デジタルマーケティング、マスメディア、商業に関する市場調査会社eMarketerの最新レポートによれば、スマートフォン向けの写真共有アプリケーション「Snapchat」の米国における月間利用者数が、サービス開始以降初めて、2019年に減少する予測だという。eMarketerはSnapchatの人気と成長が衰退した要因について、同社が2017年に行ったデザインリニューアルが不評だったことにあるだろうと説明した。eMarketerによると、2020年までにはSnapchatの成長はほぼ停止し、代わりにInstagramがその恩恵を受けるだろうとのこと。

 

2018年の第三四半期の予測では、当初eMarketerのアナリストは、2019年にはSnapchatが6.6%成長し、米国の月間ユーザーは9,040万人に達すると予測していた。しかし、現在その数は約7,750万人で、2018年から2.8%減少している。

 

eMarketerの予測アナリストであるShowmik Podder氏は以下のように語っている。

「2017年末に実施され、2018年初めまでに広く利用可能となったデザインリニューアルは、ユーザーにとって分かり易さに欠け、ユーザーの多くはストーリーとチャットが混在している仕様を気に入らなかった」。さらに、「リニューアルに対してのユーザーの反発は非常に強く、Snapchatは、わずか数か月後にはリニューアルの一部を縮小することを余儀なくされた」と加えた。

 

eMarketerは、Snapchatが2019年から2023年までの間に米国で獲得できる新規ユーザーは600,000人程と予測。2020年までにSnapchatの成長率は0.4%まで急落すると予測されるが、これは米国のソーシャルメディア利用の平均成長率(2.4%)よりもはるかに低い数値だ。また、2019年にSnapchatが取り込むことができるのはソーシャルメディアユーザーの37.9%と予想され、2018年の40%よりも低い数値となる。

 

eMarketerのシニアアナリストであるJasmine Enberg氏は、「新規、および既存のソーシャルプラットフォーム間の競争激化は、Snapchat衰退の一因となっている」と述べる。「しかし、先週Snapchatが発表した、独自アプリ内ゲームプラットフォームを含む新プロダクトの提供によって、ユーザーエンゲージメントと利用時間が改善されるかもしれない。とりわけ、中核的な若いユーザー層において効果的である可能性が高い。ゲーミングはまた、Snapchatに新たな収入源を提供し、将来的には、広告ビジネスを拡大していく可能性があるだろう」。

 

Snapchatの失速は、Facebookが所有するInstagramにとっては朗報である。Instagramは、2019年に米国のユーザーが1億670万人に達することになり、昨年から6.2%増加する見込みだ。今後もInstagramはユーザーの増加を見込んでおり、2023年までに1,900万人の新規ユーザーを獲得するだろう。同アプリの米国ソーシャルネットワークにおける現在のシェアは52.2%で、2018年から2%増加している。

 

 

※当記事は英国メディア「Mobile Marketing Magazine」の4/11公開の記事を翻訳・補足したものです。