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更新日2015/10/31 公開日2015/03/27

進化するハンドメイドマーケットEC市場 - Etsy、Creemaを脅かし市場を牽引するサービスは現れるのか

進化するハンドメイドマーケットEC市場 - Etsy、Creemaを脅かし市場を牽引するサービスは現れるのか

 

2年ほど前から脚光を浴びているハンドメイドマーケットEC。2015年に入ってもその勢いは衰えず進化してきているようだ。ハンドメイドマーケットECサービスを各国で提供し市場を牽引してきたEtsyがこのほど上場を申請した。また、国内の雄であるCreemaも積極的に資金調達やサービス連携を発表するなど、両サービスとも成熟期を迎えようとしている。今回はそんなハンドメイドマーケットECサービスの中でもEtsyやCreemaに続く存在になるであろう注目のサービスを3つピックアップして紹介していき、今後のハンドメイドマーケットECサービスの展望を考えていく。

 

<参考>

ひしめき合うハンドメイドマーケットEC - 気軽にネットで開店する時代はやってきたのか。Etsy、Creemaに見る未来

 

 

Anders

 

Anders(アンダース)」は、ハンドメイドマーケットプレイス「Creema」を運営する株式会社クリーマが3/9にローンチしたばかりの会員制iPhoneアプリだ。

 

 

Creemaで培った経験を活かし、日本全国から厳選したデザイナーによるアクセサリーやファッションアイテム、食器、インテリア雑貨などを、日本、アメリカ、シンガポール、フランス、ドイツ、台湾の6カ国に向けて販売。“Long Life Design、HandMade in Japan”をコンセプトに掲げ、日本製の上質なデザイナー製品の魅力を世界に発信していくことを目的としている。Creemaのように誰もが出品できる形態ではなく、アイテムは専任のバイヤーが1点1点セレクト。それらを毎日入れ替わりで紹介するほか、1週間限定のフラッシュセールを実施して最大30%オフの優待価格での販売も行う。また、毎週月曜日には5人以上の新しいデザイナーの新規出品も行われる。運営サイドは“今後、全体の1、2割程度はCreemaの出店デザイナーが占めるようになるのでは”と考えているが、専任バイヤーによるセレクトという一定の基準を設けることによって、Creemaとの差別化を図っていく方針だ。

 

 

minne

 

国内最多となる8万7,000人の作家(クリエイター)が登録し、約87万点もの作品が出品されている「minne(ミンネ)」。

 

 

2012年1月にサービスを開始したminneは数あるマーケットプレイスの中でも後発だったが、2014年3月に登録作品数No.1を達成。同年9月に作家数No.1も達成し、国内最大のハンドメイドマーケットECへと成長した。minneでは“気軽にハンドメイド製品に触れて欲しい”という想いから、2012年10月からiPhoneアプリを、翌2013年11月からAndroidアプリの提供を開始。広告の強化やInstagramをはじめとするSNSでの露出拡大によって、昨年12月から急速な伸びを見せ、ついに今年2月スマートフォンアプリの100万ダウンロードを突破した。今年2月からは女優の水川あさみをイメージキャラクターに起用したテレビCMを開始し、PCがなくても手軽に利用できる点をアピール。またminnneでは、ワークショップイベントや実店舗の展開、全国に手芸専門店を展開する藤久と共同でハンドメイド大賞を実施するなど、オンライン・オフライン問わず作り手と買い手の双方が楽しめる場を提供している。

作品を販売するには会員登録が必要となるが、入会費や月会費は一切かからず、作品が売れた時点で手数料として販売価格の10.8%が発生する仕組みだ。minneは個人向けインターネットサービスを提供するGMOペパボが運営している関係で、作品を登録すると同社が運営するオンラインショッピングモール「カラメル」にも自動で作品が掲載されるようになっている。今年は作家20万人、作品数200万点、アプリ500万ダウンロードとさらなる拡大を目指すminne。競合他社をどこまで引き離せるのか、今後の戦略に注目したい。

 

 

Pinkoi

 

台湾発、アジア最大級のハンドメイドマーケットプレイス「Pinkoi(ピンコイ)」。

 

 

2011年にサービスを開始したPinkoiは、ローンチ後たった1年でアメリカの巨大ハンドメイドマーケットEC「Etsy」の初年度売上高の2倍となる約3,400万円を記録し、注目を集めた。現在は台湾、香港、北京や上海などの中国主要都市、シンガポール、マレーシア、アメリカ、日本など47カ国に向けて商品を販売。30万点近いアイテムがサイト上に掲載されており、アジアを拠点とする3,000のブランドと1万人以上のデザイナーが登録している。扱うのはアクセサリー、鞄、靴、ファッション用品、インテリアなどで、利用者のうち75%が女性で25%が男性だ。Etsyなどとの違いは、ハンドメイド作品を売ることだけを主眼に置かず、デザインそのものの価値を重視し、デザインされたものであれば何でも売っていくという点だ。また逆にオープンプラットフォームとせずに、事前に運営側が内容を確認し商品の質を担保することで、デザイン感度の高いユーザーの獲得を目指している。

しかし、日本でのサービスは昨年末に開始されたばかり。サイトは日本語対応、日本円表示も行っているが、台湾のアーティストやデザイナーによる出品と現地での販売がほとんどのため商品説明やレビューもほとんどが中国語だ。今後中国語圏以外のユーザーを獲得するにはこの辺りの改善が必要になってくるだろう。

 

 

Etsy、Creemaを脅かし市場を牽引するサービスは現れるのか

 

Etsyは2005年からサービスを開始し、現在日本語版も暫定公開するなど、既に200カ国以上でサービスを展開。100万店舗、2600万以上の商品点数、4000万人以上のユーザーと、どれも世界最大のマーケットとして圧倒的な数字を誇る。

 

 

国内で見てみると市場を牽引してきたCreemaは、数字的にも、サービスの完成度や商品の充実度、百貨店などのでの実店舗での積極的な露出施策などでもminneの急追を許している。しかし、一方でminneに出品されている商品のクオリティはそれほど高くなく手作り感満載な印象を受ける。これもハンドメイドマーケットの良さなのかもしれないが、ユーザーから見るとなかなか購買に踏み切れず、サイト全体で取り扱っている商品のクオリティに不安を覚える側面もある。またminneはCreemaに比べるとターゲットユーザーが20代前半を狙っているようで、比較的低めに設定されているからかもしれない。

Andersはサービスを開始したばかりで商品数が少な過ぎるためなかなか心トキメク作品に出会えないが、質へのこだわりは随所に感じることができる。Pinkoiは中国語部分が多く、先入観とはいえ商品のクオリティの信頼感や、購入した際の安心な取引を行えるかの不安感が頭をもたげてくる。しかし、日本以外のクリエイターが制作した商品に気軽に触れることが出来ることは非常に魅力的だ。出品者から見ると、ハンドメイドマーケットECに出品する際に考慮する点は、売れやすさと共に、ブランディングや露出効果、そして副次的な効果としては商品に関する新たなインスピレーションを得られることが重要だろう。

 

 

ハンドメイドマーケットECという市場には米国発のFabという失敗事例が存在することもケアしていきたい。目先の商品点数やユーザー数だけでなく、長い視点で消費者・出品者のメリットをバランスよく追求し、ソーシャル要素などを上手に掛け合わせていき、新たな世界観を紡ぎだしていくことができると、EtsyやCreemaを超えるサービスが現れるのではないだろうか。これからもハンドメイドマーケットECというオリジナリティ溢れる市場は注目していきたい。

 

 

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