ブランド・プロミスを守る重要性

マーケティング担当者は、消費者に商品を宣伝し、その商品を欲しいと思うセグメントが存在することを願うばかりでなく、むしろ顧客に価値をもたらす優れたサービスを提供すべきである。

マーケティングとeメールに取り組んできた長い年月、ほとんどのソートリーダーは次のような主張を繰り返している。「購読者の立場になり、最初に購読登録のきっかけとなったブランド・プロミスを守らなくてはいけない」。

つまり、eメールを送信する際は常に、関連性の高いコミュニケーションを提供するべきだということを意味する。

事業としてみた場合に、マーケティング担当者はより賢明である必要がある。目標を達成するために戦術に頼るのではなく、より戦略的に行動する必要があるのだ。

それは、もっともだと思うだろう。しかし今日も、受信トレイを見ては自分に何の関係もなさそうなeメールを全て削除しているのが現状である。こんなとき、「我々マーケティング担当者は一体何をしているのだろう?」と考えてしまう。

 

何を行っているのか?そして、なぜそうするのか?

マーケティング担当者の仕事は、顧客にサービスを提供し、ブランドストーリーを提示することである。また、「商品を売ることであり、KPI(重要業績評価指数)を達成することだ」と言う人もいるだろう。私の考えはこうである。「私には、eメールアドレスを提供してくれた人に対しての責任がある。なぜなら、彼らは1日に何度も受信トレイをチェックし、そのたびに私の送信したメールを読むことになるからだ」。

顧客に価値を提供し、ブランドストーリーを伝え、顧客を大切な存在だと認識していることを示すのは簡単ではないことは十分に理解している。「顧客サービスに真剣に取り組んでいる」と言うが、実際はこれを、何か問題が発生した際に対応する「カスタマーサービス」を指している人を多く見かける。

今日私たちは、米国リサーチ会社Forresterによって「顧客の時代」と名付けられた時代に生きている。そして、顧客の期待も異なっているのだ。

Forresterの著名なアナリスト、Rusty Warner氏が、「顧客の時代」と言うコンセプトについて次のように述べている。

「力を持つようになった顧客は、チャネルに関係なく、すぐに権利を主張する顧客となり、一貫した価値の高いエクスペリエンスを期待するようになる。従来のマーケティングキャンペーン単体では、権利を主張する顧客の要求を満たすのに不十分である。

課題は、顧客ライフサイクル全体を通して、パーソナライズされたアウトバウンドコミュニケーションを顧客主導のインバウンドインタラクションと合致させることである。簡潔に言えば、ブランドはニーズが発生する瞬間に顧客を獲得しなければならないということだ。

そして、マーケティング担当者はブランドの成功を確実にするために、リアルタイムの分析とインサイトを活用し、状況に適した関連性の高いエクスペリエンスを構築する必要がある。キャンペーンの効果が全くないわけではないが、キャンペーンを進化させ、先見的で、フリクションレスな没入型のエクスペリセンスを提供しなければならない」。

 

マーケティング 担当者がサービスを提供すべき3つの分野

問題が発生する前に、顧客の役に立つ方法を3つ紹介しよう。

 

1.マーケティング担当者は、テクノロジーを駆使した取り組みを一層強化し、購読者、顧客、およびファンにサービスを提供すべきである。

簡単に言えば、マーケティング 担当者は顧客のことを第一に考えるべきであり、彼らをマーケティングの対象として見てはいけない。戦略的計画を短期的な戦術的計画よりも優先させることについて議論する場合、戦略に関して、「顧客の選択の助けとなるために何をしているか?」という点を重視すべきである。

目標を達成するために、多くの企業は次のように考える。「何千ドルものガラクタを売る必要がある。顧客にそのガラクタを買わせるために何をすべきだろうか?」

しかし正しい考え方は、「自社商品で顧客が必要としているものは何か、そして、その必要としている商品から売上を得ることができるか?」である。

私の考えが甘いと思う人もいるだろう。しかし、何度も一方的な宣伝を行い、宣伝したガラクタを買いたいと思う消費者層がいることを期待してきた。それでは顧客の役には立たないのである。

 

利用可能な技術を活用すべきである:最近、髪の毛を切りに行った時、担当の美容師が私に尋ねた。「マーケティングにおける最大の変化は何だろうか?」

私は、次のように答えた。「広告費用やフォーム、顧客とのコンタクトにおける顧客データへのアクセス、顧客とのコミュニケーションに必要なテクノロジー、および実行するためのコストである」。

これら3つのことすべては、マーケティング担当者がツールや機能、戦略、および戦術を活用する助けになる。それらを活用しないことは、マーケティング技術の進歩に対する侮辱である。

これらのツールを使用して、より関連性の高いメッセージを作成し送信することは、マーケティング担当者の当然の責任である。

 

さらに前進させるには:電話をかけたり、リストに載る全員に向けたキャンペーンを実施したりして、誰かが反応することを期待するだけでなく、1つ新しいことに挑戦するべきである。新しい戦略を試すのもいいし、「どうやって」(戦術)ではなく、「なぜ」(戦略)について検討するために時間を費やすのでもいいだろう。

 

実行中の行動バターンを一歩前進させる方法:先日、Amazonの出品者から商品を購入した。商品が到着した後、その買い物が期待した通りではないことに気付いた。そして、出品者のAmazonページにレビューを残した。それは酷評するレビューではなく(実際、星5つのうち4つの評価をした。)「商品は良いが、うまく機能させるために手間がかかるのが面倒だ」という文章を含んだコメントだった。

5日後、その出品事業者の担当者から連絡があり、どのような対応を望むかを聞かれ、新しいデバイスへの送付を提案された。

送られてきた新しい商品は、単なる代替品ではなかった。それはアップグレードされた、より高価なデバイスだった。その出品者は、そのような対応を義務付けられているわけではなかった。私のコメントを無視し、通常のビジネスのフローで片付けることもできただろう。しかし、そのような顧客への優れた対応こそが、「顧客の時代」が意味する全てであるとは言えまいか。

 

2.マーケティング担当者は、常に自分たちの仕事から学び成長しながら業務を実行しなければならない。

これは、通常業務のやり方に関することである。マーケティング担当者は毎日仕事をする中で、マーケティングについて日々学んでいるだろうか?LinkedInを、Facebookと同じ様にチェックインし、「いいね」をし、チェックアウトするという使い方をしているか?あるいは、アイデアや連絡先につながる情報ソースとして活用しているか?

マーケティングのニュースや解説を読んだり、Podcastやオンラインセミナーを聴いたり、あるいは対面イベントに参加するのでもいい。マーケティングの世界とのつながりを深めるために、少なくとも1週間に1時間をこれに費やすことを勧めたい。eメールプログラムでテストできる新しい何かを見つけて、その結果を測定しよう。

これらは、顧客のためにもなる。なぜなら、マーケティング担当者がより優秀になればなるほど、自分のeメールアドレスを提供してくれた人や、TwitterやFacebookのアカウントをフォローしてくれた人達とより良いコミュニケーションを取ることができるからだ。

新たな方向に向かって前進し続けなければ、失敗へとつながるだろう。

 

3.マーケティング担当者は、充実感を得られるような仕事をすべきである。

幸福感を得られないマーケティング担当者に、伝えたいことがある。人生は、悲しく惨めになるためのものではない。

もし、マーケティングという仕事を楽しめないのであれば、本記事で紹介した全てのことを実践する必要がある。さらに学び、読み、理解し合うことが重要なのだ。仕事のためだけではなく、自分の価値と充実感を高め、違う場所に飛躍できるように、新しいことに挑戦すべきである。

私は「賢明な人」を雇う。しかし「実行する人」は雇わない。恐らく、実行するだけの人を知っているだろう。彼らは、真似をするロボットであり、指示されたことをやる。しかし私は、より多くを望み、積極的に質問し、成長し、チームを見守る人を雇いたいのだ。「なぜ、そうなのか?」、そして「なぜ、そうでないのか?」を質問することは重要である。

これらの質問はすべて、より効果的なeメールを送信することにつながる。そして、顧客により良いサービスを提供するのに役立ち、企業にとっては、より多額の売上と解約の減少につながるだろう。

幸せになるためは自ら奮闘するか、もしくは、幸せを見つけるためにどこか別の場所を見つける必要がある。ただ、「実行する人」としての仕事を求めれば、それだけしか得ることはできない。そして、幸せをつかむことはできないだろう。

 

まとめ

私が知っている最も優れたマーケティング担当者達は、それぞれの顧客層に対し責任を感じ、業界における豊富なチャンスを活用している。彼らは、賢明であるがゆえに、活動的に参加する。彼らは、自分の仕事を理解し、積極的に参加し、教え、学び、そして、成長する。

優秀なマーケティング担当者の例に倣うことは、会社や顧客はもちろん、最終的にはあなた自身のためになるのではないだろうか。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の4/4公開の記事を翻訳・補足したものです。