サブスクリプションコマース(定期購入)は、これまでの雑誌や新聞を中心としたものだけでなく、レシピフードキットやセルフケアまで、あらゆるものを包括しつつある。英国比較サイトFinderによると、サブスクリプションボックス市場は、2022年までに、77%成長し、10億ポンドを超えると予測されている。

 

特に、カミソリ、化粧品、さらには生パスタなどの日用品を消費者へ定期的に届けるレターボックス型サブスクリプションサービスは、その便利さと柔軟性により、近年人気が確立されている。

 

個人向け月経ケアソリューション・サービスを展開するYoppieのグロース・マーケティング責任者であるSue Azari氏は、ブランドが環境への影響を考えることは不可欠であるとしている。「Yoppieは、パーソナライズされた生理ケア用品を市場にいち早く提供した企業の1つである。それだけでなく当社は、持続可能で環境にやさしく化学物質を含まない、オーガニックコットン100%の生理ケア用品も提供している。体にやさしく、環境に悪影響を与えない製品を、郵便受けで受け取ることができるのだ」。

 

いくつかの競合他社が市場に進出するなか、Yoppieは、ウェブサイトのデジタルコンテンツで月経関連の健康に関する教育リソースの不足を補うデジタルコンテンツを自社サイトで提供することで、さらに一歩先を行くことを目指している。教育だけではなく、「スティグマ(マイナスのイメージ)をなくしたい」という思いから生まれたYoppieのオンラインブログ「Full Stop Blog」には、「Navigating Birth Control When Your Trans or Non-Binary(トランスジェンダーまたはノンバイナリーの人のための避妊法)」から「The Top 10 Questions Women Wish They Could Ask A Gynaecologist(女性が婦人医に聞いてみたい質問トップ10)」まで、さまざまな記事が掲載されている。

 

「当社には、すべての教育コンテンツ制作に協力してくれる科学委員会があり、コンテンツはさまざまなテーマに分類されている」とAzari 氏。「ログインすると、ダッシュボードに表示されるコンテンツをカスタマイズすることができる。その中には、発送商品すべてを管理するダッシュボードがあり、自身の月経サイクルに合わせて簡単に入れ替えたりカスタマイズできる。「休暇で出かけるので、注文は必要ない」というように、自分の生活に合わせた使い方ができるのだ」。

 

Yoppieが対象とする年齢層が24~45歳前後であることを考慮すると、成長を続けるソーシャルコマースの世界に足を踏み入れたのは驚くべきことではない。実際、売上の95%はスマートフォンによるものだ。

 

「最近、TikTokをスタートし、面白いバイラルコンテンツ(爆発的に拡散されるコンテンツ)を提供している。Twitterも開始し、有料投稿とオーガニック投稿を組み合わせている。Facebookは、当社にとって重要な存在だ。また、誰もが自分の月経周期についてソーシャルメディアで公に話したいわけではないため、Facebook上には非公開のVIPグループがある。これは、非常に素晴らしいことである」。

 

彼女は、次のように続けた。「当社のオーガニックコンテンツ戦略は、ブランドエンゲージメントを促進するあらゆる要素を組み合わせたものだ。教育的なものもあれば、面白いミームもある。有料コンテンツでは、ブランドの認知度、検討、コンバージョンを重視している。当社は、ブランド認知度向上のための融合的キャンペーンを行っているが、市場に多くの競合他社が存在するなかで、当社はそのトップにいる。たとえば、メジャーな生理用品に含まれる有毒な化学物質の認知度を高め、Yoppieが、その問題に対してどのように業界を変えていくかに重点を当てている。また、ペイドソーシャルでのピクセルベースのリターゲティングで、ユーザーに何らかの割引や、より詳細な製品情報についてのメッセージングも検討している」。

 

ロックダウン中は、人々が実店舗に行けなくなり、サブスクリプションサービスがブームとなった。2回目のロックダウン以降、Yoppieの加入者獲得成長率は850%を超えている。しかし、Azari氏によると、規制が解除されて以降、Yoppieでは、ペイドソーシャルキャンペーンのエンゲージメントが低下しているとのこと。「これは、より多くの人々、とりわけ若年層が、携帯電話の前に座っているのではなく、外出して楽しんでいるとためだと当社は考えている」と同氏は述べている。

 

妊娠、月経、閉経に対応するアプリや Webサイトには「すばらしい選択肢がたくさんある」と認めるAzari氏。「現時点では、それらは、すべて別々のアプリとなっている」と同氏は話す。「しかし、女性の一生では、それらのすべての各ステージを経験する。PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)を患う人もいるかもしれない。私たちは、1つで、それらすべてをまとめて管理し、自分の体をよりよく理解できるウェブサイトを提供している。また、サイトの情報にに基づき推奨製品を提供している」。

 

毎月の生理を管理する方法として、サブスクリプションサービスを利用するのは、単に店舗で商品を購入するのに比べると値段が高い。Yoppieのサブスクリプションボックスでは、消費者それぞれの周期に合わせてパーソナライズされた生理用品を提供するだけではなく、注文時にPMSの症状に対処するための3種類のサプリメントを追加できる。顧客は、Yoppie製品の品質、提供される教育、それとも、単に利便性のために追加費用を支払っているのだろうか?

 

「利便性は大きな要素だ」とAzari氏。「追加費用がかかることもあるが、直前に店に駆け込んだり、友人にタンポンをもらわなくて済むという心理的なメリットもある。私たちは非常に多くのものをまとめ買いしているが、多くの場合、女性特有の商品は後回しにしてしまいがちだ。しかし、当社は、症状に対処するだけではなく、人々に自分の体をよりよく知ってもらい、異常があればそれに気づくことができるようにしたいと考えている。そうすれば、人々を正しい方向に導き、問題に対処するために必要なもの提供することができる」。

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の6/1公開の記事を翻訳・補足したものです。