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マーケティング
2015/02/06

キュレーションコマースへの進化の道程(前編)~藤巻百貨店からhatch、SumallyそしてSTYLESEEKへ

キュレーションコマースへの進化の道程

 

昨年から盛り上がりつつあるキュレーションコマースだが、コンテンツマーケティングの波にのって今年のトレンドとなるのだろうか。今回は、コマースからキュレーションコマースへの進化の過程を見ていくことで、今後のキュレーションコマースの未来像を考えていきたい。前編では藤巻百貨店に代表されるセレクトショップ、hatchに代表される専門家によるレコメンドについて見ていく。

 

 

そもそもキュレーションコマースとは

 

キュレーションコマース(キュレーションEC・キュレーション型eコマース)とは、EC事業者が独自の視点で情報(コンテンツや商品)を収集して、それを差別化の源泉としてオンラインで商品を販売する形態全般を指す。従来のECではメーカーは自社で作っている商品を売り、流通側は取り扱っている商品を売り、モールでは商材の濃淡なくとにかく幅広くあらゆる商品を売っていた。いずれの場合も従来は、商品力や商品ラインナップの幅の広さ、価格などが差別化の要因となってきた。しかし、キュレーションコマースでは、目利き力とでも言うべきか、商品の選定の方法やテイストが差別化の要因となるものだ。メーカー側はこのスタイルのECは行いにくく、流通側の事業者が取りやすい戦略となる。

 

キュレーションコマースへの進化の道程

 

 

 

セレクトショップ - オンラインでのキュレーションコマースの先駆け

 

まずはキュレーションコマースの先駆けとも言える、オンラインでのセレクトショップについて紹介していく。セレクトショップという業態自体は随分以前から行われていて、それ自体はキュレーションコマースという表現では取り扱われることは従来は少なかった。しかしキュレーションコマースが脚光を浴びるに従い、セレクトショップもキュレーションコマースの序章だと考えられるケースが増えてきている。通常のECサイトとの違いは、商品をただ並べるだけではなく、商品にまつわるストーリーコンテンツが非常に充実していることが挙げられる。バイヤーの想いがサイトのコンセプトをしっかり作り、それによって消費者の心を動かしているのが特徴だ。

 

<参考>

ECサイトのメディア化によって得られる3つのメリットと3つの注意点

ECサイトでのコンテンツマーケティング成功事例厳選4選から学べること

 

 

藤巻百貨店

 

伊勢丹の元カリスマバイヤーとして知られる藤巻幸大氏が、2012年5月に立ち上げたネット版セレクトショップが藤巻百貨店だ。

 

 

サイト内にはメンズ向けアイテムを中心に、藤巻氏によってセレクトされたこだわりの逸品が並ぶ。良質のアイテムばかりを揃えた同サイトには目の肥えたビジネスマンのファンも多く、その評価の高さは口コミを見れば一目瞭然だ。そしてこの藤巻百貨店の一番の特徴は、商品にまつわるエピソードや説明が丁寧に書かれていること。各界の著名人によるインタビュー記事や作り手の想いが綴られたコンテンツも用意されており、雑誌を読み進めるような感覚で商品を選ぶことができる。残念ながら主宰者である藤巻氏は昨年3月に急逝してしまったが、氏の長年の夢だった「百貨店を作る」という想いは今も受け継がれている。

 

 

babytopia

 

ゴルフダイジェスト・オンライングリーでネット事業を手掛けた浅川威氏が、自身の育児経験を元に2012年12月に立ち上げたベビーグッズのセレクトショップbabytopia

 

 

国内で取り扱いのない海外のスタイリッシュなベビー用品を取り揃え、それらのアイテムを際立たせるポップなサイトデザインが特徴となっている。また、babytopiaでは通常のECサイトと差別化を図るため、独自のコンテンツを多数用意。育児に関するコラムや育児にまつわる海外ニュース、ベビー用品選びのアドバイス、育児グッズメーカーの社長インタビュー、フォトスタジオガイドなど、パパ&ママに嬉しいお役立ち情報が満載だ。最近では、高級ホテル・高級旅館専門予約サイトの一休.comと提携して子連れ旅行プランを提案するなど、他業種とのコラボも注目を集めている。

 

 

専門家によるレコメンド - キュレーションコマースの王道

 

次はキュレーションコマースの王道とも言える専門家によるレコメンド形式のサービスを紹介していく。セレクトショップでは1ショップに1人の専門家が基本であり、そのバイヤーとの相性が合わなければ、そのユーザーはそのサイトで購入する可能性は限りなく少なくなる。しかしこの専門家によるレコメンド形式では、サイト内に複数の専門化がいるため、ユーザーの間口はセレクトショップよりも格段に広がる。各サービスともに、専門家から消費者へのレコメンドの方法に趣向を凝らしているのが特徴だ。

 

 

HATCH

 

ZOZOTOWNを運営する株式会社スタートトゥデイ出身の三浦有人氏が2012年7月に立ち上げたHATCH

 

 

スタート当初は、第一線で活躍する専門家(セレクター)がお薦めする商品を毎月8日に届けるという定期購入型の通販サービスだったが、翌年から単品でも商品を購入できるように変更。現在は約1割が定期購入、残りが単品での取り扱いとなっている。HATCHの最大の売りは、坂本龍一やNIGOなど、さまざまな分野において信頼できるセレクターたちが、洗練されたアイテムを紹介してくれるという点。その特徴を表しているのがサイトのトップ画面で、画面には商品画像ではなくセレクターたちの顔写真が並ぶ。そこから商品ページに飛べばセレクターたちが選んだ理由やお気に入りポイントが詳細に書かれており、ユーザーは納得しながら購入へと進むことができるのだ。最近ではリアルからネットへの集客を図るため、伊勢丹や阪急、ESTNATIONなどで期間限定のPOP UP STOREも展開している。

 

 

ippin

 

ぐるなびが昨年10月に立ち上げたばかりの食のキュレーションサイトippin

 

 

“あの人の「美味しい」に出会う”をテーマにした同サイトには、食通ブロガーや秘書、シェフや生産者といった60名を超える目利きたちが紹介する逸品が並ぶ。サイトを覗きながら嬉しくなるのが、各商品に添えられた文章のクオリティの高さ。ippinのために丁寧に書かれたコメントを読み進めるうちに、思わず一度食してみようかという気になる。現在はippin内にEC機能がないため、記事内のリンクを経由して外部サイトで商品を購入するという流れになっているが、いずれはippinで購入できるようになるそうだ。思わずクリックしたくなる鮮やかな写真の数々、そして気軽に購入できる価格帯も相まって、今後最強のお取り寄せサイトになるのではないだろうか。

 

 

MONOCO

 

国内外から厳選したデザイン製品を販売する会員制ショッピングサイトMONOCO

 

 

2012 年4月にローンチされた同サイトは、扱うアイテムのうち9割が海外のデザイナーによるものだ。商品は、歌手、モデル、デザイナー、建築家などさまざまな バックグラウンドを持つ多国籍な自社のバイヤーによってセレクトされ、会員は20〜40代の女性を中心に10万人を超える。取り扱いアイテム数は決して多 いとは言えないが、他では目にすることのできないデザイン性の高い商品が日々追加されるため、リピーター率が高い。サイトを運営する株式会社MONOCO は、同サイトについて「販売するというより、素晴らしい商品を紹介するという役割を担っている」と述べている。

 

 

shoedazzle

 

かつて欧米のサブスクリプション(定期購入)型ECの代表格と言われたshoedazzle

 

 

ユーザーの好みに応じて靴やバッグを毎月提案する同サービスは、有名スタイリストのKim Kardashian氏と起業家のBrian Lee氏によって2009年に立ち上げられた。shoedazzleでは、登録時にユーザーがどのようなスタイルを好むのかを探る20〜30問程度の質問が出され、その回答をもとにさまざまな提案が作られる。サイトの立ち上げ当初はスタイリストお薦めのアイテムが毎月届くサブスクリプション型だったが、2012年にその仕組みを緩和。現在はユーザーに合った商品が毎月1日にアップされる仕組みになっている。商品は1足39.95ドル〜と低価格にも関わらず、有名ブランドと同じ工場・素材で作られた高クオリティの商品が手に入れられると、その人気は留まることを知らない。

 

<参考>

サブスクリプションコマース(定期購入)はどこまで定着するのか

 

 

後編ではWEARに代表される好みのキュレーターによるレコメンド、SumallyやSTYLESEEKの自動レコメンドについて見ていき、キュレーションコマースの未来像について考えていく。