2018年のデジタル広告業界における5つのトレンドとは | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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マーケティング
2017/12/25

2018年のデジタル広告業界における5つのトレンドとは

技術の進化と新しい法規制は、2018年マーケターの今後の展望や顧客との関係性に少なからず影響を及ぼすだろう。

2017年のデジタル広告業界では、今後数年間デジタルマーケティング業界に影響を及ぼすであろう大きな変化が見られた。2018年に向け、デジタル広告の展望がどのように進化するかについての5つの予測を考察する。

 

米国とEUの規制(緩和)がマーケターを異なる方向へ導く

米国とEU双方でオンラインマーケットを持つ企業ブランドは、2018年にこれらの市場を今までとは大きく異なる方法で導く必要がある。米国とEUの規制スタンスが違う方向に分岐した2017年。BBC社のシリコンバレー担当レポーターDavid Lee氏は、FCC(米国連邦通信委員会)がネットの中立性を終焉させるための投票が実施された日、以下ようにTwitterで呟いた。その内容が米国とEUの異なるスタンスを的確に要約している。


“今日から米国のインターネットは、プライバシー、データ保護、そしてネット中立性においてますますヨーロッパのそれと異なってくる”

 

2018年5月に発効するGDPR(EUでのデジタルデータのプライバシーに関する規制)は、マーケターがEUでユーザーデータを収集して使用する方法に劇的な影響を与える。対照的に、米国は本質的にユーザーデータに関する規制緩和が進んでいる(詳細は下記参照)。

(Google, Facebookなどの)プラットホームとアドテック会社も、2つの全く異なる環境に直面。この最たる例は、欧州委員会が、Googleが自社の商品比較サイトShoppingを検索結果で有利に表示されるように設定した事に対して、独占禁止法違反に対する損害の罰金 27億ドルを 課したということだ(Googleは この判決を控訴している)。同社に対してEUは独禁法違反容疑2件を追加している 。1つは、GoogleのサービスAdSense for Searchを利用するパブリッシャーとの契約に Googleの競合他社のサーチ広告の表示を制限している疑いに対して。そしてもう1つは、Androidの携帯電話メーカーがGoogle サーチとGoogle Chromeブラウザをあらかじめインストールし、それをデフォルトの検索サービスに設定することを契約要件に入れていることに対してだ。

 

リターゲット対応策は実現しない

リターゲット対応策は長い間試行錯誤されてきたが 、Apple社のIntelligent Tracking Prevention(SafariでWebサイトを閲覧する際にプライバシーを保護するトラッキング防止機能)の例をとってみても、マーケティング担当者の視点からこの分野に大きな変化が見られるとは考えにくい。

AppleのIntelligent Tracking PreventionとGDPRにより、リターゲティング広告の実行の可能性について多くの人が無効化されると予想してきた。しかし私はそのようにはならないと予測している。確かにオーディエンスターゲティングを第三者データに依存している中間業者にとっては痛手だが、その他のマーケティング担当者は簡単に対応策を考えていくだろう。

今年はマーケティング担当者と、リマーケティングの実践とユーザーに対する配慮について話をする機会が幾度かあったが、彼らの意見には驚かされた(全てではないが、多くの人は以下の意見を持っていたという点にだ)。ユーザーに配慮していると言う一方で、1人のユーザーに対して広告を表示する回数の上限「フリクエンシーキャップ」や、その他ユーザーエクスペリエンスに関する事については、短期間のコンバージョン率に影響を及ぼす場合にのみ問題視していた。マーケティング担当者は何年もの間、リターゲット機能に不満を抱いていたのにもかかわらずだ。

しかしこうした私の悲観的な予想は、嬉しいことに外れるかもしれない。AIを利用したプラットフォームでの予測可能な広告機能は、リターゲット戦略を大きく変えるかもしれないのだ(私の経験では、この機能に「予測」されたターゲットにされてしまったら、広告が殺到するだけだが)。そして Coalition for Better AdsIABのLEAN Adsなどの新たな基準の導入により、リターゲット機能の質は向上するかもしれない。

 

二社の独占状態は続くが、2017年の同社不祥事により他社にも好機が

2017年、GoogleとFacebookの振る舞いは好ましい物ではなかった。Facebookは2017年に驚くほど多くの測定と報告の誤り(約十数件)を出し、そのプラットフォームが情報操作により悪用された事をしぶしぶ認めた。Googleは、検索結果の質の低下や、YouTubeで不快なコンテンツと一緒に広告を表示したり、誤った情報、ヘイトスピーチや陰謀説を公開しているサイトにある広告から利益を得たりという騒ぎを起こした。これらの不祥事にも拘わらず、相変わらず二社の独占状態は2018年も続くだろう。しかし、2017年の出来事はこの独占状態に傷をつけた。マーケティング担当者は、2018年にこのような問題は決して許さないだろう。

ちなみに、この問題により利益を得た企業はMicrosoft (Bing-LinkedIn)、Amazon、パブリッシャーグループ、ISPだ。

 

ISPの台頭

2018年、Googleにとって大きな脅威になり得る相手、またFacebookも注意すべき相手とは?それはAT&T、チャーター、コムキャスト、スプリント、Tモバイル、ベライゾンなどのISP(インターネットサービスプロバイダー)やワイヤレスプロバイダーだろう。 その中でも、Oath(AOLの広告技術とコンテンツと米Yahooの資産を合わせたグループ )の所有権を持つVerizonはおそらく、新たな規制緩和環境を利用するのに最適な立場にある。これらの企業にとって2017年の暮れに決まったネット中立性の規制緩和はとても良いニュースだったが、この好機はこの春から始まっていた 。FCCのプライバシールールは、広告ターゲット設定やその他の目的で、ユーザーデータを同意なしで販売するISPの権限を制限するというものだったが、今年3月に上院はその規則の破棄を決議した。FCCの会長(元ベライゾン弁護士)Ajit Pai氏は、ISPがGoogleやFacebookなどの企業とは異なるプライバシー基準を課せられていることは、消費者を困惑させるだろうと主張している。

ISPの所有するインターネットとモバイルユーザーデータの幅は広い。ジオロケーションデータ、ブラウジングデータ、音声とビデオ視聴データ、アプリ使用データ、特定の個人を特定されない個人情報(PII)だが、それには詳細なユーザープロフィールなどが含まれる。これらはマーケティング担当者にとって喉から手が出るほど欲しい情報だが、プライバシーを重視する消費者にとっては悪夢のようなものに過ぎない。

 

データ、アイデンティティ、パーソナル化

このユーザーデータは広告の世界を広げ、結果として2018年に広告がますますパーソナライズされるようになるだろう。こうした流れは数年続いているが、サーチからアドレス指定可能なテレビまで、すべてのデジタル広告で視聴者データの使用が普及しているのだ。ファーストパーティのデータ所有権の重要性は今以上に高まり、それ故にISPがGoogleやFacebookにとって脅威になり得るのだ。

これらの恩恵を受ける事が出来なかったアドテック企業は、対応策として、自らのコンソーシアムを作ることにした。こうして作られたAdvertising ID Consortiumには、約20の広告技術会社(DSPSSP)が集結。Eメールリストを利用してターゲットを設定できる。それらのメールは、グループがOpen Ad IDと呼ぶものと相性がいい。パブリッシャーはデータリソースを集めるために、似たモデルを追い求めている。それはターゲット広告をより効果的に、そして各々で行うより大きな規模で提供できることに繋がる。

広告のパーソナライゼーションと並行して、新しいインタラクティブ広告フォーマットは、批判をかわし、ユーザーのエンゲージメントをより高めることになるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の12/19公開の記事を翻訳・補足したものです。