オンライン小売業者のビジネスは、かつてないほどに難しい状況にある。より多くの機会もあれば、より多くのチャネルもあり、リスクもある。

 

Episerver(米国のデジタルマーケティング会社)の「Reimagining Commerce 2020」のレポートからは、モバイル、ソーシャル、そしてパーソナライゼーションという3つの大きなテーマが浮かび上がってくる。この調査報告は、5つの主要な国際市場(米国、英国、オーストラリア、ドイツ、スウェーデン)における4,000人を超える消費者を対象とした調査に基づくものである。

 

ベビーブーム世代以外はみなモバイル端末が首位

モバイル検索の成長は安定しており、特定のカテゴリーではおそらく縮小さえしているという事実もあるが、Episerverのレポートは、モバイルについて強気である。ベビーブーム世代(1946年から1964年頃までに生まれた世代)を除くすべてのオーディエンスが、スマートフォンをオンラインショッピングのデフォルトやプラットフォームとして好んでいることが明らかになった。

 

  • 消費者の25%が、週に数回、スマートフォンを使用してオンラインで情報収集や買い物をしている。18%は、週に数回、決済を完了するためにスマートフォンを使用。– 2019年よりも2%上昇
  • スマートフォンは、オンライン商品リサーチや買い物に使用する「デフォルト」端末として、他のデバイスカテゴリーすべてよりも利用されている。ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代)の58%、Z世代(1990年代後半から2000年代の初め頃に生まれた世代)の49%が、スマートフォンを好んでいる。
  • 一方、ベビーブーム世代で他のデバイスよりもスマートフォンを好んでいるのは、18%のみである。

 

消費者はどこでオンラインショッピングを始めるか

出典:Reimagining Commerce 2020

 

スマートフォンが好まれているとしても、コンバージョンは通常、どこか別の場所(PCやオフライン)で行われている。Episerverによると、「小売ウェブサイトへのデスクトップトラフィックは、2018年以降、43%を上回っていない」とのこと。それでも、「モバイルデバイスでのウェブサイトセッション(ウェブサイトにアクセスして行う一連の動作)は、過去3年間増加傾向にあるが、モバイルでのコンバージョンは、デスクトップ(3%)に比べてまだ低い(2%)」という。

 

ソーシャルとインフルエンサーが生み出す購買

調査によると、ソーシャルコマースとインフルエンサーによって生み出される購買のいずれもが、増加している。Episerverは、消費者のおよそ20%が「ソーシャルメディア・インフルエンサーによる投稿によって紹介された商品だから」という直接的な理由によって、購入していることを明らかにした。Z世代とミレニアル世代での比率は、かなり高く、約50%である。さらに消費者の31%は、ソーシャルメディア広告から直接購入している。これは、昨年から10ポイント増加した。

 

モバイルショッピングとソーシャルコマースは成長しているが、Episerverの調査は、調査回答者にある程度のショッピング疲れがあることも示している。同レポートによると、少なくとも週に1回買い物をするオンライン消費者の数は、2019年の26%から2020年には19%に減少したのだ。また、同社は、「消費者が、モバイルデバイスを使用してソーシャルメディアアクティビティに参加すればするほど、広告やマーケティングメッセージの攻勢に遭うようになる」と、主張している。

 

プライバシー vs. パーソナライゼーション

Episerverは、「この大量のマーケティングメッセージへの対応策は、パーソナライゼーションである」という。だが消費者は、個人データの開示が必要となるレベルのパーソナライゼーションを疑問視している。

 

  • 62%が、パーソナライズされたエクスペリエンスに関心を示している。これは、2019年から変わらない。
  • 昨年26%の消費者が、さらなるパーソナライズを求めていたが、今年は17%に減少。
  • 買い物客の25%は、ブランドや小売業者が、彼らの匿名性をこれまで以上に優先することを希望している。

 

Episerverは、世界的にあらゆる地域の消費者の大多数が、ブランドや小売業者に対し、1年前と同等か、それ以上にプライバシーを重要視してほしいと考えていることを明らかにした。なお、調査対象国の中で、最も高い割合でプライバシーの保護を求めているのは米国であった。

 

なぜ気にかけるべきか

レポートには、ボイスショッピングとカスタマーエクスペリエンスについて、Amazonが与える影響に関する調査結果も示されている。例えば、同調査では、消費者の39%がオンラインショッピングをGoogleで始め、9%が特定のブランドのウェブサイトで始めるのに対して、48%がAmazonで始めることも見出した。

このレポートを読むと、マーケティングチャネルの数が増加していること、そして、小売業者とブランドがあらゆるデバイスで多様なオーディエンスにリーチしようとする際に直面する課題や、その複雑さについて、強い印象が残るだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/27公開の記事を翻訳・補足したものです。