Tax Day(納税の日、確定申告締切日)やNational Dog Day(犬の日)、ブランドの誕生日をテーマとしたEメールを自社のメール購読者に届けることは、読者の受信箱に少しの色を添えることができる。ここに”テーマを持ったEメール”のベスト・プラクティスを挙げていく。
2019年が始まり、Eメールマーケティング担当者はそろそろクリスマスシーズンの喧騒が落ち着いてきたのを感じている頃だろう。メール購読率が上がり爆発的な売上を記録したシーズンを終え、徐々にその興奮が落ち着くにつれ、どうすればこのEメールの効果を維持できるか、また落ち込みを避けられるかを考えているかもしれない。
同じように感じているマーケターは、少なくないだろう。米国のマーケティング会社Yes Marketingが2018年第1四半期のデータを収集したところ、この時期に顧客がメールの定期購読を解除する確率が劇的に増加することがわかった。マーケティング担当者は、メール購読者の活発な反応とエンゲージメントを維持するための対応に苦労している。競合他社に紛れるのではなく、Eメールに創造力を発揮し、独創的に考える時が来ているのだ。
この時期、創造力を働かせた良い方法の一つは、Eメールに斬新なテーマ(典型的なホリデーシーズンではない祝日や他のイベント)を用いることだ。Tax Day (納税の日、確定申告締切日、通常は4月15日)からNational Dog Day(犬の日、8月26日)、ブランド固有の祝日(ブランドの誕生日など)のような斬新なテーマを扱うことにより、購読者の受信トレイに、通常のマーケティングメールとは異なる色を少し添えることができるだろう。
斬新なテーマの例
斬新なテーマは、季節の変わり目から小さな祝日や国民的イベントまで何でも構わない。また、今回の収集したデータで、2018年に「テーマ無し」または「通常通りのビジネス(BAU)」のEメールよりも、Groundhog Day(グラウンドホッグデー、2月2日)やPie Day(パイの日、1月23日)のようなテーマのEメールに対するエンゲージメントが高いことがわかった。第2四半期に入り、第3四半期への準備を始めるとき、つまり4月から9月のEメールに活気を与える斬新なテーマを考えるべきだ。
2018年第2四半期に反応が良かったテーマ
・祭り:2018年のテーマとして、SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト、毎年3月に行われる世界最大のクリエイティブビジネスフェスティバル)やCoachella(コーチェラ・フェスティバル、4月に行われる野外音楽フェスティバル)のような祭りをテーマにしたEメールは18.9%の開封率となり、第2四半期の通常メール(13.8%)に比べて37%高い。
・Tax Day:Tax Dayは2018年に14.3%の反応率(開封に対するクリック率)となり、通常メールの平均9.2%に対して55%高い率だった。
・Earth Day(アースデイ、4月22日):Earth DayをテーマにしたEメールは4.3%のコンバージョン率を生み出した。通常メールは3.7%だった。
・春:春をテーマにしたマーケティング担当者は15.1%の開封率を獲得。通常メール平均は13.8%。
2018年第3四半期の反応が良かったテーマ
・Oktoberfest(オクトーバーフェスト、ドイツで毎年10月ごろに開催されるビール祭り):OktoberfestをテーマにしたEメールは開封率22.2%。2018年第3四半期の通常メール平均開封率(13.5%)に対して64%高かった。
・National Dog Day:National Dog DayをテーマにしたEメールはコンバージョン率が18.6%で、2018年第2四半期の通常メール平均4.2%の4倍以上になった。
・National Coffee Day(国際コーヒーの日、10月1日): National Coffee DayをテーマにしたEメールは反応率が向上した。2018年の第2四半期、23.9%の反応率で通常メール平均10.1%の2倍以上だった。
・Black Friday in July(7月のブラックフライデー、Amazon プライムデーなどのセールがある):2018年のBlack Friday in JulyをテーマにしたEメールは開封率16.6%。通常メール平均開封率は13.5%。
ブランド独自の祝日でも、その旋風を巻き起こすことができる。わかりやすい例はAmazonの有料会員向けセール期間「プライムデー」だ。これは毎年7月に開催されるショッピングホリデーで、イベントになっている。2018年のプライムデーは40億ドル以上の売り上げを記録。プライムデーのような戦略は、一般のホリデーシーズンではないオフシーズンに顧客へ驚きと喜びをもたらす組織的なキャンペーンとなり、成功している。
もちろん企業の規模が大きくなればなるほど、消費者の興味を引く独自の祝日を作り出すことは簡単になる。購読者が慣れ親しんでいるが、これまでマーケティングで取り扱わなかった祝日やイベントを利用することで、「ショッピング熱を高める瞬間」を作り出すことができ、通常のショッピングホリデー以外にエンゲージメントを強化することができるのだ。しかし、7月にプライムデーのようなイベントをただ作れば良いという意味ではない。それよりもブランド独自のものを作り、全世界と共有しよう。
斬新なテーマを活用するためのベスト・プラクティス
斬新なテーマは高いエンゲージメントを生み出すことができる。しかし、テーマがあるメールで成功を収めるために、マーケティング担当者はもちろんEメールマーケティングのベスト・プラクティスに従う必要がある。それは、「コミュニケーション戦略の立案」「オファーにとらわれない考え」「テーマを常にブランドメッセージに結び付けること」が含まれる。
・コミュニケーション戦略の立案:斬新なテーマのメールを試す際には、十分時間に余裕を持って、前もってマーケティングカレンダーにスケジュールを立て、コミュニケーション戦略を練る。これらの祝日やイベントは、購読者にまだあまり知られていないため、注目と期待を集めることは重要だ。
・オファーにとらわれない考え:すべての、テーマがあるEメールにオファー(例えば、送料無料やパーセント割引など)を含める必要はない。多くのブランドは、ブランドの知名度を上げ、購読者を驚かせ喜ばせるために、斬新なテーマを使用して成功を収めている。単にユーモアや善意によって読者を笑顔にするEメールによって、今後送信するEメールに興味を持つ習慣をつけることができる。
・ブランドに結びつける:テーマをブランドに結び付ける方法を常に探すこと。テーマを何らかの方法でブランドと結びつければ、テーマがブランドメッセージを圧倒してしまうことはない。例えば、スウェーデンのアパレルメーカーH&Mは、かつてNational Coffee Dayをテーマとして使用し、コーヒーマグなどのあまり知られていない自社のホーム商品を宣伝した。H&MはNational Coffee Dayをテーマにして包括的なオファーを提供するのではなく、テーマと関連性が高い自社商品にテーマを結び付けることを選んだのだ。
出遅れてはいけない。第2四半期はどんどん近づいている。斬新なイベントをテーマにしたEメールの配信スケジュールを立て、テストを始めるべきだ。購読者が春や夏の休暇に出かけてしまうと、オンラインショッピングに費やす時間が少なくなる。だからこそ、購読者の注意を引けるようもっと努力する必要があるのだ。National Dog Day やNational Coffee Dayをテーマにしたちょっとした楽しみを提供するEメールには、大いに効果があるだろう。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の2/22公開の記事を翻訳・補足したものです。