イベント×コマースの今後を、この激動の5年間の様々な事例から考察してみた。

 

2020年、新型コロナウイルスが世界を脅かし、これによってライブイベント市場は大きなダメージを受けた。しかし、その中で徐々に台頭してきたのがオンラインイベント市場である。世界中でオンラインイベント市場は急速に成長し、私たちにとってはますます身近な存在となった。またコロナの影響が続く中、オンラインイベントに伴うコマースの需要も増加し、一気にそのような取り組みが広がった。

現在ではコロナの脅威が収束すると共にライブイベント市場は盛り返しを見せ、オンラインでのイベント開催は緩やかに減少している。だがコロナ禍でのオンラインイベント市場の成長は、シームレスにコマースと結びついたオンラインイベントプラットフォームの成長を促進したのである。

今回はそんなオンラインイベントとそれに付随するコマースの事例、またシームレスにコマースと結びついたオンラインイベントプラットフォームの事例をピックアップすることでトレンドを読み解き、今後のオンラインイベントの効果的な展開、扱いを考えていく。

 

 

オンラインイベント×コマースの事例

 

まずは、コロナ禍になり、一気に取り組みが進んだ、オンラインイベント×コマースの事例を5つ紹介していく。

 

Shilin Night Market(Digital Shilin Singapore)

Shilin Night Marketは毎年シンガポールで開催されている、台湾のShilin Marketを再現したフードフェスであり、台湾の料理や文化が堪能できるオフラインイベントである。

しかし、2020年はコロナウイルスの影響で、例年通りのオフラインでの開催を断念。

代替手段としてオンラインプラットフォーム上で開催が決定し、「Shilin Night Market」を催した特設イベントサイトが設立された。Webサイト内では出店する様々な台湾料理の店舗を見ることができ、オンライン上の会場は4つのカテゴリに分かれている。

例えば「Eat」のカテゴリでは、オンライン上で注文した料理をデリバリーで指定の場所に届けてもらえる。タイアップしているPickuppのアカウントを作成し、Pickuppのウェブサイト上で商品で注文すれば、手配することができた。「Shop」にある商品も、Shopeeを通じて手に入れることが可能となった。

事後は、一部商品やコンテンツに限って、現在もオンライン販売を担うECプラットフォームとしても機能している。

<参考>

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、士林シンガポール市場は今年6月にデジタル化される

海外プロモーション施策でオンラインイベントをやるべき理由|成功事例3選

 

Tiger Street Food Festival

Tiger Street Food Festival」は、マレーシア市場をターゲットにタイガービールが開催したバーチャルイベント。

参加者は無料で楽しむことができ、必要情報を登録して自作のアバターを制作。RPG空間のような会場アバターが練り歩き、さまざまなキャラクターと会話をしたり、出店する店舗に赴いたりすることができる。出店するお店は、クアラルンプールにある飲食店88軒で、店舗から15㎞以内に滞在している参加者は、フードのオーダーとデリバリーをバーチャル空間上で注文することができた。

<参考>

海外プロモーション施策でオンラインイベントをやるべき理由|成功事例3選

 

Magnum Mini Matcha World

シンガポールのアイスクリームブランドMagnumの新商品「Magnum Matcha」のプロモーションとして、抹茶にちなんで日本文化を感じられるジオラマ「Magnum Mini Matcha World」を制作し、スマートフォン上でミニチュア世界をバーチャル観光できるWebサイトを公開した。

パンデミックにより海外旅行が不可能な時期に、日本をはじめとする諸外国へのPRとして新製品のミニチュア世界を作成したということだ。

また、このミニチュア世界では「宝探し」を楽しむことが可能であり、例えば、ミニチュア世界の中にランダムに隠された抹茶アイスクリームをいち早く見つけた参加者はクーポンをゲットでき、無料サンプルを獲得できる。

さらに、Facebook上で提示された「お題」を見つけた人は、そのスクリーンショットをフェイスブック上にアップすると、最高で2,236シンガポールドル(約20万円)相当の賞品を獲得できるようになっていた。

この「Magnum Mini Matcha World」は2週間で32,352のサイト訪問数を達成、SNS上でのコンテストの応募者数は2,500を超えたという。

<参考>

参加型 SNSキャンペーンにおける体験の面白さ【海外事例】

 

Rev worlds

REV WORLDSは、三越伊勢丹が運営する仮想都市のコミュニケーションプラットフォーム。

2021年3月にスタートし、スマートフォン向けアプリとして提供されている。REV WORLDSでは、アバターを操作して仮想都市を歩きながら、コミュニケーションやショッピング、イベントなどを楽しむことができる。新宿東口の街の一部エリアや伊勢丹新宿本店などが再現されており、24時間どこからでもアクセスが可能だ。様々な漫画やグルメ、アートなどの展示会をはじめとするイベントを楽しみながらショッピングも行うことができる。

 

バーチャルマーケット

バーチャルマーケットは、バーチャル空間上で開催されるマーケットイベントで、世界最大のVRイベントとして米ForbesやNHKWORLDで取り上げられており、2023年12月17日まで開催された「バーチャルマーケット2023 Winter」には、世界中から100万人以上が来場し、ギネス世界記録も取得している。

バーチャルマーケットには多種多様なクリエイターが参加し、自作のデジタルデータを展示・販売する。主にはアバターとして使用される3Dモデル、アバターに着せる衣装やアクセサリーや装飾品の3Dモデル、ワールドと呼ばれるバーチャル空間を作成するのに使用する建物や家具などの背景3Dモデルの他、アバターの着せ替えをサポートするアプリケーションなどのバーチャル空間での生活を支えるソフトの販売などを行っている。

近年では、同人誌や同人音楽など、これまで現実の即売会で販売されていたような物品も出品されている。また、会場内で乗り物に乗ったり、接客を受けたり、音楽ライブに参加するなど、メタバースならではの体験も提供されている。

 

オンラインイベント×コマースの事例を見てみると

オンラインイベント×コマースの事例を見ていくと、ここで整理したような縦軸(コマース主体レベル・イベント主体レベル)、と横軸(オフライン代替性・オンライン独自性)の二軸で整理することが出来そうだ。

 

今後の展望を考える上で最近のその用途としての変遷を追っていく必要がある。

まず2020年から2022年までは、リアルイベントの代替策として用いられるケースが多かった。これに関しては心当たりのある方も多いのではないだろうか。今回の記事で挙げるとShilin night market・Tiger Street Food Festivalなどがそれにあたる。リアルでのイベントの価値をなんとかオンラインに落とし込むことが求められ、リアルイベントの存続手段として重宝されていた。

しかし、2022年以降コロナの脅威が終息を迎えつつある中でリアルイベントの復活が相次いだ。代替手段として用いられたオンラインイベントは次々にオフラインへと回帰し、市場も収縮した。しかし、このオンラインに縛られた二年間での技術の進歩や開発は目覚ましいものがあった。それは例えば、コマースと連携したオンラインイベントプラットフォームの開発なども挙げられる。比較的簡単に、誰でも扱えるサービスが増えてきた。これらに関しては後ほど紹介するが、やはりなんといっても一番に挙げられるのは仮想現実、メタバースの開発だろう。

仮想空間の中で社会的な関わりを持ちながら、その中でしかできないことがあるというのは大きな武器である。2021年度の国内のメタバース市場規模は約744億円だったが、年率170%で成長し、2026年度には約1兆円に達すると予想されている。

いくつか事例を見てきても、リアルイベントが開催できないという前提がなければ、オンラインイベントを成功に導くことは難しい。コマースとの両立などという話は、まずイベントの成功のもとに達成される。そんなオンラインイベントだが、リアルイベントの代替策としてだけではまず勝ち目がない。リアルイベントを超えるような価値が求められるが、それがメタバースだと考える。メタバース的コンテンツ化がなされたイベントでなければ、リアルイベントを超えることはかなり難しいだろう。そのため、今後オンラインイベントとコマースの両立を果たしていくのは、メタバースなどのリアルを超える価値を取り入れたサービスになってくると予想する。

今回の記事で挙げるなら、Rev Worldsやバーチャルマーケットだ。

このようなトレンドの流れの中で、今、安易にオンラインイベントを行うのは悪手であり、それがオフラインイベントの代替策という側面だけであれば最悪とも言える。

しかしながら現在行われている成功したオンラインイベントは全てメタバースを用いているのか、と言われればそれも違う。現在主流になっているのはオンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドイベントと呼ばれるものだ。

次のセクションでは、そのハイブリッドイベント×コマースについて見ていく。

 

<参考>

メタバースは今後どうなるのか?将来性や市場規模、活用事例まで解説

 

 

ハイブリッドイベント×コマースの事例

 

それでは次に、ハイブリッドイベント×コマースの事例を見ていこう。

ハイブリッドイベントのイベント参加者はオンライン参加か、オフライン参加かを自由に選ぶことができる。言うなれば、双方のいいとこどりができる。

ハイブリッドイベントでは、参加者が場所や時間などの制約を受けにくく、幅広い層の参加者が見込め、リアルイベントならではの臨場感や五感を使った体験も提供でき、トラブルがあってもオンラインで開催できるため、リスクヘッジにもなるなど、メリットも非常に多い。また、アーカイブを残せるのも大きな強みだ。後ほど挙げる様々なプラットフォームの事例も、ハイブリッドイベントに対応させることが可能だ。

 

名店のお取り寄せグルメフェア Supported by 食べログモール

飲食店情報サイト「食べログ」が運営するグルメ通販サイト、食べログモールは2022年に名店のお取り寄せグルメフェアを町田マルイにて開催した。

リアルイベント「名店のお取り寄せグルメフェア」では、おうちに名店の味わいを届ける“プレミアムフードモール”をコンセプトとしたお取り寄せグルメの通販サイト「食べログモール」の商品を、普段は提供していない小単位で購入できるリアル店舗を出店した。

商品の性質や金額によっては、実物を見たり触ったりできないと購入を決めづらい商品は一定数存在し、この「体験」を補うことはEC市場のさらなる成長と消費者の利便性の双方にとって重要なポイントと考えられ、オンラインの不安感をリアルイベントで埋める意味で、注目すべきハイブリッドイベントだった。

イベントではイベント先行販売商品やイベント限定販売商品も用意され、予約困難な名店や行列のできる人気店などの商品の、リアルなタッチポイントを通じた「体験」による購買行動変化を分析し、EC×体験の次なるハイブリッド展開に活かすことができたようだ。

なお、食べログモールは、飲食店情報サイト「食べログ」が運営していたグルメ通販サイトだったが、2023年3月にサービスが終了している。

<参考>

食のECサイトがリアル出店・タッチポイントをハイブリッド化する実証事業「名店のお取り寄せグルメフェア Supported by 食べログmall」開催

 

メタ祭2023夏の陣

Vma plus株式会社が提供するメタバース空間「Vma plus Station」の感謝祭として開催された、「メタ祭2023夏の陣」。

「メタ祭2023夏の陣」の参加者はアバターを使って3D仮想空間を自由に散策し、ブースでは音声通話やテキストチャットを通じて相互にコミュニケーションを取ることができ、さらにマーケットエリアにはEC機能が搭載されており、メタバース空間にいながら商品の売買が可能。165店舗がブースを出展し、1,400以上の商品が出展された。

東京タワーに設置された「Vma plus Station」のライブエリアでは巨大スクリーンを使った動画配信を視聴することができ、他のアバターとタオル回しや拍手、コメントなどで楽しむことができたようだ。

また、イベントを生中継で配信し、アーティストやVtuberによるライブパフォーマンス、メタ盆踊りなどの様々なコンテンツ企画も行われた。

メタバース会場では、わずか2日間で8,000人の来場者を迎え、リアル会場がある東京タワーメインデッキには2日間で約12,000人が訪れ、全体ではサービス開始から過去最多の約2万人の動員を達成した。

 

HOMEPRO EXPO

タイの大手ホームセンター「ホームプロ(HOME PRO)」が毎年開催している家具・家電・住宅用品の特大展示会・セールイベント「HOMEPRO EXPO」。

リアル会場、オンライン会場の2通りで楽しむことができ、会場に行かない人向けには、オンラインで家からスマホ画面で参加でき、リアル会場さながらのバーシャルツアーの形で全体のイベント会場を回りながら、商品を見たり、実際に買ったりもできる仕組みが追加された。

またオンラインならではの仕組みとして、商品のより詳細な説明や割引の情報も一目で見られる機能も導入された。

 

燕三条ものづくりメッセ2023

燕三条ものづくりメッセ」は、金属加工業の集積地である新潟県燕三条地域の製品と技術が一同に介するほか、全国各地からもものづくり企業が出店する見本市。

COVID-19感染症禍を経て、QRコード発行による非接触入場やオンライン商談などの導入が進んだが、さらに公式サイトにAIマッチング機能を追加。GPT-4を組み込んだ検索システムにより、出展者と来場者のマッチングを手助けする。

また、BtoB向けの「ものづくりメッセ」と、BtoC向けのイベント「工場の祭典」を同時開催し、新規開拓の目的も達成した。

オンライン参加者は、ブラウザ上の「燕三条ものづくりVR展示館」から参加でき、企業展示を「いつでも」「どこからでも」時間や場所を気にせずに閲覧可能であった。

 

 

ハイブリッドイベント×コマースの事例を見てみると

ハイブリッドイベント×コマースの事例を見ていくと、ここで整理したような縦軸(コマース主体レベル・イベント主体レベル)、と横軸(オフライン補完・オンライン補完)の二軸で整理することが出来そうだ。

ハイブリッドイベントは、コロナ禍後の2022年以降のものがメインだ。今回紹介した4つのイベントは、同じハイブリッドイベントという括りの中でも、全く別の目的を持っている。

Home Pro EXPO、燕三条ものづくりメッセの二つは、本来オフラインのみの開催で良いはずだ。しかし、ここにオンライン開催を掛け合わせることで、海外からの参加や新規顧客開拓へ門戸を開いた形となっている。両イベント共に、コロナ禍で経験した非接触入場やオンライン商談などの導入から、見事なハイブリッドへの適応を行ったと言える。

食べログmallは、ご存知のようにオンラインサービスとして確立されていたところに、「体験」を補うこと、すなわち課題であったオンラインの不安感をリアルイベントで埋めることで、見事にハイブリッドに適応した。

メタ祭2023夏の陣は、もともとメタバースという固有の価値に加え、実際にメタバースでは味わえない、自分以外のファンとの交流やそのコンテンツへのリアルな熱気の伝播をオフライン開催との掛け合わせで達成している。

このようにいくつかの事例を見て断言できることは、ハイブリッドイベントは万能薬ではないということだ。オンライン開催、オフライン開催を行うのもタダではない。手を抜けば手を抜いた分だけ顧客の満足度が下がっていくのはどのイベントでも同じことだ。

ただオンラインとオフラインを同時に開催すれば良いのではなくて、自分の持っているコンテンツの弱点、課題はどこなのか、そしてその課題にフィットするようなハイブリッドの形を模索することができて初めて、ハイブリッドイベントとして成立させることができる。それを達成することができたなら、イベントの成功に大きく近づくことができるだろう。

 

 

シームレスにコマースと結びついたオンラインイベントも可能なプラットフォーム

 

コロナ禍によって、オンラインに縛られた二年間は、コマースと連携したオンラインイベントプラットフォーム関連の技術の進歩、そしてその導入の浸透には目覚ましいものがあった。その結果、今や比較的簡単に、誰でも扱えるサービスプラットフォームが増えてきている。これらはもちろんハイブリッドイベントも行うことが可能だ。

それでは、ライブイベント×コマースを支えるツール・プラットフォームを紹介していく。

 

 

Shopee

Shopeeは2015年の創業からめきめきと頭角を現し、今や東南アジアで絶大な人気を誇るシンガポール発のオンラインショッピングプラットフォームで、Shopee Liveを通じてライブコマースを提供している。

主にインドネシアで多くのユーザーを獲得しており、インドネシアだけでも1億5,800万人ものユーザーを抱え、2位のTikTok Liveの2倍ほどの利用者数がおり、Instagram LiveやTokopedia Playなど数あるライブコマース・ライブ配信サービスの中でも群を抜いて人気となっている。しかし、オンラインイベントとしての要素は薄く、ライブコマースに振り切ったサービスと言えるだろう。

画像出展:Shopee Live 東南アジアで急拡大するライブコマース

 

Facebook Live Shopping

Facebook Live Shoppingは、ライブストリーミングでショッピングイベントを開催できるサービス。ただ、2022年10月1日をもって、Facebook Live Shoppingの提供は終了されており、現在ではInstagram liveの提供のみとなっている。Facebook Live Shoppingオンラインライブを配信でき、ライブ配信をシェアしながら、ライブチャットでオーディエンスとやりとりすることができる。そのイベント内で商品を紹介し、購入することができる。こちらもライブコマース中心で、あまりオンラインイベントツールとして用いられてはいない。イベント目的で使う方もいたようだが、全体的にライブコマース寄りのサービスとなっていた。

 

YouTubeショッピング

YouTubeショッピングは、YouTube上で商品を紹介し、視聴者が購入できるサービスだ。動画やライブ配信で自社商品や他のブランドの商品を紹介し、ライブ配信の動画内に商品のタグ付けをしてライブコマースを実演することも可能。最近だとYouTubeでオンラインイベントを配信する事例もあるようだ。しかし、あくまでイベントプラットフォームとしての使い方“も”できるといったものと言える。

 

Twitch

Twitchは主にゲームストリーミングなどに利用されるプラットフォームで、拡張機能を使い、外部サービスと連携し、視聴者とコミュニケーションを取ることができる。物販EC化の例として、ゲーム実況者やクリエイターが自身のストリーム内で商品を紹介し、視聴者がそのまま商品を購入できる。主にゲーム配信のプラットフォームとして使われてはいるが、各クリエイターによる様々な配信があり、オンラインイベントプラットフォームとしても十分に機能できる。拡張機能によりECサイトと紐づけることでグッズのライブラリを作れるが、現状日本では別途外部サイトと連携して行うケースが多いようだ。

 

Zoom webinars

Zoom webinarsはコロナ禍におけるオンライン会議プラットフォームとしてあまりにも有名だが、イベント主催者はZoom内で商品の販売も可能。例えば、ウェビナー中に商品のプレゼンテーションを行い、参加者は直接購入できるようになっている。しかしこれにはECプラットフォームとの連携が必須である。Zoomウェビナーはオンラインイベントのプラットフォームとして使用されることが多く、その中でライブコマースを実現することは難しくない。ただ、使用される事例としてはエキスポが多いことから、オンラインイベント軸とは少し距離があるように感じる。

画像出展:オンライン帰省に最適な「家族参加型ショッピング」が生まれるまで

 

Eventbrite

Eventbriteは、オンラインおよびオフラインのイベントを管理・運営するためのプラットフォーム。ShopifyなどのECサイトと連携することで、イベントプラットフォーム上で商品を閲覧し、Shopifyを介して直接購入できるようになる。基本的には、コンサート、ワークショップ、チャリティーイベント、フードや音楽のフェスティバルなどのチケットを購入することができるが、様々多種多様なイベントを開催している。

欧米では予約・オンラインブッキング市場で50.33%、イベントマーケティングで45.99%のシェアを占めており日本でのイベントチケット取引も行われている。

オンラインイベントプラットフォームでありながら、それでいてライブコマースの役割もこなせる点から、十分にオンラインイベントを軸に、ライブコマースを実現しているサービスと言えるだろう。

 

 

イベント×コマースはどのように進化していくのか

 

コロナ禍中に行われていたオンラインイベント×コマース事例や、その後に展開されているハイブリッドイベント×コマース事例から、今後のイベント×コマースの進展には2つの垣根を取り払うことが重要になってくることが読み取ることが出来る。それは、オンラインとオフラインの垣根とイベントとコマースの垣根だ。

そのために最も重要な役割を果たすテクノロジーは、端末の進化だろう。現状のスマホとPCだけの世界ではなく、メタバースなどを活用し、AR・VR・MRなどの表現力の拡張が必須となるだろう。

そして、イベントとコマースの更なる融合も進んでいくはずだ。今は、どちらかと言うと、既存のECプラットフォームへイベントから流し込むだけの連携も多いが、よりシームレスにコマースと結びつくテクノロジーも増えていくのではないだろうか。

一方でテクノロジーだけでなく、オンラインとオフラインの掛け合わせ方、イベントとコマースの掛け合わせ方には、戦略的な方法論も求められてくる。闇雲にオンラインイベントとオフラインイベントをかけ合わせ、コマースに流し込めば良いわけでもない。商材や情報によってリアル、オンラインそれぞれに寄せた方が効果的な場面が多々ある。例えば、展示会などで商材が大型のものや、実際に触ってみないとわからないようなもの、あとは食材や料理などリアルでしか体感できないものに関してはリアルイベントをメインにする方が得策だ。

このように、テクノロジーと戦略を上手にかけわせることで、イベント×コマースの進化が可能になってくるのではないだろうか。数年後にはすべての垣根が取り払われたシームレスなイベント×コマースの事例を多く目にすることが出来るかもしれない。