公益財団法人流通経済研究所は、eコマース(EC)による食品・日用品販売の現状を把握するため、ショッパーの業態の使い分けパターンを分析した。この分析では、食品・日用品の購買を対象とし、2018年1年間のQPR™、株式会社エムキューブが収集するパネル購買履歴データを引用し、生鮮食品や総菜は含まないものとなっている。

 

ショッパーの業態使い分けは9パターンあり、人数構成比が上位のパターンは、いずれもスーパーでの購買回数構成比が高くなっている。中でも、「スーパー・ドラッグストア併用」の人数構成比が30%弱と最も高く、続いて「スーパー中心」「スーパー・コンビニエンスストア併用」や「多業態併用」と続き、これらの人数構成比も比較的高くなっている。このことから、食品の需要獲得を巡り、各業態が競争を繰り広げている様子がうかがえる。

 

一方で、「EC多用」というパターンは、人数構成比は低いものの、ECやネットスーパーに絞ってみると上記画像のように購買率、購買頻度が相対的に高いことがわかった。また、「多業態併用」や「スーパー・生協併用」でもECの購買率と購買頻度が相対的に高くなっているのが見てとれる。

なお、今回の分析では、「EC多用」パターンのショッパーは、「北陸・甲信越」、「九州」、「四国」のエリアで高いことが判明した。店舗密度が低いエリアでは、スーパーマーケットなどの代替としてECが多く利用されているのだ。

 

経済産業省の推計によると、2018年時点のEC化率は、「食品、飲料、酒類」では2.64%、「化粧品・医薬品」では5.80%と、いずれも低水準だった。しかし、「EC多用」や「多業態併用」などのショッパーが増加すると、これらの分野で今後EC化率が更に高まると考えられる。