2019年に注目すべき小売技術の4つのトレンド | 海外ニュース | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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公開日2019/01/11

2019年に注目すべき小売技術の4つのトレンド

米国の前年度の数字を見てみると、2017年度のeコマースは全小売の成長の49%を占め、前年比16%増となった。

2018年の米国のホリデーショッピングシーズンの総支出額である1,199億9,000万ドルという数字からも、2018年度は小売業界にとって新たな当たり年となる見通しだ。

次に何が起こるか正確に予測するのは難しいが、今回はあえて2019年の予想に挑むことにする。すべては技術のおかげで、オンラインショッピングは前代未聞の高い成長率を記録するだろう。

 

 

我々はイノベーションによって、小売業者の意味や買い物客の意味、そしてeコマースの「e」が何を意味するかが再定義されているエキサイティングな時代に生きている。

また、現代の消費者は、多くのタッチポイントを経由して買い物をしている。オンラインで検索してオフラインで購入したり、店内で商品をみてモバイルを閲覧し、オンラインで購入したりと、従来型実店舗とデジタルの境界線はあいまいになっているのだ。小売業者が成功するためには、これらの購買行動に対応していかなければならないだろう。それも迅速に、だ。

2019年を飛躍の年にしたいなら、現在最も先進的な小売業者がいかにしてモバイルやデスクトップPC、実店舗を統合し、顧客にベストな体験を提供しているかを参考にするとよい。今年はますます多くの企業がこうした動向に注目するだろう。以下は、2019年に注目するべき4つの小売技術のトレンドである。

 

1.リアルタイム在庫管理によってオムニチャネルが進化

オムニチャネルは決して新しいコンセプトではないが、今年はその本領を発揮するだろう。マルチチャネルショッピング体験への関心が高まるにつれて、顧客は、数々の購買行動をオンラインとオフライン両チャネルの利便性を活用したものへと変化させ、適応してきた。

トップの小売業者は「オンラインで購入、店舗で受け取り(BOPIS)」や「オンラインで購入、店舗で返品(BORIS)」などのオムニチャネルオプションを提供し、これらの変化に対処している。

ただし、オンラインとオフラインのオペレーションが完全に統合していなければ、これらの機能の実装は困難になる可能性がある。オムニチャネル戦略を成功させるためには、サプライチェーンや注文、在庫、フルフィルメント(商品の受注から決済に到るまでの業務全般)、在庫システムを完全に同期させ、お互いに連動させることが「不可欠」なのだ。

例えば、リアルタイムな在庫管理を例に挙げてみよう。在庫に関する情報が一元化されていない場合、ウェブサイト、マーケットプレイス、そして実店舗の販売チャネルは互いに完全に分離されてしまう。つまり他のチャネルでは在庫があるアイテムなのに、あるチャネルでは在庫切れと表示される場合があり得るということだ。あるチャネルのSKU(最小管理単位)が他チャネルと同期していない場合、店舗スタッフは購買データにアクセスできず、購入したチャネル以外での返品処理ができない。

チャネル間でリアルタイムに在庫管理を統合することにより、小売業者は顧客に本物の、そしてクラス最高のオムニチャネル体験を提供することができる。その体験は、今日の消費者の実際の買い物の仕方を正確に反映しているだろう。2019年には、より多くの小売業者がリアルタイムにタッチポイント間でつながる管理ソリューションに投資するようになるだろう。結局のところ、eコマースも独立したものではなく、コマースの一部であるということだ。

 

2.オープンソースを小売に活用

米国の世界最大手小売業者Walmartのような主要なブランドはすでにオープンソースを利用しているが、2019年は、さらに多くの小売業者がそれに続くだろう。というのは、オープンソースソフトウェアには2つの大きな利点があるからだ。1つはカスタマイズ性が高いこと。2つめは特定のベンダーの技術に大きく依存するベンダーロックインが無いことだ。

オープンソースを利用すれば、すべてのコードベースにアクセスできるので、自社のオンラインストアのフロントエンドからバックエンドに至るまで自由にカスタマイズできる。カスタム元帳を使用してクレジットカード決済モジュールをカスタマイズした元帳モジュールへの置き換えや、オンラインストアからオンラインマーケットプレイスへの変更も簡単にできる。

小売業者が、自社のデータやコード、知的財産の権利を所有するということは、自社の将来のビジネスが所有権システムの制限を受けないということを意味する。オープンソースシステムには、自社開発システムと同じレベルの所有権とカスタマイズ性があり、長年に渡って事業者を悩ませてきた「購入か開発か」というジレンマから解放される。

オープンソースによって、小売業界の人材格差も埋めることが可能だ。従来のeコマースは、閉鎖的で時代遅れの仕組みと技術の積み重ねで構築されている。非デジタルネイティブのブランドが優れた開発者を確保し、雇用し続けることが難しいのは当然だ。

2019年には、JavaScript、Node.js、React、Dockerなどの最新の技術を採用し、全世界的なオープンソースコミュニティに還元し、その拡大し続けるエコシステムに加わる小売業者がますます増えると予想される。

 

3.実店舗がVRやAI、ロボットの実証実験を開始

米国のビジネスニュースサイトBusiness Insiderによると、2025年までに拡張現実(AR)および仮想現実(VR)の小売市場は16億ドルに達すると予測されている。

近い将来、転換期は訪れるだろう。技術革新を進めるフランスの化粧品会社SephoraL’Orealなどの大手企業は、ユーザーは自分のスマートフォンのARアプリを使って化粧の使用感を試すことができるサービスを提供している。英国のファッション小売店Topshopや日本の衣料品製造小売業Uniqloのような店では、AR技術によって、買い物客が試着している服の色を変えたり、関連商品を試したりすることができる。

VR分野では、米国の百貨店Macy’s が、2018年1月までにVR技術を駆使した家具の趣味レーション試験プログラムを90店舗に拡大予定で、Walmartは従業員トレーニングプログラム用に17,000のヘッドセットを店舗に追加配布する予定だ。

小売業者はVRを活用することにより、没入型の体験を提供することが可能となった。しかしそのためには新しい設備環境が必要となっている。

コマースはすぐに感覚的になるかのように思うかもしれないが、今一度考えてほしい。正直なところ、ARとVRの効果は瞬間的なものだ。確かにこれらは楽しく新しい方法で、ショッピング体験をさらに良いものにできる。しかし、消費者にどのような価値を与えることができるだろうか?顔認識技術は、本当に消費者に利益をもたらすのか。それともただ怖がらせるだけなのか?

新しい年を迎え、ARとVRを取り入れたいと考えているであれば、それぞれの新しいテクノロジーの戦略的な目的を明らかにする必要がある。多くの消費者は、自動返品や位置情報ベースのモバイルクーポンなどのより実用的な自動化ツールを提供している小売業者に関心を示すだろう。

 

4.モバイルとセルフレジが主流に

我々は皆、小売業の黄金律を知っている。決済プロセスが早くなれば消費者は喜び、より良い業績が得られるだろう。2019年は、モバイル決済、モバイルセルフレジ、そして店頭での決済のスピードアップに役立つあらゆる代替決済機能の導入が、小売業の次の大ブームになると予測される。

Appleがモバイル決済を開発したのは少し前だが、それ以降大きな進歩を遂げた。2018年だけで、米国の小売業Target、Walmart、百貨店チェーンNordstrom’s、Macy’s、ディスカウント小売業者、DIYチェーンHome Depotなどの大手小売店がモバイル決済を小売店に導入した。

店員が、購入商品をスマートフォンでスキャンし、消費者がその場で支払いをするもバイアル決済サービスを提供するブランドもある。また、消費者がその小売業者のアプリをダウンロードして自分で商品ラベルをスキャンするという、店員とまったく接点を持たないタイプのモバイルセルフ決済をテストしたブランドもある。

こうした2つのモバイル決済方法は、買い物客が、現在モバイルやその他のデバイスでオンライン購入する際に利用し、馴染みのある迅速で簡単な決済体験を再現する。モバイル決済を利用すれば、顧客は長いレジの列に並んだり、手動のスキャナーで混乱したりといった決済処理の煩わしい問題を我慢することなく、素早く店内で決済をすませることができるのだ。

 

将来への準備

今日のめまぐるしく変わる小売業の世界では、競争は激化していく一方だ。eコマースとコマースはさらに密接に関連し、一つの販売チャネルを重視するだけでは不十分だ。小売業者が、真に競合他社と一線を画すためには、継続的なイノベーションを最優先させ、ますます賢くなる買い物客の期待を予測することが必要である。

あらゆる業界にも非常に多くの企業が存在する。どの企業も、その中で最高の利便性や柔軟性、パーソナライゼーション、サービスを確実に提供できる企業を目指している。消費者が常に正しいというだけではない。しかしどの企業が生き残り、どれが消滅するかを決めるのも消費者なのだ。

「新年の始まり」というものは、過去を反省し、新しく計画を立てる絶好の機会である。昨年の問題点は何だったか、そして今年はそれらをどのように解決できるか。さらに多くの新しい技術ソリューションが開発されているなかで、企業は今後何年間も自社を維持できる基盤となるようなビジネスの構築に焦点を置きたいだろう。

2019年は、新しい「小売の技術」をビジネス戦略における不可欠な要素として捉えることにより、未来の成功への道は開けて行くと言えるだろう。

 

※当記事は米国メディア「E-Commerce Times」の1/3公開の記事を翻訳・補足したものです。

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