再び脚光を浴びている「サブスクリプション」eコマースのグローバル最新トレンド | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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トレンド
公開日2019/07/19

再び脚光を浴びている「サブスクリプション」eコマースのグローバル最新トレンド

サブスクリプション(定期購入)サービスは、昨今eコマースのなかでも重要な分野の1つとなっている。かみそりから犬用のおもちゃ、映画まで、あらゆるものがサブスクリプションモデルで販売されており、その勢いはとどまることがない。

 

<参考>

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犬用グッズを取り扱うBarkのマーケティング担当副社長Allison Stadd氏は、毎月犬用のおやつやおもちゃが詰められたボックスが届くサービスBarkBoxについて次のように述べている。「毎月届くBarkboxを飼い犬と一緒に開ける瞬間が毎月の最高の体験の一つだ、というお客様の声が届いている」。

 

Stadd氏はまた、「一般的には、ボックスが届くようになってから2、3ヶ月目になると、犬はBarkboxを認識し、何が入っているのかを理解するようになり、ボックスを見ただけで熱狂して喜ぶようになる。飼い主にとっては、飼い犬がナッツに喜ぶ姿を見られること以上にうれしいことはない」と言う。

 

サブスクリプションは、企業と顧客の双方に有益なシステムである。企業には、強固な顧客基盤と安定した収益をもたらし、そして、顧客にとっては、高い利便性と厳選された商品が提供される。

 

「事業者にとって、ビジネスでは経常的に発生する利益を確保することが重要である」と語るのは、ネットショップ構築プラグインを提供するWooCommerceのサブスクリプションチームリーダーBrent Shepherd氏。

 

「サブスクリプションは、将来の収益予測可能性を高めるだけではなく、増収と収益成長率の向上の達成が可能だ」とShepherd氏。「顧客にとっては、もしお気に入りの消耗品やサービスを見つけたら、それらを手動で毎週または毎月購入するよりも、定期購入を利用した方がはるかに便利なのだ」と加える。

 

チャンスを探る

企業は、それがかつて必要に応じて実店舗で購入されていたような商品であったとしても、サブスクリプションとして提供できる可能性のある商品を模索している。

 

「WooCommerce社のサブスクリプションサービスで成功を収めている企業は、食品、飲料、化粧品、衣類、メディアや教育といった、すでに一定の消費があるグッズやサービスの提供からスタートしている」とShepherd氏。「そして、各企業独自のエクスペリエンスを追加する。その後初めて、サブリクションモデルを導入し、提供している独自商品を利用する際の利便性をさらに高めている」と語った。

 

定期的に購入される商品を、熟考されたキュレーションによって強化し提供するといった組み合わせは、サブスクリプション市場におけるウイニングモデルといえるだろう。

 

ビジネスプラン開発などの収益性の高い成長ソリューションを提供するBig Innovations社長Darryl Hall氏は次のように語った。「長年にわたり確立されてきたビジネスモデルを、サブスクリプションモデルとして再構築することで、いくつかの大きな成功が実現した」。

 

「例えば、消費者は少し前まで、かみそりのような一般消費財を単発的に購入していた」とHall氏。

「あなたがそこまで若くなければ、あなたのお父さん、さらには、おじいさんと同じ方法でかみそりを購入しているだろう」と同氏は続ける。「かみそりのような製品の消費者は、単発購入のビジネスモデルに慣れきっている世代かもしれない。しかし、髭剃りメーカーDollar Shave Clubのような存在が、違う選択肢を提供している。現在かみそりのユーザーは、サブスクリプションサービスを利用して商品を購入しているのだ」。

 

 

革新的な思考

Bark社の場合、ペット商品市場は顧客に十分なサービスを提供できていないと見ていた。そして、サブスクリプションを導入することにより、より質の高いサービスを提供できるのではないかと考えたのだ。

 

Stadd氏は次のように述べる。

「Bark社がBarkBoxを販売し始める前は、ペット業界におけるイノベーションは非常に限られたものだった」。「犬は家族の一員なのだから犬たちのニーズを真剣に受け止めるべきだ、という現代の愛犬家の考え方に応える企業はなかった。子ども向けブランドが親たちに向けてはたらきかけるように、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初めに生まれた人々を指す。デジタルネイティブ)の愛犬家とペットの話をする企業は存在しなかった」。

 

同社はこのような革新的な考え方により、新興市場をターゲットとし、そのターゲット層を構築。彼らのニーズに応えるビジネスモデルを採用した。

 

「米国において、愛犬家が犬に対する強い愛情が当たり前になり、Bark社は急成長したのだ」とStadd氏は語る。

 

「犬が屋外の犬小屋で飼われていた時代には、我々のビジネスは時代錯誤だっただろう。また、当社の成功は、シェアしたいと考える商品の提供と堅実なオーガニックソーシャルメディア戦略(広告を使用せずに検索エンジンやSNSからの自然流入を利用した集客手法)に多大に起因している。その戦略とは、以前からそうであるように、販売促進とは関係ない犬に関連した非常にたわいないコンテンツを提供することである」と、同氏は続けた。

 

「インターネットがなければ、Bark社は今日存在していないだろう」と認めるStadd氏。「デジタルプラットフォームとアルゴリズムは変化している。それは、今日の競争においては、より大規模でコストのかかる障壁があることを意味する。しかし、熱心な愛犬家は一般化しており、それがすぐに変わることはないと考えている」。

 

サブスクリプションを機能させる

サブスクリプションモデルを成功させるための1つの鍵は、価格競争力を高めることだ。サブスクリプションは、製品自体とそれらの製品のキュレーションの両方の観点から、消費者に価値を提供しなければならない。

 

Big Innovations社のHall氏は次のように述べている。

「新しいオンラインサブスクリプションモデルは競争力のあるものでなければならない」。「ある特定の種類の製品やサービスの価格に既に慣れている市場に、もっと高い価格で同種の商品を提供したいのであれば、その商品価格を正当化できるものは何なのだろうか?世界最大の映像ストリーミングサービスであるNetflixのような、安定した人気が確立されたビジネスが、サービス提供価格を1〜2ドル引き上げようとする度に、映像配信サービス市場は大騒ぎとなる。たった1ドルの値上げでさえそうなのだ」。

 

サブスクリプションセールスは、おそらく他のどの種類の販売方法よりも、消費者と企業の関係を築くことができる。

 

「従来の買い手/売り手モデルとは異なり、サブスクリプションモデルは、まさに信頼関係に基づいた販売方法なのだ」とHall氏。

「サブスクリプションモデルは、おそらくコンセプトを最大限発揮する必要がある販売形態である。多くの試練を乗り越え新規定期購入者を獲得した後の主なタスクは、顧客を維持することである」と、彼は指摘した。「サブスクリプションモデルでは、顧客に売って終わりではない。また、最初に料金が支払われた時に、販売業務が終了するわけではない。そうではなく、顧客と今後の関係を築けるように努力することが必要だ。社員の育成プログラムにおいて、顧客との関係の構築と強化について指導することが重要である」。

 

もう1つの重要な点は、サブスクリプションは1度限りの購入とは異なり、その後長期間にわたり普及するのが望ましいため、長期的に提供する価値を考える必要があるということだ。

 

「基本的に、その価値をどのように提供するかという点が最も重要である」とHall氏。「最も成功しているオンラインサブスクリプションモデルとは、時間の経過とともに比較的安定した流れでその価値を段階的に提供するだろう。クライアントと成功したサブスクリプションモデルについて考察する時、大手製薬会社の用語を借りると、自社サブスクリプションモデルの候補として考えているものは全て、『time-release(長期にわたり徐々に活性成分を放出する製剤)』としての価値を持つかどうかというコンセプトによって判断する。それらの候補が1回の配送商品で大半の価値を提供するのであれば、顧客が定期購入を継続する動機はほぼないからである」。

 

全ての利点を考慮すると、サブスクリプションモデルは、eコマースエコシステムの重要な部分であり続けるだろう。そして消費者は、欲しい製品や必要な製品のサブスクリプションオプションを期待するようになるだろう。

 

「サブスクリプションモデルの利便性に対する消費者からの需要は、高まっている」と語るWooCommerce社Shepherd氏。「この需要は、例えば従来のサブスクリプションでは提供されていないものの、それに適しているような、食品といった分野でも利用できるようにしてほしいというように、消費者の期待が発展していく可能性がある。それは既存のビジネスやスタートアップにとっても同様に、新しいチャンスを生み出すことになるだろう」。

 

※当記事は米国メディア「E-commerce Times」の7/11公開の記事を翻訳・補足したものです。

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