マーケターによる顧客データの管理を支援するベンダー中立の米国組織であるCDP研究所「CDP Institute」の調査によると、CDPの普及は遅れているものの、利用者の多くは良い結果が得られていると感じている。ただ、それぞれの組織におけるデータ統合の状況は大きく異なっている。


米国のCDP Instituteのレポートによると、CDPを利用しているマーケターの割合は2022年の31%から2023年には25%にまで低下した。2017年に始まった年次調査の中で、この数字が減少したのは初めてである。

その他の統合システムを利用しているマーケターの割合も、同期間に38%から33%に減少した。

しかし、組織の20%はCDPを導入しており、彼らはそれによって高い価値をもたらしていると回答している。これは、この調査の中ではこれまでになく高い数字である。


どのように調べたか

この調査は、CDP研究所のメンバーを対象とした世界規模の調査である。回答者には、ユーザー79社とベンダー184社が含まれる。回答者の62%はアメリカに拠点を置いている。

データは統合されているか、断絶されているか

調査における回答結果は、顧客向けシステムのデータ統合とアクティベーションのレベルに大きな幅があることを示している。

データはどの程度統合されているか? 出典:CDP研究所

25%は統合された顧客データベースに複数のシステムが連携していると回答し、さらに8%がデータベースに共有オーケストレーションエンジンを追加していると回答した。そして、3%はほぼすべてのマーケティング機能に対応する単一のシステムを持っていると回答している。

また、15%は複数のシステムをCRMまたはマーケティングの自動化プラットフォームに連携していると回答。

ほぼ半数(49%)が、組織にはマーケティングを行う個々に独立した複数のシステムを利用していると回答した。近年、数字が最も大きく動いたのはこの分野である。2019年と2020年には、非連携システムを利用するマーケティング担当者の数は54%から39%に減少した。2022年の時点では、その割合は43%だった。割合が減少した可能性の一つとしては、組織において古いシステムを新しいシステムに置き換えているものの、まだすべてのシステムを連携し切れていないということがある。


CDPの導入計画について

過去6年間にわたり、組織はCDPの利用を計画し、導入してきた。今年は回答者の20%がCDPを導入しており、それによって大きな価値をもたらしていると回答しており、この分野では近年最高の割合だった。

CDPの利用と計画 出典:CDP研究所

2023年には、組織の30%が今後12か月以内にCDP導入を開始する予定であり、24%が導入を既に進めている。

CDPは、「ほとんどまたはまったく価値をもたらしていない」と回答した顧客の数は、2022年の12%から2023年にはわずか5%に減少した。また、2017年以降、CDPを導入する計画がない組織の数は、19%から2023年には8%にまで減少。今年CDPの事業計画を断念したと回答したのはわずか3%だった。


CDPの主なメリット

調査において回答者に、CDPから得られるメリットを3つ選んでもらったところ、上位の回答は次のとおりとなった。

  • 顧客データの統合(77%)
  • 分析(62%)
  • オーケストレーション(57%)
  • メッセージの選択(35%)
  • 予測機能(34%)
  • データプライバシー(22%)
  • IT依存度の低減(22%)


気にかける理由

CDP研究所のメンバーであるマーケターは、おそらくCDPを導入する可能性が高いと思われるが、それはなぜだろうか?上記のメリットを参照してみよう。CDP研究所は、ユーザーである回答者の数(79社)は、今年、あまり広範囲に渡る結論を導き出すには少なすぎるだろうと認めている。CDPの導入を計画している企業の数が減少しているということは、多くの組織がすでにCDPを導入していることの裏付けである。しかし、それらを利用している組織がわずかに低下していることについてはどうだろうか?

報告書からのデータに対する同研究所の回答は次の通りである。「かなりの割合のユーザーが、CDPやその他の統合システムをやめる可能性は低いと思われる。また、他のほとんどの調査では、CDPの導入が継続的に増加していることが示されている。この調査の回答者が、より事情通のユーザーであるために、以前よりも厳格な定義を適用している可能性がある。最善の一般的な結論は、統合された顧客データ提供の進捗が少なくとも減速しているということだ」。

CDPの登場以来、一貫していることは、このプラットフォームの定義が変化しているという事実だ。このテクノロジーは進化し続けており、オーケストレーションとアクティベーションに関する機能がこの分野の多くの製品に追加されている。


※当記事は米国メディア「MarTech」の10/9公開の記事を翻訳・補足したものです。