デジタル広告支出は、その誕生以来、堅調な成長軌道をたどっている。The Interactive Advertising Bureau(IAB)の発表したレポートによると、2019年上半期には、2018年上半期比16.9%増の579億ドルのデジタル広告収入があった。しかし、この数字は、業界の成熟度を表す重要な1つのサインである。上半期の収入が初めて、前年の下半期に比べて(3,000万ドル)減少したのである。

 

広告費は一般的に、小売業者が消費者のギフトシーズンに向けてホリデーセールをプッシュする下半期により多く支出されるものである。そして、デジタル広告が、前年下半期を上回る上半期の結果を示しその傾向に反することは、インタラクティブ広告の永続的な価値の証である。しかし今回の数値は、デジタル広告が通常の季節的なパターンに落ち着き始めていることを示しており、割安のインベントリを求める広告主は、確立されたチャネル以外で探す必要が生じている。

 

同時に、デジタルテクノロジーは過去10年間において、小売業界に破壊的な変化をもたらし、消費者直販企業だけでなく、テクノロジーに精通した小売業者よるイノベーションにもつながっている。もはや、実店舗対オンラインショッピングだけではなく、それぞれに独自の強みがあることが理解されてきているのだ。むしろ、成功は、顧客に最も効果的にサービスを提供するための適切な実店舗とオンラインの組み合わせを見つけることができるかどうかにかかっている。

 

コンサルティング会社Deloitteが最近発表した小売業界の変化に関するレポートでは、「小売業の減速、競争、そして物理的オペレーションとデジタルオペレーションの継続的な融合により、企業は、消費者と利害関係者のために価値を創造すると同時に、自社と投資家のためにも価値を獲得する新たな方法を見出す必要に迫られている」と述べられている。

「消費者の選択を可能にし、需要を満たすことに焦点を当てた新しいビジネスモデルと収益モデルが拡散しているのだ」。

 

 

デジタルコマース広告の台頭:それは、何か?なぜ、価値があるのか?

我々はこのような環境で、デジタルコマース広告というものの発展と成長を目の当たりにしている。そのデジタル的なものの1つであるマーケットプレイス広告は、従来は、POP(ポイント・オブ・パーチェス)・マーケティング(購買時点におけるマーケティング)やショッパー・マーケティング(ショッパーの行動に基づくマーケティング)と呼ばれていたものに類似している。この分野と、広告主によるキャンペーン拡大を実現するツールについては、Martech Intelligence Reportで更に掘り下げている。

 

デジタルコマース広告は、主に、キーワードをターゲットにしたオークションベースのペイ・パー・エンゲージメント型商品広告フォーマットであり、eコマースサイトの検索結果、カテゴリ、商品ページに表示される。Amazonが最大のプレイヤーであり、Walmartも台頭している。さらに、小売店サイトで販売されている商品を宣伝するショッパー・マーケティング・ネットワークも存在する。多くの場合、マイクロサイトやブランド・ランディングページも利用可能であるが、必ずしもセルフサービスのインターフェイスを介しているとは限らない。

 

 

Google Shopping、Instagram、Facebook、Pinterest、Snapchatなど、マーケターが、商品フィードからアップロードして広告出稿ができるチャンネルもデジタルコマース広告の一種であるが、今回のレポートでは範囲外としている。

 

 

デジタルコマース広告は、IABが「2019年上半期にデジタル広告全体の45%(260億ドル)を占めた」と報告している検索広告と同様に、インテント主導型である。これは、検索したキーワードや訪問した商品ページなどの行動データを、オークションベースの入札市場と組み合わせて使用し、特定個人にどのような広告を提供すべきかを一定時間内に決定するものである。デジタルコマース広告は、購買ファネルの最下部までリーチできるため、買い物客が購入しようとする際や、オンラインカートに商品を入れた際、そしてチェックアウトすると同時に表示され、マーケターの視点からも有効であるものだ。

 

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の6/22公開の記事を翻訳・補足したものです。