日本にも本格的に上陸してきたライブコマース(生放送動画コマース)の魅力と可能性 | EC業界ニュース・まとめ・コラム「eコマースコンバージョンラボ」
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2017/11/06

日本にも本格的に上陸してきたライブコマース(生放送動画コマース)の魅力と可能性

日本にも本格的に上陸してきたライブコマース(生放送動画コマース)の魅力と可能性

 

中国では2年前から熱狂的な人気を博している生放送動画コマース、いわゆるライブコマース。なかなか日本のカルチャーは中国と異なるので浸透は難しいのではないかという意見も根強いものの、今年に入り日本でも複数のサービスが開始され、市場開拓を虎視眈々と狙っている。今回はそれら新進気鋭のライブコマースサービスを見ていき、ライブコマースの魅力と可能性について考えていきたい。

 

<参考>

「動画」はECのマーケティングをどのように変えていくのか - 分散型動画 vs 生放送動画

凄まじい影響力を持つ中国ネットインフルエンサー「網紅(ワンホン)」の実態と活用方法

【米国】ソーシャルメディアの「動画マーケティング4つの神話」を覆す事実とは

【中国】Taobao生放送経由でのサイトアクセス率は50%超

 

 

ライブコマースと様々な動画コマースのカテゴリ

 

動画サービスは、事前に制作した動画を流す「アーカイブ動画」と、リアルタイムで動画を配信する「生放送動画」の2つに分けられる。今回の記事でスコープを当てているライブコマースとは、ECと生放送動画(=ライブ配信動画)を掛け合わせたもので、ライブ動画を主にスマホアプリで見ながら商品を購入できるテレビショッピングのようなサービスだ。動画から商品購入への誘導は、ECサイトに動画コンテンツを置くもの、動画に後付けでEC機能を付加するもの(代表例はRetube)などさまざま。このようなライブ配信によるユーザー参加型のオンラインショッピングは中国では定着しているが、国内ではまだ成功例を見ない。今回は、各社がどのようにライブコマースを行っているのか、その詳細を見ていく。

 

 

メルカリチャンネル

 

国内ダウンロード数5,000万件、年間流通額 1,200億円という圧倒的な規模を誇るフリマアプリのメルカリが、2017年7月から開始した「メルカリチャンネル」。

ライブ配信で商品の販売・購入ができるライブフリマ機能で、サービス開始時はオープニング記念としてタレントが毎日21時〜22時の間だけライブ配信を行っていたが、現在は一般ユーザーも配信することが可能となっている。ただし試用期間中ということで、運営側がランダムに選んだユーザーのみが毎日9時〜23時の間に配信できる状態だ。販売されているのはメルカリ同様洋服やコスメなどで、欲しい商品が見つかればライブ中いつでも購入できる(ライブ後の購入は不可)。また、視聴中はリアルタイムでコメントを配信者へ送信できるため、出品物に対する質問や値下げ交渉なども気軽に行える。配信方法も簡単なので、売れ残りアイテムを一気に処分したいユーザーや、ECサイト並みに在庫を抱えているユーザーなどには重宝されるのではないだろうか。一方、あくまでメインサービスの販売チャネルの1つという印象も拭えない。メルカリは通常、レディース、ベビー・キッズ、インテリア・雑貨、のようにカテゴリから欲しいアイテムを探すことが可能だが、メルカリチャンネルではランダムに並んだ動画一覧から閲覧したい動画を探すしか方法がなく、買い物目当てのユーザーからすると少々不便に感じる。新たな機能を次々と発表し、ユーザーを虜にしてきたメルカリ。今後はキャラクターの立ったユニークな配信者がメルカリチャンネル内で有名になるなど、新たな展開を見せるのではないだろうか。

 

 

Laffy

 

DeNAが2017年4月にリリースしたライブフリマアプリ「Laffy(ラッフィー)」。

販売主は一般ユーザーで、通常のフリマアプリのように要らなくなった洋服などを販売することもできるが、Laffyが力を入れているのはハンドメイド作品の売買だ。ハンドメイド作家を中心としたクリエイターが、ライブで作品の特徴や魅力を語ったり、制作過程を解説しながらその場で視聴者に販売することができる。アプリを立ち上げると、アクセサリー、ファッションアイテム、アート・イラスト、編み物、バッグ・小物、雑貨、その他、といった具合にカテゴリが表示されるので、視聴者はその中から好きな動画を選んで視聴する。Laffyは一般ユーザーによる配信ということもあり、最初は視聴者も集まりにくい。そこで、次回の配信日や新商品の追加情報を告知する機能や、配信を希望するユーザーに対してリクエストができる配信リクエストなど、常連の視聴者を作るための機能を数多く搭載している。商品を購入できるのは配信中のみ。過去に配信された動画はアプリ上に保存され、REPLAYというマークが付いている動画のみ何度でも再生することができる。REPLAY動画は音声なしの動画になってしまうが、商品のディティールなどは確認できるため、お気に入りの配信者を探してフォローするときなどには重宝するのではないだろうか。

 

 

Live Shop!

 

2015年の設立以来、Facebook LIVEやLINE LIVEをはじめ、500本以上のライブ配信動画を受託制作してきたCandeeが2017年6月に公開したアプリ「Live Shop!(ライブショップ)」。

人気モデルやインスタグラマーなどのインフルエンサーが、流行のファッションやメイクなどをライブ配信で紹介し、視聴者は気になったアイテムをその場で購入できる(購入はライブ配信中のみ)。ターゲットは10〜20代の女性で、出演者がお気に入りの商品を紹介する「個人チャンネル」、企業やメディアが自社商品を紹介する「ブランドチャンネル」と「メディアチャンネル」の3つで構成されている。現在配信されている動画は月間60本ほど。Live Shop!の特徴の1つに、プロのスタッフによる動画撮影という点が挙げられる。メルカリチャンネルやLaffyは、配信者が自宅などで自撮りしたライブ動画を配信しているが、Live Shop!は運営側が用意した専用スタジオで、プロのスタッフがカメラワークやスイッチングなどを担当する。また、動画は長尺で、1時間前後のテレビ番組を見せるような感覚で制作されていると言った方が近いだろう。出演者は商品の説明よりも、販売者とのコミュニケーションに重きを置いている。販売されている商品はインフルエンサー本人が選んだアイテムがメインとなっているため、視聴者は明確に買いたい商品があるというよりも、憧れの人が紹介する商品が欲くて動画を覗くというケースが多い。運営サイドによると、売れた商品の価格帯は3,000~5,000円で、完売率は平均80%超とのこと。配信中は、視聴者がスタンプやコメントを送ることで、インタラクティブなコミュニケーションが図れる。現在は、商品の売買だけでなく、抽選販売や視聴者アンケートなどの参加型企画も充実しているLive Shop!。今後はオークションやクイズなどで勝ち抜いた人だけが購入できる機能など、ライブ配信の特性を活かした販売機能をさらに開発していくとのことだ。

 

 

BASEライブ

 

インスタントEコマースプラットフォームBASEを運営するBASE株式会社が、2017年9月から提供を開始した「BASEライブ(ベイスライブ)」。

BASEに出店している店舗が、ライブ配信を通じて制作過程や商品紹介ができる動画配信機能で、店舗をフォローしている顧客とリアルタイムで双方向のコミュニケーションを図ることもできる。対象となるのは、BASEを利用する40万店舗と、ショッピングアプリを利用する300万人のユーザーだ。BASEライブの利用料は無料。配信は1配信につき15分までで、毎日19時から21時59分までの時間帯が配信可能となっている(配信時間は順次拡大予定)。配信を行いたい店舗は、配信専用アプリをダウンロードすればライブ配信が可能になる。配信を開始すると、店舗をフォローしているユーザーにプッシュで通知が届く仕組みになっており、ユーザーはBASEの商品ページで購入することが可能だ(BASEのアプリを利用していることが条件)。商品の魅力を伝えるため、画質の良さにこだわったというBASEライブ。ハンドメイド作品などを販売する個人のショップオーナーが、今後どこまで利用するかが鍵となる。

 

 

PinQul

 

東大発ベンチャーのFlattが、2017年10月にリリースしたライブコマースアプリ「PinQul(ピンクル)」。

Instagramなどで人気のモデルやインフルエンサーが、所有するファッションアイテムをフリマ形式で販売しており、インフルエンサーは運営側がInstgram上で直接コンタクトを取って獲得しているとのこと。運営側が考えるメインターゲットは、買い物をしたい人ではなく、Instagramのように可愛いものを探しながら楽しく動画を見たい人。動画は1本20~30分程度で、扱うのは1,000円~4,000円程度の商品。たとえライブ配信を逃したとしても、アーカイブから再生して商品を購入することが可能だ。現在はリリース直後ということもあり、10名前後のインフルエンサーが配信を実施している状態だが、ベータ版の段階では10個の商品が0.3秒で売り切れたこともあったそう。今後はフリマ形式だけでなく、既存のブランドアイテムや、インフルエンサーと同社のオリジナルコラボアイテムも扱う予定だ。ターゲットと同世代の運営チームが、今後どこまで他のライブコマースと差別化を図れるのか期待したい。

 

 

C CHANNNEL

 

最後に紹介するのは現時点ではライブコマースを行っていないが、動画コマースの最右翼とされる「C CHANNEL(シーチャンネル)」だ。C CHANNELはLINEの代表取締役社長を退任した森川亮氏が、2015年3月に立ち上げた。

女子のための動画ファッションマガジンという位置付けで、メイク、ファッション、ヘア、ネイル、ボディケア、料理など、若い女性に関心の高いテーマを取り上げ、20秒〜1分程度のHow to動画にまとめて発信している。サービス開始当初はグルメや旅行情報などが中心だったが、ミレニアル世代により刺さるコンテンツを再考した結果、現在のように料理やヘアメイク、DIY、恋愛などのハウツーに特化した動画が配信されるようになった。現在は日に80本ほどの動画がアップされており、そのうちC CHANNELが自主制作しているのは2割ほど。残りはクリッパーと呼ばれる約500人のインフルエンサーが投稿している。ユーザーの多くはF1層(20~34歳)の女性たち。動画はスマホでの閲覧を前提にした縦型のフォーマット、さらに無音でも楽しめる点が特徴的で、Webとアプリの両方で見ることができる。C CHANNELは、2016年12月からEC事業にも参入。通販サイト「CHEER CLOSET(チアークロゼット)」も立ち上げた。

EC事業開始当初は、C CHANNEL内の動画やSNSからの送客によってファッション小物やコスメなどを販売してきたが、ここ最近はアパレルメーカーとのコラボなども積極的に展開するように。人気クリッパーとオンワードの社員が中心となって商品開発を行ったり、インフルエンサーによるオンラインセレクトショップを開設したところ、EC事業の売上高は半年で10倍に増加したという。また、これまではメーカーから商品を仕入れて販売してきたが、今後はメーカーが直接自社商品を販売できるスタイルを採用すると発表。第一弾として、サマンサタバサの秋冬の新作ラインアップを先行販売している。また、C CHANNELでは立ち上げ当初からアジアを中心としたグローバル展開にも力を入れており、現在は韓国、中国、台湾、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポールなど、海外10カ国で配信を行っている。日本国内では1,040万人、世界で1,800万人ものユーザー数を誇るまでに成長したC CHANNEL。月間最大再生数は世界で6億6000万再生を突破し、最大7億3000万リーチを実現した巨大メディアはとどまるところを知らない。

 

 

ライブコマースは日本のオンラインショッピングの常識をどこまで覆していくのか

 

今回紹介した6サービスを、ライブの配信主、取り扱い商品のカテゴリ、放送終了後のアーカイブ対応、ライブの尺、その他の特徴といった視点でまとめてみた。(※C CHANNELは現時点でライブコマースを行っていない。)

日本にも本格的に上陸してきたライブコマース(生放送動画コマース)の魅力と可能性

ライブの配信主は現段階では広く門戸を一般に開放しているのがLaffy、BASE LIVEの2サービス。その他のサービスは開始間もないこともあり様子を見ながら徐々に門戸を広げていくサービスもありそうだが、当初からインフルエンサーやモデルに限定しているLive Shop!、PinQulなど配信主を限定しているサービスもある。

取り扱っている商品カテゴリを見ると、大きく分けてフリマ系の商品と、新品商品の2系統に分けることができる。メルカリチャンネル、Laffy、PinQulはフリマ、Live Shop!、BASE LIVEは新品商品をメインに取り扱っている。

生放送ということで、その配信時間だけで多くのユーザーにリーチすることは非常に難しいと考えることもできるが、それを限定感ととらえていくこともライブコマースというサービスの特性上必要にはなってくる。各サービスの配信終了後のアーカイブでの対応を見ると、Laffy、Live Shop!、PinQulは終了後の閲覧は可能とのスタンス。だが、購入可否についてはそれとは状況が異なり、メルカリチャンネル、BASE LIVE、PinQulが購入可能となっている。このように各社の放送終了後の現時点でのスタンスはかなり異なっているようだが、今後ライブコマースの最適解が見つかるに従い、パターンも収斂していくのではないだろうか。

 

このように多くのサービスがここ1年以内にスタートしたばかりのライブコマース領域。今後どのように視聴者に受け入れられていくのかによって、そのサービスのスタンスやコンセプトなど大きく変わっていく可能性がありそうだ。中国とは国民性も商習慣も大きく異なる日本で、どのようにライブコマースが発展をしていくのか注目していきたい。