株式会社アパレルウェブは、同社運営の会員組織アパレルウェブイノベーションラボ(AIL)の活動の一環として、取引先を中心とするファッション企業の2020年2月・3月のECサイト売り上げが、新型コロナウイルスの感染拡大によってどう推移しているかを調査し、「2020年度ファッション企業における自社ECの推移」として、結果を公開した。

 

アパレルウェブイノベーションラボ(AIL)は、ファッション企業の経営層に向けて“イノベーションのヒント”を発信していくため、アパレル・ファッション業界に特化したサービスを提供するアパレルウェブが2017年10月にスタートさせた会員組織である。

調査は全体傾向とアパレル系、ファッション雑貨系の分類に分けたものを記載している。指標は売上やサイト訪問数、購入率などを昨年対比(週ごと)で比較しており、推移を追っている。

 

今回の調査対象全体の傾向は、2月の3週目を除いて、売上は昨年を上回っている傾向が全体を通してみられた。一方で、顧客1人あたりの購入金額を示す、客単価は2月の3週目以降、昨年を下回る傾向になっている。各社ECサイト上でセールや割引施策を、前倒しで行ったことが要因として考えられる。

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アパレル系ECでは、昨年対比(伸び率)の平均値は、全体傾向と同じく、2月の3週目に一度落ち込んでいる。2月3週目以降売上は、回復傾向になっている。売上の回復と並行して、訪問数は3月通して増加し続けていることから、外出自粛の波が強まる中、ECサイト訪問客の増加との関係性も見える結果となった。

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ファッション雑貨系ECでは、3月2週目に昨年比が一時的に大きく上がり、購入率137%、売上150%になった。ちょうどこのタイミングに複数企業のクーポン施策、コラボレーションアイテムの販売などが重なったことが要因になった。その反動から3月3週目の売上は昨年を下回るが、4週目には再び回復している。

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昨年と比べて客単価は下回っているものの、売上は上回っている傾向からもファッションECサイトの利用者が増加していることがわかる。アパレル系ECでは、緊急事態宣言が出る以前の3月から売上や訪問回数が増加している傾向にあるため、今後さらに増加が顕著になるだろう。

日本だけでなく、アジア・欧州・アメリカなど世界各国の最新事例や、消費行動の変化なども発信しているAILは、デジタルの重要性が高まる中、ファッション企業を中心とする会員のビジネスのヒントになる情報やデータを今後も発信し続けるとのこと。