2019年、企業の認知度を高めるためにまず行うべきことは、「広告費用」を相応の時間やクリエイティビティ、そして精巧なターゲティングへ投資することである。
これまで、「広告」は大きな変革期を迎えていた。すべてはデジタル時代がもたらしたものと言えるだろう。検索機能の出現によるSEO / SEM(検索エンジンマーケティング)の台頭、データ駆動型パーソナライゼーション、モバイル、UGC(ユーザー生成コンテンツ)、そして過去10年間にわたるソーシャルメディア広告の台頭まで、すべてである。現在、企業のCMO(最高マーケティング責任者)達は「ソーシャルメディア」を最も効果的、かつ効率的で、簡単に利用できる”広告チャネル”と認識している。ソーシャルメディアは、直接的なコミュニケーションラインとして、数百万人にとどまらず、数十億人にまで広がっているのだ。私たちは日々ソーシャルをメディアとして活用し、他者とつながり、検索をし、おすすめ情報を知り、助言やサポートを得る方法として利用している。そして現在、商品を購入するチャネルとしての利用も増加している。
こうしたことから、マーケティング担当者はソーシャル広告予算を積極的に増やしているのが現状である。2018年だけでも32%増となっており、今年も上昇し続ける予測だ。ソーシャルメディア管理システムHootsuiteの2019年社会動向レポートによれば、回答者の78%が「すでにソーシャル広告に投資しているか、または来年中に投資をすることを計画している」という。考えてみてほしい。Facebookだけでも、米国のデジタル広告支出全体の23%を占めているのだ。
しかし、こうしたソーシャル広告の人気の高まりは、新たな課題を生み出した。まず、一つ目の最も大きな課題は、膨大な量のコンテンツの中で「いかに目立つか」ということである。そして、二つ目は、ソーシャル広告の競争激化によるコストの上昇である。
さて、2019年にブランドは、いかにしてソーシャルへの投資に対するリターンを最大化できるのだろうか。
どのような企業であっても、ユーザーのソーシャルニュースフィードに有料広告を出稿することは可能ではある。しかし、これをユーザーが気に留める、という保証はない。つまり2019年に消費者の注目を集めるために取り組むべき第一歩は、こうした広告費用を、相応の時間やクリエイティビティ、そして精巧なターゲティングへ投資すべきだ、ということを認識することである。ここでは、ソーシャル広告戦略の効果を高めるための5つの方法を紹介していこう。
1.他コンテンツの中で目立つ
単に広告をニュースフィードに出稿し、反応する消費者がいるかどうかを探るという時代は終わった。その代わりに、NetflixやSpotifyのようなブランドからインスピレーションを得てみよう。両社とも、パーソナライズされ、なおかつエンターテインメント性も兼ね備えたソーシャル広告主の代表と言える。顧客を個人として尊重し魅了するブランドは、ROI(投資対効果)を高めることができる。最終的な目標は、エンゲージメントを生み出すことである。不特定のオーディエンス向けに広告を発信することで時間と費用を無駄にはしないでほしい。これについては次のポイントで話そう。
2.適切なユーザーをターゲットにする
全ての広告キャンペーンは、オーディエンスの興味や、ブランドとの過去のやりとりから得た情報を基にしてまとめられた”特定のグループ”をターゲットにするべきだ。誰をターゲットにしているのか、またターゲットとする理由がわからない場合は、更なるリサーチが必要になる。顧客の抱える問題は何か、また、顧客がどのようにブランドと交流しているかを把握するのだ。もし広告戦略において適切にターゲティングしていなければ、発信した広告メッセージは他のコンテンツの雑音に埋もれてしまい、それは無駄な出費になるだけである。
3.目標と指標を明確にする
これは、単なる包括的な広告戦略だけでなく、すべての広告キャンペーンにとって不可欠であると言えよう。ソーシャル広告とビジネスにおける目標が、直接的につながっているのが理想だ。もちろん、キャンペーン毎にそれらの目標は変わることもある。たとえば、認知度向上キャンペーンでは、広告インプレッションを優先させるだろう。また、コンバージョンキャンペーンでは、クリックスルーの結果が重要であろう。しかし、「ビジネス目標に結びついた明確な目標設定を行う」という点については同じである。
4.コンテンツが最重要
そもそも、ユーザーの共感を呼ぶ「高品質のコンテンツ」は必要不可欠である。そして、ソーシャル広告は、絶え間ない革新が行われている場の1つといえる。いくつかのブランドは、ソーシャル広告で成功するためのビデオやグラフィック、デザインなどのスキルに優れたコンテンツ制作者によるソーシャルチームを立ち上げている。すべてのブランドが高価な設備と専門家チームを確保するための予算を持っているわけではないが、ソーシャル広告を作成するうえで、ビデオやグラフィックスの基本を学び、フリーランサーを雇うことによる効果は絶大なのである。
5.試すことを恐れない
ソーシャル広告スペースは絶え間なく進歩しているため、新しいことを試すのには最適な環境と言えるだろう。日々、ソーシャルの新しい広告フォーマットは登場している。昨年のInstagram Stories、Pinterest、Messengerのイノベーションを見てほしい。そして、2019年にはさらに多くの広告フォーマットが登場することだろう。新たなフォーマットを利用することにより、広告に対する倦怠感という潜在的な危険を回避し、消費者の好奇心を刺激するという本質的な利点を得ることができるのだ。
平均的なアメリカ人は、1日約4時間ソーシャルメディアを利用していると言われている。これは、企業が消費者とのつながりを強固にし、より良い結果を得るための素晴らしいチャンスが存在することを意味している。一方、消費者の注目を集めることはこれまで以上に困難になっている。適切なコンテンツを適切なフォーマット、かつ、適切なタイミングで、適切なオーディエンスに向けて提供すること―。それがブランドの使命であり、最善のアドバイスである。これは、2019年の新たなソーシャル広告戦略を始めるための、素晴らしい目標になるのではなかろうか。
※当記事は米国メディア「Marketing Land」の1/10公開の記事を翻訳・補足したものです。