ネットショップが陥りがちな典型的な罠
3月28日に開かれたnifty様主催のセミナーにおいて、エンパワーショップ株式会社代表西澤が「ネットショップが陥りがちな典型的な罠」をテーマに講演を行いました。
nifty様主催のセミナーの講演風景
その中から、ネットショップの運営にはどのような典型的な「罠」があり、どのような「罠」に陥りやすいか、そしてどのように回避すべきかをお話した部分に絞って、ここではお伝えしていきます。
陥りがちな典型的な罠とは
国内には10万とも20万とも言われるネットショップが存在しています。
しかし、多くのネットショップにおいては、売上がほとんど立たずに困っている状況です。
さらに、売上が立っているショップにおいても、継続的な成長をすることは非常に難しいと感じていることと思います。
ネットショップの運営においては、これをやれば大丈夫という黄金法則はないのに、あれもこれも上手にやらないと売上は上がっていかない、という難しい業務を行っていかなくてはならないために、成長をしていくいことが出来るショップはごく僅かとなってしまっているのです。
多くのショップでは、やることは沢山あり、常に忙しい状態だが、「何」をやらないといけないのか、「何」からやらないといけないのか、を理解できずに、闇雲に忙しい状況が続いているのです。
その「何」を明確にするものが「陥りがちな典型的な罠」を知り、罠にはまっていないか、どの罠にはまっているのか、を把握することなのです。
「陥りがちな典型的な罠」に気づかず放置すると、売上は伸び悩み、負のスパイラルが生まれます。
また逆に、この罠をクリアすると、確実に売上は伸びていきます。
今回は、売上を妨げるこの「罠」について知ることから始めてみましょう。
罠が潜む6つのポイント
罠が潜むポイントは大きく分けて6つあります。
罠が潜む6つのポイント
商品
商品の罠は、取り扱っている商品そのものの問題や、商品ラインナップに問題があるケースです。
以前は取り扱っている店舗が少なかったり、価格競争力があり売れ筋だった商品も、時が経つと競争力がなくなってしまうケースもあるでしょう。
また、商品自体が、他の商品に置き換わり、本当に求められているものではなくなってくるケースもあります。
全く売りが立っていない場合は、そもそもその商品自体のニーズが市場にあるのかを再検討する必要もあります。
また、ショップの顔となるフロント商品が弱く、軸を作れていないことも問題となります。
現在のラインナップが今本当に売るべき商品なのか、定期的に見直してみましょう。
集客
集客の「罠」は、露出や集客方法の問題や、施策の実施方法に問題があるケースです。
恐らく、ほとんどのショップにおいてこの問題が最重要課題として認識されているでしょう。
そもそも売上を作るために必要な最低限の集客が出来ていないケースをはじめ、リピートをなかなかしてくれない、メルマガの反応が悪くなった、など原因がブレークダウンされているケースもあるでしょう。
さらにトレンドの変化が著しいため、スマートフォン経由でのアクセスが伸び悩んでいるケースや、ブログやTwitter、Facebookなど、ソーシャル経由でのアクセスが伸び悩んでいる場合も多いでしょう。
メルマガに頼っていたひと昔前と同じような集客施策を立てていないか、今一度考えてみてください。
サイト
サイトの「罠」は、サイトの使い勝手・ユーザビリティの問題や、パッと見た目でお客様の心を掴む画像やライティング、さらにはひとけの演出などに問題があるケースです。
Webが一般的に使われてから随分と時間が経ち、それにつれてお客様のサイトへの期待値(Webサイト、ネットショップサイトに対して求めるレベル)は日々高まっています。
普通のネットショップなら、このようなことが出来て当然、え?こんなことも出来ないの?、こんなに分かりにくいの?と思われてしまってっていませんか。
過去に使いやすさを突き詰めて作り上げたサイトでも、最新コンテンツが組み込まれていないことも考えられます。
他店舗と見比べ、サイトの使い勝手を常にチェックしましょう。
ロジスティクス
ロジスティクスの「罠」は、商品の在庫管理、商品の梱包・配送などに問題があるケースです。
不要な在庫を抱えすぎていること、逆にお客様の注文が入っているのに欠品になっている場合もあるでしょう。
売上が伸びてきているのに、倉庫の活用方法や、受注・発注から梱包・配送のプロセスが非効率になっていることも重要な問題となります。
受発注管理や在庫管理については常に新たなサービスが登場しています。
せっかく購入してくださったお客様を不快にさせないためにも、このあたりにも気を配りましょう。
顧客対応
顧客対応の「罠」は、問い合わせへの対応や、返品・交換などのレアケースへお対応、お客様への継続的なフォローなどに問題があるケースです。
運営が忙しくなってくると、問い合わせや返品・交換対応など、お客様のフォローを後回しにしがちになります。
たとえ日々の業務に追われていても、常に最善を尽くして接客していく必要があります。
運営
運営の「罠」は、社内の役割分担や業務フロー、コミュニケーションフローや方針、メンバーのスキルなどに問題があるケースです。
ネットショップ運営では、集客やサイト改善などに気をとられがちですが、このような運営面の問題はよく発生しており、中長期的に見ると、ショップ運営の足を引っ張る場合も少なくありません。
日々の業務を見直してみる必要もあります。
売上レンジによっても変わる罠
陥りがちな罠は、ショップの売上高によっても変わってきます。
立ち上げたばかりのショップと、急成長中のショップ、円熟味を増した巨大ショップでは施策の視点や、運営の考え方が違うからです。
売上レンジによっても変わる罠
月商0~50万円
まず、開店直後のショップや、長い間月商50万円の壁を越えられないショップは、初期に陥る典型的な罠に陥っている可能性が高いと考えられます。
50万円の壁を越えるには、そもそも商品力があるのか、そもそもアクセスのベースを作れているのか、そもそもサイトにひとけの演出を行うことが出来ているのか、この3点に尽きるといえます。
月商50~250万円
50万円の壁を何回か越えたショップの場合、次はこの250万円程度までの成長が壁となってきます。
50万円の売上と250万円の売上では、全く対応するべきことが変わってきます。
継続的に安定的な売上を確保する状態は整っているかが鍵となります。
フロント商品をしっかり作ること、安定的な売上を作るためのアクセスを作ること、さらにサイトでの取りこぼしをしないために、必要最低限のコンテンツや使い勝手を提供しているかが重要です。
月商250~500万円
月商250万円を越えてくると、様々なことを経験してきているショップと言えるでしょう。
その先の大きな成長を目指して、このタイミングでしっかりと準備を整えていく必要があります。
リピートをしっかりしてもらうショップにすること、ランディングページをしっかり準備していき、ソーシャルメディアやスマートフォンなども考慮した集客施策を行っていく必要があります。
また、開店時は好調だったものが時間と共に、競合と比較した場合に競争力が低下してきていることに気が付かなくなるのもこの時期です。
特に商品の競争力や、サイトの品質などについては細心の注意が必要です。
月商500万円~
月商500万円以上となると、年商でも1億円が見えてくる頃です。
継続的な成長が可能な状態となっているかをしっかりと見極めていく必要があります。
知らず知らずのうちにルーティーンになりがちなメルマガなどの施策が新鮮味がなくなって飽きられてくる場合もあるでしょう。
また、商品自体もずっとリピートしてくれていたお客様が、心なしか減ってきたように思う場合もあるかもしれません。
上手に対応しているつもりでも、広告投資が過剰になっていたり、ソーシャルメディアやスマートフォンをただ使っているだけの状態で、しっかり活用することが出来ていない状態に陥っているかもしれません。
さらに、商品数が多くなりすぎて管理が行き届かなくなったり、業務も肥大化してきて社員が疲れきってしまっているケースも見受けられます。
このように、売上高によっても典型的な罠は様々に変わっていきます。
売上高毎に、弊社EC向け解析ASPサービスShopnoteでは、以下のような典型的な26個の罠の発生状況を病名で判定しています。
Shopnoteで判定している26個の罠
罠を知りながら運営を行う3つの意義
ではここで、罠を知ることの意義について考えてみます。
罠とは、課題の発生している状態であり、それを知ることはすなわち、ECサイトの指標(KPI)をモニタリングしていることにほかなりません。
このECサイトの指標がある値以下である場合に罠に陥っていると考えることができます。
ショップ運営を行っていくにあたって、KPIでもある罠を知る意義は3つあります。
定点観測
まず、定点観測を行うことができるということです。
忙しい業務の中で、ぶれない判定や評価軸を持つことによって、問題点を素早く評価できます。
毎回問題点を探す為に、細かいデータの解析を行わないと何が起こっているか分からないという状態では、スムーズに売上アップの施策を立てることができません。
また、ショップを運営していると気が付かないような課題も気が付くことができます。
運営の継続性
次は、運営の継続性の観点です。
大企業であれば、運営担当者やデータ解析担当者が変わっても同レベルでの運営が求められてきます。
また、それほど大きくないショップでも、新しく担当者が加入したり、バイトなどで一時的に手伝ってくれる人が入ってくる場合もあります。
同じ視点、同じKPIを持つことで、担当者が変わってもすぐに情報の引継ぎを行うことができるでしょう。
他社との比較
最後は他社との比較です。
通常ECサイトを運用していると、他ショップの情報に触れる機会も多くなく、またデータについて詳細に知ることはなかなかできません。
自ショップの定点観測だけでは、気づいたら周囲から置いていかれているという状況になりかねません。
他社と比較した自ショップのレベルを把握することで、自分たちの弱み・強みを、相対的に知ることができます。
ただ、一般的にはこのポイントを自力で行うことは非常に難しくなります。
Shopnoteでは、この点に着目し、他社のデータと相対的に比較した上で課題の判定を行っているため、他社との比較も容易に行うことができます。
罠を知る際に気を付けたい罠
他社のデータを入手して比較を行うことができた場合、気を付けたいポイントがあります。
取り扱い商材の異なる他店舗のデータは参考にならないということも頭に入れておいてください。
商材が異なると、季節やトレンドによる違いが出てきます。
もつ鍋の具材を売っているショップであれば、冬と夏の売上が大幅に変わってくるのは想像が付きますよね。
データを比較する際は、このあたりもしっかり加味していかなければなりません。
また、ショップの構成による違いも考慮する必要があります。
取り扱い商品数が異なると平均PV数やコンバージョン率にも変化が出てきます。
また、300円程度の日用品を取り扱っているショップと、5万円の嗜好品を取り扱っているショップでもそれらのデータは大きく違ってきます。
さらに、売り上げ高が高いショップと低いショップでは集客方法や取り組み内容が根本的に違うので、データの見方は大きく異なってきます。
このように、単純な数値だけでは罠に陥っているかどうかは判断しにくいのです。
Shopnoteでは、これらの視点を考慮して課題の判定を行っているため、ショップ運営に際して、これらの視点を考慮することなく状況の把握が可能となります。
罠に気が付くためにはデータ解析を定期的に
ネットショップの担当者と話をすると、サイトのアクセス数はある程度把握しているものの、コンバージョン率や客単価といったデータをしっかり見ているショップは思ったよりも少なく、スマートフォンのお客様が購入している割合や、リスティング広告からの来訪者が購入している割合など、少し条件を絞っていくと、多くの方が把握をしていない状態です。
これにはさまざまなケースがありますが、例えばあまり施策の効果検証を行わないというショップさん。
これではせっかく投資をしても無駄になってしまうので、必ず効果検証は行うようにしましょう。
また、データ解析が苦手だという声も多く聞きます。
たとえ日々のデータにそこまで変化が見られなかったとしても、常に最低限のデータのモニタリングは行ってください。
ベテランの担当者の中には、何が起こっているか感覚で分かっているので、細かい解析は不要だという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、日々新しいツールが生まれている中で、その感覚だけに頼っていて本当に大丈夫なのでしょうか。
ショップ運営者は、後ろを振り返って検証することが苦手なように感じます。
検証して初めて前に進むことができるということを忘れないでください。
セミナーでは、この後、具体的にShopnoteにて自動判定している罠のうち、いくつかについて具体的に解説していきました。