこと、何回来店したか、好きな注文は何か、そういったことがわかる。このデータによって、マーケティング・キャンペーンを実施する際に、個々のターゲット・セットを可能な限り絞り込むことができる」。

Beef ‘O’ Brady’sは、全米大学体育協会が主催する男子バスケットボールトーナメント「March Madness」を通じて顧客の来店頻度を高めたいと考えている。March Madnessトーナメントの試合中にBeef ‘O’ Brady’sで3回以上購入すると賞品がもらえる。

断片化された注文環境の統一

レストランは、他のビジネスと同様に、顧客がいる場所で顧客を獲得しなければならない。Beef ‘O’ Brady’sの場合、これは自社チャンネルに加えて、サードパーティの注文アプリでも存在感を示すことを意味する。このサードパーティの登録は、主要なデリバリーアプリがサービスを提供していないような地方市場ではより複雑になる。

PARとの提携以前は、Beef ‘O’ Brady’sは「ItsaCheckmate」という別の注文プラットフォームを使っていた。このプラットフォームは、第三者からの注文をすべて受け取り、これを同社のPOSに通知する。一方、PARのメニュープラットフォームでは、すべての注文が統一されたプラットフォームでメニューと統合されている。これは、PARと注文アプリ、最近ではDoorDashとの統合によって可能になった。

PAR Technology Corp.の社長兼CEOであるSavneet Singh氏は、次のように述べている。「PARのMENU Linkと統合することで、DoorDashでの注文は自動的に処理され、レストランのPOSシステムと同期されるため、手作業による注文入力が不要になり、ミスを減らすことができる。レストランは、DoorDashのようなプラットフォーム上でメニューの提供、価格、在庫を一元管理することができ、顧客体験の一貫性を確保することができる」。

「我々はすでにDoorDashと提携していたので、(PAR Technologyが)DoorDashとも提携するのは素晴らしいことだ。私たちが持っていたパートナーシップがさらに強化された」とBoggs氏は語った。そして、「ビジネスの側面から見ても、非常にスムーズだった」と続けた。

FSCのIT担当副社長、Jason Saposnik氏は、「私たちは、通常のホワイトレーベル(ある企業が生産した製品を、他の企業が自社のブランドを使って販売すること)のオンライン注文だけでなく、すべてのサードパーティも一箇所で管理することができる」と述べる。

MENUプラットフォームでメニューを構築

MENUプラットフォームは一元化されているため、マーケティングチームはサードパーティアプリを含むすべてのタッチポイントで一貫したメニューとブランディングを構築することができる。また、マーケティングチームは、すべてのデジタルチャネルで、商品画像や説明文、価格を管理することができる。

「大きな利点は、商品、価格設定、および(商品の)提供可能場所の設定に伴う時間の節約と効率だ。これをすべてのチャネルで一度に行うことができる」とSaposnik氏。「また、すべての注文チャネルを統合して表示することができるため、それらのいずれかに潜在的な問題があった場合、サードパーティのサイトやポータルにアクセスすることなく、すぐに警告を受けることができる」と続けた。

「レストランは、異なるテクノロジースタック、分断された顧客エクスペリエンス、低い営業利益率、そして優れたゲストエクスペリエンスを提供する難しさに直面している」とSingh氏は述べる。PAR Technologyのシステムは、レストラン業界向けに設計されたオープンAPI(Webアプリケーション同士の安全な通信のために、どのような項目・形式で仕様を記載すべきか定義したフォーマット)を備えたユニファイドコマース(顧客一人ひとりに価値ある購入体験を提供するマーケティング手法)ソリューションを提供することで、これらの問題点に直接対処している」。

Singh氏によると、PAR Technologyのソリューションは、エンタープライズレベルのレストランチェーンや複数のユニットを運営する経営者を対象としているという。最近の採用企業には、米国のスポーツバーとグリル料理のチェーン店Hooters of America や米国のベーカリーチェーンInsomnia Cookiesなどがある。


※当記事は米国メディア「Martech」の3/21公開の記事を翻訳・補足したものです。