昨年末のホリデーシーズンに、デジタルギフトカードとeギフトカードの売上が急増。消費者のショッピングパターンに、新たな選択肢が定着しつつある。

 

ギフトカード、デジタル決済ソリューションを提供するBlackhawk Networkの消費者支出に関するBrandedPay Post-Holiday Reportによると、デジタルギフトカードの売上は80%以上増加。また、同調査によると、ホリデーシーズン中のeコマースギフトカードの売上は、全体で40%近く増加した。

 

この調査結果は、「適切な選択肢があれば、店頭での買い物をしない」という消費者傾向が継続していることを示している。2021年にこのデジタルの勢いをどう高められるかを検討しているeコマース企業にとって、この新しいショッピングトレンドは強力な後押しとなるだろう。

 

消費者行動が急速にデジタルへ移行し続ける中、ギフトカードプログラムも例外ではない。Blackhawk Networkのマーケティング・コーポレートブランド担当グローバルヘッドのTheresa McEndree氏によると、ギフトカードを受け取った人は、ワクワクしてすぐにでも利用したいと考えるため、小売業者にとっては大きなメリットとなるという。

 

Blackhawk Networkが独自に収集した米国の売上データをもとしたリサーチでは、消費者支出は、同社による電子商取引とデジタルギフトの両方に関する予測を上回った。

 

「デジタル化は、今後も継続し定着するだろう。このようなデジタルショッピングへの移行は、今年の第1四半期の小売業の売上増加の要因となる。調査対象消費者の半数近くが、ギフトカードの額面金額よりも、少なくとも25ドル以上高い額を支出すると予測される。また、多くの消費者が、ホリデーシーズン後の数ヶ月間に、ギフトカードを使用するつもりだと回答している」と、McEndree氏は述べている。

 

主要調査結果と傾向

Blackhawk Network の調査対象となった消費者は、ホリデーシーズンショッピングのうち、平均すると68%をオンラインで行ったと回答し、eコマースとデジタルギフトカードの売上の内訳が急増した。これは、調査対象消費者がホリデーシーズン前に回答した予測値である60%を上回った。

 

この傾向に続き、eコマースギフトカードの売上高の伸びも、ホリデーシーズン前の予測を上回り、2019年の12%の伸びの2倍以上を記録した。2020年のホリデーシーズン前のeコマースギフトカード売上は、対前年比で21%の増加傾向にあり、ホリデーシーズン中の売上は跳ね上がり、40%近い成長を遂げた。

 

年間を通してデジタルカードやeカードを購入し利用するケースが増えたことにより、昨年の年末商戦売り上げはさらに増加した。デジタルカードやeカードの売上は74%で推移していたが、昨年は、6%ポイント上昇という結果になっている。

 

今後も継続するe支出

デジタルカードやeカードの普及は、Blackhawkが今後も続くと予測しているトレンドである。その予測は、昨年1年間で、消費者が別の決済方法を伴う以前とは異なる購買体験をしているとする、複数のレポートに基づいている。

 

例えば、調査対象となった消費者の41%が、「2020年にギフトを購入する際に例年とは異なる決済方法を利用」と回答。調査対象消費者の約4人に1人は、「2020年のホリデーシーズンに、初めてモバイルウォレットを使って買い物をした」と回答している。

 

このように回答した消費者は、「今後もその体験を繰り返すだろう」と回答。また、3分の1以上(37%)が、「今年買い物に使った新しい決済方法を永続的に採用する可能性がある」と回答している。

 

これらの消費者の半数は、「ホリデーシーズン後1ヶ月以内に、ギフトカード使用する予定だ」と回答。また、23%は、「今年上半期の終了時までに使用予定だ」と答えている。

 

ギフトカードの平均購入額は約45ドルであった。また、10人に6人がギフトカードの額面金額以上の買い物をすると回答しており、Blackhawkのリサーチャーは、これは米国の小売業者にとって朗報だと述べている。

 

新たな用途

消費者は、現在のeギフトのトレンドに他の用途を見出している。自分用にデジタルギフトを購入する頻度が増え、また、地元企業を支援する手段としても利用されているのだ。

 

小売企業向けソリューションプロバイダーであるAptos社のリテール・イノベーション担当副社長、Nikki Baird氏は、次のように語っている。「多くの人が、ギフトカードをプレゼントとしてではなく、小売店ビジネスをサポートするための投資として購入していることを忘れてはならない」。

 

ショップオーナーに何かをしてもらうことを要求することなく、小売業者に信頼とサポートを示すことができる素晴らしい方法である。在庫を探したり、店舗にスタッフを配置したり、レストランの場合は食材を購入したりする必要はない。

 

「そのため、ギフトカード購入も持続的に増加している」と Baird氏。

 

ギフトカードは利便性が非常に高く、その非人間的なイメージが大きく崩れているとBaird 氏。ビデオチャットでしか人に会えない場合には、ギフトカードを送ったとしても、以前のような非人間的な印象は急激になくなっている。

 

「ギフトカードに対する抵抗感が再び生じることはないと考えている。ギフトカードを買う、贈る、利用するといった利便性の高さから、消費者がギフトカードの利用をやめることはないだろう」と、 Baird氏は付け加えた。

 

普及の原動力となっている利便性の向上

消費者がギフトカードを好むようになった背景には、利便性の高さと、分散した生活を送る家庭が増えたことがある。この2つの状況が、消費者にとってeギフトプロセスをより魅力的なものにしている。

 

オンラインショッピングのおかげで、実際にギフトを送ることにおける利便性は向上したが、受け取った人がギフトを交換する必要がある場合、依然としてその手間が残っていたと、Baird氏は説明。

 

「ギフトカードは、そのような手間を省くことができる。どちらにしても、子どもたちが現金を使うことは、ますます難しくなっている」。

 

子どもが、受け取ったギフトを使ってApp Storeでアプリを購入しようと思っても、現金を使用する場合は、親が介入しなければ実現できない。こうした状況は、パンデミック前から生じていたとBaird氏は指摘する。

 

パンデミック前から、買い物客は利便性を優先していた。小規模企業向け情報を提供するFit Small Businessの小売・電子商取引アナリストであるMeaghan Brophy氏は、「デジタルギフトは、遠くに住む友人や家族、または買い物をするのが難しい人にとって最適なオプションである」と述べている。

同氏は、「デジタルギフトは、ラッピングや発送の必要がないため、ギフトを贈りたいと急遽思い立って買い物をする人に、人気のオプションである」と語っている。

 

古いトレンドにおける新しい魅力

National Retail Federation(全米小売業協会)の報告によると、ギフトカードが「ホリデーシーズンに最も欲しいギフト」の第1位となっている。ギフトカードが、買い物客が購入し贈るトップアイテムの1つになったとBrophy氏は指摘している。

 

「つまり、デジタルギフトカードが、人々が集まって直接プレゼントを交換しない時に人気のある贈り物であることは当然である」。

 

パンデミック禍において、配送料はますます高くなっている。また、配送時間も長くなり、サービスの保証も期待できない。デジタルギフトカードは、ギフトが予定通りに無事に届くことが保証される、信頼性の高い方法なのである。

 

パンデミック後は、人々が実際に会ってつながりたいと熱望するため、従来の贈り物が急増するかもしれない。しかし長期的には、デジタルギフトカードは、ギフトを贈る側と受け取る側の双方に利便性と柔軟性を提供するため、人気の高いギフトの選択肢であり続けるだろうとBrophy氏は予測している。

 

調査対象

Blackhawk Networkは、1,000以上のブランドやカード・パートナーと提携し、28か国、20万以上の小売店でサービスを提供している。Blackhawk Networkは、プリペイドのプロダクトやテクノロジーによって、ブランデッド・ペイメント・ソリューションを提供しており、毎週、世界中で3億人以上の買い物客と接点を持っている。

 

Blackhawk Networkは、調査結果をまとめるために2つの異なる調査サンプルを用いている。

 

1つ目は、2020年8月24日から31日にかけて、マーケットリサーチ会社であるLegerBlackhawk Networkの依頼で実施した、1,500人の回答者をサンプルとしたインターネットベースの調査結果に基づくものである。Blackhawk Networkによる分析内容は、2018年から2020年までのギフトカードカテゴリーおける調査結果に基づく。

 

そして、オンライン調査プラットフォームを提供するSurvey Monkeyは、2020年12月27日から29日にかけて、Post-Holiday Shopping調査の第2フェーズを実施した。Blackhawkは、18歳以上の回答者2,000人以上を対象としたインターネットベースの世論調査の結果を分析。リサーチャーは、全米の50,000以上の加盟店ネットワークの販売データを使用した。

 

※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の3/25公開の記事を翻訳・補足したものです。