顧客データプラットフォームは素晴らしいツールだ。しかし、導入に注意を払わないと、大惨事になる可能性がある。

 

顧客データプラットフォーム(CDP)は素晴らしいツールだが、注意を怠ると大惨事になりかねない。

 

CDPプロバイダーとの関係を始めたばかりでも、まだ検討中であっても、よくある導入時の問題を考慮に入れておかなければ、後悔することになるだろう。

 

これらのよくある間違いを注意深く読み、それぞれについて正直に(そして懐疑的に)会話してみよう。(そして、この文書を必ずデータチームと共有してほしい)。

 

間違い1:急いでしまう

早期に成果を上げ投資対効果をすぐに得ることは、良いビジネスであるが、私がともに仕事をしたNASAのエンジニアがよく言っていたのは、「大急ぎでやらないといけないから、ゆっくり、時間をかけて、最初から正しく実行しよう」ということだった。

大惨事を元に戻すには、ユースケースを整理し、仮定を文書化し、仮説を検証し、物事を熟考するよりもはるかに多くのコストがかかるのだ。

 

間違い2:アイデンティティの概念がない

CDPの基本的な機能は、顧客一人ひとりの想像上の「ゴールデンレコード」を作成することである。これを行うには、異なるソースからのレコードをマージする方法が必要だ。どのような基準で記録をマージするのだろうか。

 

各人が複数のメールアドレスを持ち(これらは時間と共に変化する)、複数のデバイスを使用している(これらは共有されることもあり、また時間と共に変化する)。これらのデータポイントのうち、1人の人間を指し示すように結びつけているものは何だろうか。

何もない。

少なくとも、完璧なものはない。その現実を受け入れなければ、自分を追い詰めることになる。

 

したがって、アイデンティティを中心に戦略を立てるのは間違いである。1人の人物に対して1つのレコードがあることはないだろうが、多くのユースケースでは、ないことは大して重要ではない。ユースケースを開発し、ユースケースを推進するために必要なものを中心にアイデンティティの概念を構築しよう。その逆ではない。

 

場合によっては、ユーザーのメールアドレスが最適な選択肢となる。その他の選択肢としては、サードパーティーのユニークなID、独自のID、あるいは郵便番号などが挙げられる。

 

何を使うにしても、顧客のライフサイクル全体にわたって追跡できる長期的な顧客戦略に適合するものでなければならない。しかし、何をやっても完璧というわけにはいかないだろう。

 

間違い3:他の「信頼できる情報源」を考慮に入れていない

CDPは、顧客データに関する唯一の信頼できる情報源であることを売りにしている。だからといって、そのような使い方をする必要はない。ユースケースによって、信頼できる情報源が異なる可能性があるのからだ。

 

例えば以下のようなことだ。

・メールマガジンのサインアップとオプトアウトの情報がCDPに登録されている場合でも、ESP(企業内統合検索基盤)が信頼できる情報源であるかもしれない。

・フルフィルメントシステムは、CDPにすべてをインポートしても、購読情報の信頼できる情報源であり続けるかもしれない。

このように、情報にはタグやラベルを付けて、出所が分かるようにしておくとよいだろう。

 

間違い4:アナリティクスの見落とし

「測定されたものは実行される」と言われるように、ビジネスの原動力となるものを測定し、報告することは重要だ。データとコンピュータを扱う以上、測定は簡単なはずだと思いがちだが、実際はそうではない。オンライン広告の混乱を見ればわかるだろう。

 

CDPを扱う場合、異なるシステム間で多くのデータ交換が行われる。しかし、常に1対1で接続できるわけではない。したがって、異なるシステムからすべての顧客データをCDPにインポートするとしても、そのデータのうちどの測定値が最もビジネスに関連しているかを確認する必要がある。それは、必ずしもCDPではないかもしれない。

 

間違い5:組織の縦割意識と社内からの賛同の欠如

CDPは、IT部門の関与を必要とするにもかかわらず、マーケティング部門の管轄になることが多い。

 

マーケティング部門とIT部門の仲はどうなのか、一度立ち止まって考えてみよう。それは問題になりそうだろうか?(おそらくなるだろう)。

 

自分自身の組織の縦割りが、成功への最大の障壁になる可能性があることを忘れてはならない。

 

不具合が発生したとき、すべての取締役が自分のベンダーとの関係を守り、他の取締役を非難するようでは困ってしまう。CDPの成功に関係するすべての関係者が利害関係を持ち、互いに情報を交換し合える環境を作る必要がある。

 

これは、特に開発者と運用担当者にとって重要だ。彼らが以下の点について異存がないことを確認しよう。

 

・技術内容

・ページスピードにどのような影響を与えるか

・既存システムとどう連携するか

・レイテンシー(通信の遅延時間)に影響を与えるか

・ウェブページの読み込み方法

 

前もってIT部門を巻き込んでおかないと、後で彼らが障壁となった場合、自分自身が責任を負うことになってしまう。

 

間違い6: 責任者がいない

CDPは、組織内の複数の部門に影響を与えるため、全員が納得して協力しなければならないが、それでもプロジェクトマネージャーは一人必要だ。

 

責任の共有」は「誰も責任を取らない」という意味ではない。

 

間違い7:時間ベースのデータ機能を忘れている

CDPの中には、顧客情報を「今すぐ」見ることができるものがある。これは多くのユースケースにとって良いことだが、他のケースにとっては大きな問題だ。

 

サブスクリプションサイトを運営している場合、顧客のステータスを長期にわたって追跡し、レポートしたいものである。

 

それが重要であれば、CDPがそれを管理できることを確認し、データ構造にそれを組み込んでいただきたい。

 

間違い8:容量の問題を検討していない

25のブランドがあり、それらがすべて1つのメールサービスプロバイダに必要に応じて送信されている場合、更新作業中に時々不具合が発生することがある。

 

しかし、25のブランドを1つの顧客データベースに統合し、毎日完全なファイルを送信する場合、予想外の容量の問題に直面する可能性がある。

CDPのポイントは、顧客データの一元的な保管場所を提供することにある。CDPは、入ってくるすべての接続を処理できるようにする必要がある。

 

同時に、CDPから他のすべてのサービスに戻る大きな接続にも注意する必要がある。CDPはそのボリュームを処理できるだろうか?

 

間違い9:「すべてのベンダーを統合できる」というCDPの主張を信じてしまう

多くのベンダーが様々なことを行っているため、CDPが使用するすべてのベンダーと既存の関係を持つことを期待するのは無理がある。しかし、これらのベンダーがうまく連携してくれると考えるのは危険だ。

 

もし、CDPがまだいずれかのベンダーと取引経験がないのであれば、非常に注意が必要だ。統合チームや汎用的なAPIは、入念なテストに代わるものではない。CDPがすべてのベンダーと連携できることを確認しよう。

 

間違い10:課金方法を確認していない

課金の問題は、CDPを導入している段階では、おそらく表面化しないだろう。しかし、CDPがどのように請求するつもりなのか、慎重に考える必要がある。

 

「データの総行数」や実際に気にしていないことに対してではなく、ビジネスを推進し、成功に貢献するものに対して請求されることを確認する必要がある。

 

また、関連性のない古いデータを削除する方法があるかについても確認しよう。

 

「顧客データプラットフォーム」の概要

それは何か。顧客データプラットフォーム(CDP)は、かつてないほど普及している。このプラットフォームは、マーケティング担当者がさまざまなプラットフォームにおける顧客の重要なデータポイントを特定し、一貫性のある体験を作り上げるのに役立つ。マーケティング担当者は、多くのチャネルで顧客に統一された体験を提供しなければならないというプレッシャーに直面しており、現在CDPは特に注目されている。

 

ニーズを理解する。Cisco(米国に本社を置くコンピューターネットワーク企業)のAnnual Internet Reportによると、デバイスのインターネット接続数は、2018年から2023年にかけて年平均成長率(CAGR)10%で成長することがわかった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、このマーケティングの変革に拍車をかけた。刻々と変化する世界で顧客とつながるために、テクノロジーはより速いスピードで進化している。

 

これらのインタラクションには、データが豊富であるという重要な共通点がある。顧客はすべてのタッチポイントで、ブランドに対して自分自身について少しずつ話しており、それは貴重なデータだ。さらに、消費者は企業がこの情報を使って自分のニーズに応えてくれることを期待している。

 

気にする理由。顧客の期待に応え、これらのセグメントを分割し、統合することは、マーケティング担当者にとって困難な作業である。そこで、CDPの出番だ。ウェブ解析、CRM(顧客関係管理)、通話解析、メールマーケティングプラットフォームなど、あらゆる顧客接点からデータを抽出することで、ブランドは複数のデータプラットフォームがもたらす課題を克服し、その情報を活用してカスタマーエクスペリエンスを向上させることができるのだ。

 

※当記事は米国メディア「Martech」の11/2公開の記事を翻訳・補足したものです。