すでに普及しているソーシャルビデオだが、その事実とフィクションとを区別することは難しい。 コラムニストのJordan Kasteler氏は、広く出回っているソーシャルメディアを使用した動画マーケティングに関する神話を検証し、誤解点を指摘した。

現在、Facebookの動画ストリーミングサービスFacebook Liveでは前年比の4倍、Instagramでは80%増の動画コンテンツが視聴されている。YouTubeは、モバイル端末のみでも、どのケーブルテレビやテレビ放送ネットワークよりも、18歳から49歳のユーザーにリーチが可能なメディア。マーケティング担当者の60%以上が、2017年の動画マーケティング予算を増加させており、世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社Ciscoは、2021年迄に、動画コンテンツが、全インターネットトラフィックの82%を占めると予測

ソーシャルビデオが明らかに定着してきた今こそ、ソーシャルメディアを使用した動画マーケティングについて広まっている神話の誤りを検証していく必要がある。

 

神話 その1:美しい動画を制作するには、独自映像とプロによる編集が必要

ソーシャルメディアフレンドリーなコンテンツを制作するためには、独自に映像を制作し、プロによる編集が必要だという考えから、多くの企業が動画制作への投資を断念している。結局のところ、高性能機器を入手し、撮影し、編集した動画を完成するためには非常にコストがかかる。

しかしWeidideoや、Slidely社のPromoといった動画の高度なDIYプラットフォームを使用することにより、その壁はクリアできるのである。Promoライブラリは無期限ライセンスと音楽利用オプションが付く200万点以上のプロ撮影のビデオクリップを有しているので、多大なコストをかけることなく、動画マーケティングのメリットを享受できる。

また、Promoを使えば、動画に自社のロゴやテキストタイトルを簡単に追加できる。Promoは、小企業マーケティング担当者、個人起業家、創業間もないスタートアップ、小規模ビジネスのマーケティング担当者が、ソーシャルメディアのニュースフィードに動画を簡単に投稿できるようサポートする有力なソリューションとして、急速に人気を得た。高価なソフトウェアやサービスプロバイダー、機器、そして追いつくことができないほどめまぐるしいソーシャルメディアの変化のスピードに、もう悩まされることはないのである。

 

神話 その2:モバイル端末用の動画は、縦型でなくてはならない

長い間マーケティング担当者は、モバイルソーシャルアプリでは“縦型のビデオフレーム”でなければユーザーに受け入れられないと信じてきた。この神話は、デスクトップ端末ではウェブサイトの訪問者がスクロールしないものだと決めつけ、重要なことは「アバブ・ザ・フォールド(画面をスクロールしなくても見られる画面領域)」に表示しなければならない、と考えていた過去の誤った古い常識を反映している。

昨年2016年の4月、Facebookは「スクエア動画(正方形の動画コンテンツ)の方が、広告記憶パフォーマンスが優れている」という同社の実験結果を根拠に、各企業にスクエア動画のアップロードに切り替えるよう勧告した。 ソーシャルメディア代理店のLaundry Serviceによれば、縦横1:1の比率で設計されたクリップは、閲覧完了率を67%上げることが示されている。これは、より多くのユーザーが、動画を最初から最後まで視聴することを意味する。 また、ソーシャルメディアマネジメント会社のBufferが最近行った調査結果によると、ユーザーの使用デバイスに関係なく、スクエア動画の方が高いソーシャルメディアエンゲージメント率を示すとされる。

これは納得がいく調査結果だ。 Facebook、Instagram、Twitter、LinkedIn、その他のソーシャルプラットフォームのニュースフィードを閲覧する時、スクロール画面上で表示スペースを抑えるために縦型動画はトリミングされる。しかし、スクエア動画は全画面が表示されるので、ニュースフィード上で動画の画面占有率を最大化するための最善の策なのだ。

 

神話 その3:YouTubeは過去のものだ

Facebookや、TwitchPeriscope、Instagram、Vimeo、Snapchatといったなど、有名どころを幾つかを挙げただけでも動画共有プラットフォームの数は増加しており、YouTubeの時代は終わった、と感じる人がいることは容易に理解できる。確かにYouTubeは、ニュースには取り上げられるが、コミュニティ主導の数々の動画プラットフォームの一番手としては、他の新しいプレーヤーに比べて魅力に欠けると思われている。

しかしデータは、人々の考えが誤っていることを示している。 YouTubeは依然、他のサイトを大きく引き離し、最も人気のあるオンライン動画投稿サイトであり続けている。インターネット視聴率の測定及びデジタル市場分析を行うcomScore社によれば、デスクトップ端末でのユニーク視聴者数でいうと、Facebookの94.6百万人に対し、Googleが所有するYouTubeは、月間1億5000万人以上の視聴者を獲得している。

幸運なことに、同時に、複数のプラットフォームに一度に動画コンテンツを配信することが可能になったため、1つのプラットフォームを選択する必要はなくなった。YouTubeのチャンネル管理ブラウザTubeBuddyのようなツールを使用すれば、複数プラットフォームへの同時投稿は簡単に行える。

 

神話 その4:動画尺は3分以内でなければならない

一般的に広まっている見識によれば、人間は金魚よりも短い時間しか集中力が持続しないとされる。それ故にショートビデオが制作されていると考えられる。ショートビデオは、モバイルソーシャルの世界で定着しているが、長尺の動画コンテンツのニーズも存在する。この点について考察する際、リードキャプチャフォーム(見込み客獲得のための入力フォーム)フィールドの最適数に関する終わりのない議論を思い出す。確かにフィールド数を最小限に抑えれば、フォーム入力を完了するユーザー数は増加するだろう。しかし、多数のフィールドを最後まで入力するユーザーは、より有益な見込み客と言えるだろう。

Facebookのデータによれば、広告記憶やブランド認知度、購入意向は、動画の視聴時間とともに増加する。これらのパフォーマンス指標が上昇するために動画を最後まで視聴する必要はなく、10秒未満の視聴でも認知度と購入意欲が高まることが判明した。一方、動画マーケティングツールWistia調査によると、視聴者の動画コンテンツのエンゲージメント率は3分を経過すると徐々に低下し始め、その後再び横ばいになり、次にエンゲージメント率が低下するのは、12分後とのこと。

結局のところ動画は、そのコンテンツが必要とする尺で制作されるべきである。価値ある動画を制作することに注力すれば、エンゲージメントは後からついてくるものだ。

動画が3分を超えて視聴された場合、8分まで視聴時間を引き伸ばせる可能性が高い。Facebookに動画コンテンツを投稿している場合は、3分以上、もしくは企業が設定した時間以上視聴した目的意識の高いユーザーで、Facebookカスタムオーディエンス(既存の顧客から構成される一種のターゲット層)を作成することが可能である。

 

時代遅れにならない動画コンテンツマーケティング

ユーザーは、見たいコンテンツを好きな配信チャンネルで好きな時間に自由に視聴できるという理由から動画コンテンツを好む。 動画は手軽で説得力があり、理解しやすい。

多くの企業にとってソーシャルメディアの動画コンテンツに取り組むことは、困難ではある。しかし、何が有効であるかという点について真実を理解していれば、成功への過程で直面する課題を解決する助けになるだろう。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の10/10公開の記事を翻訳・補足したものです。