生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティングでは、世の中の動向をいち早く把握するために、独自で調査を行なっており、今回、「EC運用の悩み」をテーマにしたインターネットリサーチを実施した。その一部を紹介する。
今、消費者向けブランド業界において、D2Cという「テクノロジー×小売」を実現した新しい業態が注目を浴びている。さらに、新型コロナウイルスの流行による外出自粛期間の影響を受けECサイトの需要はますます高まってきている。そこで今回は、20歳~69歳の自社のEC担当者(モールを除く)、男女743人を対象に、ECサイトを運用する上で悩んでいること・課題に感じていることについて、ネオマーケティングでは調査をした。
まずは、関わっているECサイトの段階について聞いたところ、「オープンして3年以上の段階」と回答した人が4割以上という結果となり、既に比較的長期にわたってECサイトの運用を続けていた人が最も多いことが分かる。
一方、これからECサイトをオープンする、「商材検討段階(サイトも未完成)」・「サイト構築段階」と回答した人は約25%と、全体の4分の1という結果となった。
次に、ECサイト運用へ感じている課題について聞いたところ、「新規顧客獲得」が最も多く、「運用リソース不足」、「サイト集客」と続いた。特に、「新規顧客獲得」や「サイト集客」といったマーケティングの分析を要するものは課題に感じている人も多いようである。
また、最も課題に感じていることについて、どのような課題か詳しく聞いたところ、「新規顧客獲得」に関してはサイトへの流入や、その後のサービス利用につなげることが困難という意見、「サイト集客」に関しては専門知識不足により思ったようなサイトが作れないという意見がみられた。
また、マーケティングの知識無くスタートしたは良いが新規顧客獲得・集客に関して課題を感じてきた、スキルや知識が無いため「困ったときのサポート不足」が課題となった、という意見もあった。どの課題も共通して、スキルやノウハウ不足が要因となっているようである。
自身がECサイト運用に割いている時間・工数についてどう思うか、聞いたところ、「多いと感じる」「やや多いと感じる」と回答した人は48.2%、一方で「やや少ないと感じる」「少ないと感じる」と回答した人は19.1%でした。約半数の人は、時間・工数を多いと感じているようである。
ECサイトの立ち上げ・運用に関して、外部パートナーを活用したか聞いたところ、「活用した」と回答した人は6割近くもいることが分かった。ECサイト立ち上げ・運用にはやはり外部のサポートを必要とする人が多いようである。
ECサイトの立ち上げ・運用に関して、外部パートナーを活用した場合、外部パートナーに依頼した業務について聞いたところ、「サイト構築」と回答した人は6割以上で圧倒的に多い結果となった。次に「WEBマーケティング」や「市場調査」、「システム開発」が続いており、マーケティングやシステムといった専門知識を要するものを外部に委託する人が、それぞれ3割以上いることが分かる。ECサイト運用上の課題として挙がった、スキルやノウハウを持った人材の不足の補填をするために、外部パートナーに依頼していると考えられる。
その依頼した外部パートナーについて、不満があるか聞いたところ、「費用が高い」「コストに見合った対応ではない」といった費用や費用対効果に関する不満が最も多く、次いで「提案力がない」や「サポート体制が弱い」と回答した人が続く結果となった。
ECサイト運用上での課題においても、どうすればよいのか分からないという意見が挙がっているように、充実したサポートを望んでいる人が多いようである。
まず第一にサポート体制等を充実させることで、コストに対する不満は和らぐのではないだろうか。
担当するECサイトにおいて、CRM施策に取り組んでいるか聞いたところ、「外部パートナーに依頼して取り組んでいる」と回答した人は約3割、一方「自社で取り組んでいる」と回答した人は半数を超え最も多い結果となった。
ECサイトにおいてCRM施策に取り組んでいる場合、CRM施策は十分にできているか聞いたところ、「十分にできている」「おおむね十分にできている」と回答した人は52.8%、一方で「やや不十分」「不十分」と回答した人は47.3%と、ほぼ半数ずつという結果となった。
CRM施策を「自社で取り組んでいる」人は5割以上だったが、半数の人が不十分と感じている結果からすると、やはり自社では不十分ということだろうか。
CRM施策が不十分だと感じる原因を聞いたところ、「人的リソースが足りない」と回答した人は4割で、最もネックになっているようである。次に、「顧客データの活用ができていない」「顧客データの分析ができていない」が続く。
顧客データを取得してはいるものの、分析やデータ活用といった次のアクションまでは後回しになっているのだろうか。
今回の調査で、ECサイトを運用する上で、新規顧客獲得やサイト集客といったマーケティングの分析を要するものなど専門的なスキルやノウハウ面に課題を感じる人が多く、そのような不足しているスキルやノウハウを補うために、約6割がECサイトの立ち上げ・運用に関して、外部パートナーを活用していることがわかった。