役立つメールを送ることで、顧客はブランドへの愛着を感じ、製品やサービスを購入する可能性が高くなる。

あなたのブランドは愛されやすいだろうか?あなたの製品やサービスが、価格において他のどのブランドよりも優れているならばそうだろう。しかし、愛されるブランドを作り上げる方法は、それだけではない。

愛すべきブランドは、顧客の気分や購買意欲が高まっていないときでも顧客を受け入れる。これらのブランドは、顧客生涯価値以上に買い物客に感謝していることをさまざまな方法で示している。

 

この相思相愛の話から、私が何を言いたいのか察しがつくだろう。優れたブランド体験は、あなたとあなたの顧客に価値をもたらす長期的な関係を築くために不可欠だ。しかし、メールがその関係をどのように促進できるかについては理解していない可能性がある。

 

顧客は割引や特別オファーのために貴社のメールプログラムにサインアップするかもしれないが、それでも自社の目標を見据え、メールを通じて感謝の気持ちを伝えるためのあらゆる方法を模索し続けるべきだ。

複数のプラットフォームで適切に表示され、コピーと画像のバランスが良く、リンクが機能し、魅力的なオファーを備えた、優れたデザインのセールスメールは、購読者に提供できる最高の贈り物だと思うかもしれない。そのメッセージは、さまざまな方法でパッケージ化し、さまざまな状況にある顧客に伝えることができる。

 

4つのパーソナライズされたメールで愛を届ける

メールにこだわりがある私が、注目すべきお気に入りのメールコレクションを集めてみたところ、送信元のブランドへの愛着がさらに深まるようになった。つまり、そのブランドが販売する商品が必要な場合に、そのブランドを選択する可能性が高くなったのだ。

 

これは、『成功するメールマーケティングは、実際に有益なマーケティングである』という私の考えを示している。私たちが顧客の目標達成を手伝うことで、顧客も私たちの目標達成の助けとなっているのだ。そして、それは良好な関係のための非常に有効な基礎となるものだ。

 

これらのメールには、他にも2つのメリットがあり、あなた自身のニーズにも応えることができる。

 

  • ファーストパーティデータの使用:4通のメールすべてが、顧客から直接収集した顧客データを呼び出し、そのデータを使って、どのようにより良いメールを送信するかを顧客に示す方法で表示している。

 

  • 各メールを自動化できる:各メッセージは、メールテクノロジーを使用し、顧客に価値を提供するだけでなく、自社の目標を示すメッセージを送信する素晴らしい例だ。ただし、それらは「設定して終わり」ではない。デザイン、タイミング、およびデータ統合に注意を払い、適切なデータで正しく起動し、バウンスやスパムの苦情の引き金にならないようにする必要がある。

 

1.再入荷の通知

再入荷通知リクエストは、強力な意思表示のシグナルである。そのため、時間をかけてもその通知を依頼した顧客には、入手可能になった時に、その商品を思い出させてくれるような魅力的なメールを送信する価値があるだろう。

 

この再入荷通知メールは、カスタマーサービスの基本的な概念を示すものだ。以下のメールは、Cult Beauty(海外のコスメやスキンケア商品を取り扱うオンラインショップ:英国)が私を呼び戻すために送ってきたメールである。

 

件名:ウィッシュリストのアイテムが入荷しました

このメールが優れている点

件名から、私が自分の取ったアクションによってこのメールを受け取っていることがすぐにわかるため、非常に関連性が高いことが見て取れる。メッセージ自体は的を射ており、ずっと前にウィッシュリストに何を追加したのかを考えさせられることはない。

 

改善すべき点

内容が少し一般的であることだ。内面のコピーの見出し「Look Who’s Back(戻ってきたよ)」が気に入っている。なぜなら、ちょっとした興奮と興味をそそるからだ。素晴らしい件名になり得るが、変更前にテストしてみたいと思う。

 

2.誕生日の挨拶

Litmus(メールマーケティングプラットフォーム:米国)による「2021年版電子メールの現状」レポートによると、誕生日の挨拶を贈る小売メールマーケターはわずか31%とのこと。つまりここに、特別な日に顧客に手を差し伸べる大きなチャンスがあるのだ。

 

Holistic(メールマーケティング企業:英国)のクライアントであるPandora(ジュエリーブランド:デンマーク)が下記の誕生日メールで行っているように、デザインチームに気の利いたデザインを考えてもらい、オファーを添付するか、予算に余裕があれば特別な景品を共有することもできる。

 

 

件名:誕生日おめでとう、Kath 🎉🎁

 

このメールが優れている点

オリジナルメールのバーコードの下に表示される「Unique Gifts(他にはない贈り物)」セクションの詳細なパーソナライズが気に入っている。私のイニシャル、星座、その他11月の誕生日のアイデアが反映されているからだ。

 

これにより、提案された商品は、過去の購入に基づくクロスセルまたはアップセルのリストよりも関連性が高いものとなる。

 

改善すべき点

割引の代わりにPandora商品の景品があっても私は断らないだろう。しかし、それを除けば、このメールはそのままでも非常に優れている。

 

3.ユーザーサマリーメール

上で共有した2つのメールは、小売eコマースブランド向けのものだ。ライティングサービスGrammarlyのユーザーサマリーメールには、私にサービスを定期的に使い続けてもらうという別の目的がある。

私はこのような数字を追うのが大好きだ。その理由の1つは、私がメトリクス(指標)を重視していることもあるが、自分自身を他のGrammarlyユーザーと比較することが好きだからだ。

 

さらに、一番下の数字 (前の週に書いた単語数) を確認することで、自分の生産性を追跡し、仕事を続けるモチベーションを高めることができるのだ。

 

件名:あなただけに: 今週のデータ+本気の節約

 

このメールが優れている点

私はこれらすべての数字が大好きだが、それらに意味と文脈を与えるビジュアライゼーション(視覚化)が特に気に入っている。このデザインでは、データを簡単に理解できる消化可能なカテゴリに整理している。以前の作業に対する自分のパフォーマンスや、他の Grammarlyユーザーとの比較を一目で確認できるのだ。

 

3年前にサービスを利用し始めてからの週次の連番データと処理文字数を見ると、無料とはいえ、どれほどこのサービスに価値を感じ、利用しているかを、言うまでもなく思い知らされる。

 

改善すべき点

繰り返しになるが、このメールはそのままでも非常に優れている。あなたはどう思うだろうか?

 

4.購入記念日

使い方を間違えると、このようなメールは顧客からの「だから何?」という感想を引き出しかねない。顧客は、そのブランドから購入してからどれくらい経ったかを本当に気にしているのだろうか?

上記のGrammarlyメールと同様に、このメールは私が過去に購入したことをさりげなく思い出させるものであり、特定のオファーが添付されていなくても、同じようにさりげなく購入を勧めるものだ。

徐々にフリークエンシー(頻度)を増やしていくのであれば、このようなメールは、キャンペーン間の売上増加の効果をテストするのに適したメッセージだろう。

 

件名:あなたのNike記念日です

このメールが優れている点

このメールは、通常の割引やインセンティブではなく、Nikeの顧客であることのメリットに焦点を当てたメッセージを再構成している。

このメールの目的は、私がサイトに戻って色々と見て回り、パーソナライズされた靴など、買う価値のあるものを見つけるように誘導することだ。

しかし、購入するように説得することがすべてではない。ガイド付きのランニングやワークアウトプログラムなどの無料サービスにも注意を向けさせている。

 

改善すべき点

このメールは、今回紹介したなかで唯一パーソナライズされていないメールである。私の記念日だと知っているなら、私がいつから顧客なのか教えていただけないだろうか?

また、パーソナルサービスのコピー「Stay on Top」を「Nikes by You」のコピーに入れ替えた場合、このメールのクリック数が増えるかどうかも知りたいところだ。

パーソナライズされたNikeの一足は、より良いワークアウトよりも魅力的だろうか? 試してみる価値はありそうだ。

 

目標を達成するのに役立つメールはどれか?

これらのメールは愛着を生み出すが、いずれも通常の収益ベースのメールキャンペーンに取って代わるものではない。しかし、これらのメールはそのような目的のためにデザインされたものではない。

これらのメールの1通1通は、「お客様が当社から購入していなくても、お客様のことを気にかけています」と伝えている。それぞれが、キャンペーンとキャンペーンの間に、顧客の受信トレイに存在する正当な理由を与えることができるのだ。

 

これらのメールは、収益をわずかに増やすだけかもしれないが、主な目的は愛を示すことだ。あなたはどれをお試しになるだろうか?

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の2/14公開の記事を翻訳・補足したものです。