株式会社ジャストシステムが運営するマーケティングリサーチキャンプにおいて「Eコマース&アプリコマース月次定点調査(2019年2月度)」の結果を公開した。調査結果の一部を紹介する。

 

メルカリの利用率がヤフオク!を超える

今や若い世代だけでなく、60代以上の「終活」の一環としても利用されるCtoCサービス。その利用状況に関して1年間の推移をみたところ、「利用したことがある人」「サービスを知っているが利用したことがない人」「サービス自体を知らない人」の割合はほぼ横ばいであった。

さらに、メルカリラクマ(旧フリル)ヤフオク!モバオクminneCreema、各CtoCサービスの利用状況について質問したところ、現在も利用している人の割合は、メルカリ(47.1%)、ヤフオク!(46.2%)、ラクマ(21.5%)、minne(10.5%)、Creema(9.5%)、モバオク(8.6%)と、メルカリの利用率がヤフオク!を超えた。

双方サービスの利用率について2017年4月からの推移をみると、ヤフオク!はほぼ横ばいの状況が続いている一方でメルカリは右肩上がりであることがわかる。2018年2月の利用率(38.3%)から2019年2月の利用率(46.7%)1年で利用率の伸びがみられる。

また、若年層ほどメルカリを利用しており、ヤフオク!よりも利用率が高いことがわかっている。

 

<参考>

60代以上のフリマアプリ利用者、就労意欲が高く「社会とのつながり」を感じる

 

ファッションECでの返品状況、22.5%の人が購入した商品に満足していないものの、返品はしていない

ここで、直近1年以内における、ECで洋服やくつなどの購入について質問したところ、「ECでは洋服や靴は購入していない」と回答したのは30.7%にとどまり、約7割の人がECを介してファッション関連商品を購入していることが明らかとなった。全体ではPCを介した利用が最も多い(43.5%)ものの、10代・20代ではスマートフォンアプリを介して利用している人が最も多かった。

では購入した洋服や靴に満足できない場合、どのくらいの人が返品を行っているのだろう。「返品」について自身の状況について尋ねた結果、「購入した洋服や靴に満足できず、返品をしたことがある」という回答は24.6%、「購入した洋服や靴に満足できなかったが、返品はしなかった」が22.5%であり、全体の48.9%の人は購入した商品に満足したため、返品は行わなかったと回答している。また、年代別にみても大きな差異はみられなかった。

消費者が商品に不満を持つ原因として「思っていたものと現物が異なる」ということが挙げられるが、ファッション商品であれば、「自分が着てみた印象」が分かりにくいのがECの弱点だといえる。そのような中でECでも商品を購入する前に様々な形式で「試着」が可能なサービスがある。このような「試着サービス」の利用状況について質問したところ、利用したことがある人は全体の16.9%にとどまり、42.9%もの人が興味はあるものの利用したことはないことが分かった。一方で「興味がない」という回答は21.1%、サービス自体知らないという人は19.2%だ。試着サービス自体はある程度認知されており、前年代が興味を持っているものの、実際に利用しているのは10代・20代が中心だ。

 

今回の調査より、CtoCサービスの利用状況から若い世代の利用の多さも影響しメルカリの利用率がヤフオク!の利用率を超えており、ファッションECの利用に関しては約7割の人がECでファッション商品を購入しているものの、約半数の人が購入した服や靴に満足できなかった経験がある事が明らかとなった。とりわけ、ファッションECに関しては、利用率が高い一方で商品に満足できない経験をする人が多い。このような経験が商品購入において「安く、失敗してもいいように」という観点を生み出す可能性があり、商品自体の良さと「自分が着た時の感じ方」が異なるファッション商品の難しさだといえよう。