フランスに本社を置くアパレルブランドLacosteが夏のバーチャルストアをローンチした。同ブランドのロイヤリティプログラム「Le Club Lacoste」とWeb3(ブロックチェーン技術によって実現する分散型次世代インターネット)エクスペリエンスの「UNDW3(アンダーウォーターと読む)」メンバーのみ利用可能なコンテンツを含み、実店舗以上の独自の小売体験を提供することで、コミュニティでの深い一体感と買い物客のロイヤリティへの感謝を生み出すことを目的としている。

 

バーチャルストアの訪問者がビーチを散歩していると、そのままワニの口へと入っていく。そこでは、ウェア、靴、アクセサリーなどLacosteの最新の夏のファッションコレクションを見ることができる。エレベーターで移動すると、ビーチを見渡せるプールデッキがあるアウトドアスペースがあり、さらに多くの商品が並んでいる。

 

英国に本社を置くバーチャル小売テクノロジー開発のEmperiaが作成したこのエクスペリエンスは、ワニの探し物ゲームをプレイし、水中にあるVIPスペースへ行くことができる。このスペースはLe Club LacosteとUNDW3のメンバーのみがアクセスでき、メールによるログインまたはLacosteのNFT(非代替性トークン)によってロックが解除される。

 

このスペースでは、LacosteのUNDW3と呼ばれるweb3コミュニティメンバーとコラボして共同制作した特別なUNDW3コレクションを展示している。同コレクションは、今年3月に発表され、夏にリリース予定だ。それぞれの物理的な衣類にはデジタルツイン(さまざまな実在するもののデータを仮想空間に再現する技術)やAR(拡張現実)機能が含まれており、QRコードを読み込むことで利用できる。探し物ミニゲームは、エクスペリエンスの随所に存在し、限定のVIPルームへと続き、参加したコミュニティメンバーには毎週、特別な景品が贈られる。

 

Emperiaのプラットフォームによって、小売業者は最先端のショッピング可能なバーチャル体験を構築し、維持することができるのと同時に、データ監視を活用することで、店内のバーチャルユーザー体験やブランドエンゲージメント、コンバージョンを最適化することができる。

 

「Lacosteとの継続的な取り組みと、eコマースと顧客ロイヤリティに関するLacosteの進歩的な考え方は、小売のバーチャルとフィジカルリテールを結びつけ、ユーザージャーニーを改善する新たなテクノロジーをもたらした」と、Emperiaの共同創業者兼CEOであるOlga Dogadkina氏は語る。「象徴的なワニの形を一般的な店舗の美学として使用することから、バーチャルストアにさまざまなデザイン要素を盛り込み、得意客だけがアクセスできる限定の機能を加えることまで、私たちは共に限界に挑み続け、実際に見て感じる以上のバーチャルショッピング体験を生み出し、デジタルショッピングをブランドのeコマース戦略の不可欠な一部にしている」。

 

この新しいバーチャルストアは、2022年後半に始まったLacosteのホリデーバーチャル体験に続いて登場したもの。そして、2023年、LacosteとEmperiaは共に、The Webby Awards(国際デジタル芸術科学アカデミーが年間を通じて最も評価すべきウェブサイトや作品を表彰するウェブ界のアカデミー賞とも呼ばれる国際的な賞)のメタバース、没入型およびバーチャルの小売とショッピングカテゴリでWebby Winner(優秀賞)を受賞した。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の7/26公開の記事を翻訳・補足したものです。