景気後退時に広告費を無駄にしない方法とは。

 

景気後退時に最初にすることは何か。

それは、支出の無駄をなくすことだ。

マーケターは、自分たちの予算が真っ先にカットされることをよく知っている。不況下でマーケティング費用を削減しなかった企業は、削減した企業よりも、実はより力強く立ち直ったという調査結果があるにもかかわらず、マーケティングが過小評価されているのは周知の事実だ。

 

しかし、能力や年功序列に関係なく、誰しもがコストカットの対象となりうる事実に変わりはない。そして、明確に下げ相場に突入した今、不確実性は増していくばかりだ。予算や人員に関係なく、広告からウェブサイトへのエクスペリエンスを最適化し、広告費を無駄にしないことは今まで以上に不可欠となっている。

 

ここで紹介するのは、マーケティング予算を最大限に活用し、ビジネスに有意義な結果をもたらすための4つの方法である。

 

1.広告を監査する

マーケティング費用を最大化するためにどれだけ努力しても、費用対効果が上がらないキャンペーンやチャネルが少なくとも1つはあるものだ。実際、効果がないチャネルや戦略に26%のマーケティング費用が浪費されているという調査がある。

 

これは、マーケターの間で共通の問題だが、経済が不安定な時期は、特に積極的に広告費を最大化する必要がある。広告費、インプレッションやウェブサイト訪問のいずれにおいても無駄がないようにすることが、今、最も重要となる。そのためには、何が機能していて、何が機能していないのかを理解するべく、現在の広告活動の課題を見直す必要がある。

 

広告を見直す際に、次のポイントを確認してほしい。

 

・ターゲティング

リストに載っている人すべてがブランドや商品に最適であるか、もしくはターゲットをさらに絞り込めるか。より多くのコストがかかるかもしれないが、よりクオリティが高く、よりコンバージョンの高い広告となる可能性が高くなる。

 

・エンゲージメント

クリック単価とコンバージョン単価はいくらか。どの広告が最もエンゲージメントを促進し、どの広告が最も促進していないか。最もエンゲージメントの高い広告は、最大の収入源となっているか。そうでない場合は、もう一度ターゲット設定を見直してほしい。

 

・ランディングページ

広告からランディングページへの繋がりがあるか。ランディングページは静的なものとなっているか、もしくは訪問者や購入者のセグメントに基づいて動的に調整されているか。ブランドの継続性だけでなく、シームレスな購入者体験を提供することも求められている。

 

・チャネル

チャネルごとの費用やROIはどの程度か。どのチャネルが最もコンバージョンを得ているか、どのチャネルが最も得ていないか。業界における各チャネルの指標を満たしているか。指標がわからなければ、担当者に尋ねてみてほしい。どの業界にもベースとなる指標がある。

 

・入札

入札は手動か自動か。リーチと予算の効率最大化のために、どのように最適化すれば良いか。

 

2.テストを重ねる

景気後退時のマーケターとして、アジャイルであることは最高の資質の一つであるため、これを機会に自分の価値を証明しよう。それぞれの広告費を有効に使うには、キャンペーン開始前にメッセージをテストし、キャンペーン期間中にクリエイティブを最適化し、キャンペーンのライフサイクル全体でウェブサイトとランディングページをコンバージョンに向けて常に最適化することが必要だ。

 

A/Bテストを行うか、ルールを使用するか、あるいは「常にテストする」ための「継続的コンバージョン(Continuous Conversion)」のいずれを選択しても、多くの時間とリソースが必要だ。AIや機械学習によって、広告やランディングページを最適化し、リフト値を増加させながら、広告からウェブサイトへシームレスな顧客のブランド体験を顧客に提供する方法を考えてみよう。

 

3.顧客体験を守る

広告のコピーやビジュアルを完成させることに時間を費やし、カスタマージャーニーのクリック後の部分について忘れてしまうことがよくある。しかし、ファーストタッチからラストタッチまでの顧客体験全体を最適化するために時間をかけることで、大きな成果が得られるのだ。

 

B2Bやeコマースの顧客にとって、顧客体験が購入決定の最も重要な構成要素の一つになることはよく知られている。顧客の80%が「パーソナライズされた体験を提供するブランドから購入する可能性が高い」と答えている。また、広告をパーソナライズすることは重要だ(消費者の90%が好意的に捉えている)が、同様に、その後に続くすべてのタッチポイントを最適化し、パーソナライズすることも不可欠である。

 

キャンペーンのコンバージョンと顧客ロイヤルティを上げるために、シームレスな顧客体験を生み出すにはいくつかの方法がある。

 

・時間をかけてオーディエンスを本当に理解する

綿密なリサーチは、適切なセグメントをターゲットにするだけでなく、彼らの心を理解し、心に訴えるメッセージを作成するのに役立つ。そのためには、定量的なデータ(アナリティクスなど)と定性的なデータ(ヒートマップ、調査、チャットボットのログなど)の両方を見て、顧客の行動やモチベーションの全体像を把握することが最重要となる。これを具体化すると、顧客がクリックした広告、新規の訪問者かリピーターか、以前に訪問した製品やページ、その他のコンテキストや企業属性に応じた動的なコンテンツを配信でき、あらゆるタッチポイントで適切な体験を提供することができる。

 

・すべてをテストする

テストすれば、失敗はありえない。オーディエンスを注意深くリサーチしていても、マーケティングから思い込みを排除し、その分野すべてにおいてテストする必要がある。我々の世界は常に変化している。顧客のニーズとコンテキストも同様だ。テストを行う考え方で、カスタマージャーニーのあらゆるステップにアプローチすれば、オーディエンスについて継続的な学習が生まれ、彼らがどう行動するかをより的確に予測することができるようになる。この学習によって、顧客体験全体を最適化し、その時々の顧客と共感でき、コンバージョンにつながるような体験を提供することができる。

 

4.自動化に頼る

上記の3つのタスクは至難の業だ。そこで、広告費用、ランディングページ、顧客体験を継続的に最適化するには、自動化に頼ることが不可欠だ。

 

自動化は、より少ない労力でより多くを行い、大規模にさらに効率化を推進するためのカギである。適切に設定すれば、優れた考えと自動化の組み合わせは強大な力のようなものになる。面倒で複雑なタスクに費やす貴重な時間を節約できるため、自分が最も得意とすることにもっと力を注ぐことができる。つまり、オーディエンスとつながり、最高の体験を提供するための優れたアイデアを考えることができる。

 

自動化ですべてのことが実現できるわけではないが、ここでは、自動化を活用できる場面をいくつか紹介する。

 

・プログラマティック広告

このマーケティング戦略は、リアルタイムの入札過程を通じて広告の購入を自動化し、適切なオーディエンスにハイパーターゲティング広告を配信することができる(しかもいかなる作業も不要)。さらに、関連するインプレッションに対してのみ支払いが行われ、価格、頻度、目標、ターゲティングをコントロールすることができる。

 

・セグメンテーション

自動化されたセグメンテーションは、広告を見た人を共通の特徴に基づいて自動的にグループ分けすることができる。これらのセグメントを使うことで、属性に基づいて、高度にパーソナライズされた体験を作成し、時間、費用、リソースを大幅に節約することができる。

 

・ウェブサイトのパーソナライゼーション

最終的な目標は、ウェブサイトにユーザーを呼び寄せ、行動を起こしてもらうことだが、ウェブサイトのパーソナライゼーションの自動化は、そのコンバージョンに大きく貢献する。AIを搭載したパーソナライゼーションソリューションを使うことで、訪問者それぞれの独自のニーズに合った、高度にパーソナライズされたウェブサイト体験を動的に提供することができる。優れた機械学習ソリューションは、継続的に学習と改善を続け、オーディエンスと市場の行動に合わせてリアルタイムで体験を調整するため、常に気を配る必要はない。

 

最後に

テストをすれば、失敗はありえないこと、そして、機械学習は友人であり、何度も繰り返し行うことに意味があることを忘れないでほしい。デジタル広告に反復的なアプローチを取れば、マーケティングのヒーローのように見えるだろう。

(広告とランディングページの最適化についてさらにヒントが欲しい人はこちらへ。)

 

※当記事は米国メディア「MarTech」の7/21公開の記事を翻訳・補足したものです。