顧客をターゲットにし、売り上げを伸ばすためのソーシャルメディアマーケティング

 

TikTok動画が一躍有名となった「Ocean Spray ガイ」を見たことがある人はいるだろうか。日本国内ではそれほど認知は高くないが、英語圏ではかなりの認知度を誇っているものだ。英国のロックバンドFleetwood Macの「Dreams」が流れる中、路上でスケートボートをしている彼は、突然Ocean Spray(米国に本社を置くクランベリーとグレープフルーツの生産者による農業協同組合)のクランベリージュースの大きなボトルをフレーム内に持ち上げ、平然と飲んだあと、カメラに向かって曲の続きを口パクで歌う。

この動画の意外性とコメディ性がTikTokでバズり、Ocean SprayのCEOを含む多くの人々が同社のジュースを購入し、自分なりにアレンジして動画を再現している。

 

Ocean SprayのCEOであるTom Hayes氏は「この動画を見てすぐに、我々も参加しなければならないと思い、即座に行動した」とYahoo Financeので語った。それが1,500万回再生につながり、売り上げもアップしたという。

 

ソーシャルメディアは「つながり」という世界の王様であることは否定できない。

 

各ソーシャルメディアプラットフォームは、さまざまな機能があり目的も異なる。しかし、最も重要なのは、それぞれ異なるオーディエンスとつながるということである。それぞれのプラットフォームの違いと、どうすれば自社のビジネスに適した消費者層に最も効率的にリーチできるのかを理解することが、ソーシャルメディアマーケティングを成功させるカギとなる。

 

 

Facebook

2004年、Mark Zuckerburg氏が大学在学中に開設。当時の最初のユーザーは大学生であり、彼らはFacebookと共に成長している。Facebookユーザーの65%以上は、35歳以上で平均年齢は40歳である。Facebookによると、全世界で毎月27億人のユーザーが利用しているという。

 

とはいえ、Facebookで最も人気のあるページSamsungCoca-ColaMcDonald’sNetflixKFCRed Bullなどの大企業が断然多い。ソーシャルメディアのアウトリーチを利用し、何百万人もの人々を対象とした広告出稿のほか、製品発売の告知、バイラルキャンペーンの共有、動画や写真のプロモーションなどを行うことができる。Facebookの真の魅力は、ターゲティング広告ネットワークである。企業の規模にかかわらず、理想的な顧客が誰なのかがわかっていれば、彼らをターゲティングすることができる。ブランドを人間化し、関連性の高い広告と組み合わせることにより、Facebookは、ほぼ普遍的に適用可能なネットワークとなる。

 

 

Instagram

Facebookが所有し、ユーザーの半数が18歳~35歳と若年層で、動画、画像などビジュアル重視のアプリである。Instagramのプロフィールは、多くの中小企業にとって最初のデジタルフットプリントであり、時には自社ウェブサイトより先に公開されることもある。企業はInstagram Shopping機能によって、商品画像をタグ付して価格を表示し、フォロワーはウェブサイトに簡単にアクセスし購入することができる。

 

Instagramの難しさは、同プラットフォームのコアを成す視覚的コンテンツにある。インスタ映えする商品やサービスを持たない、つまり画像では表現しにくい商品やサービスを扱う多くのブランドを知っている。このような場合、デザインに対して先入観を持たず、鋭い目を持つことが必要だ。そのようなスキルが無い場合、自社コンテンツに適した他のプラットフォームを選ぶのが賢明である(もしくは、デジタル広告代理店に、Instagramプロフィールを一新してもらうのも手だ)。

 

 

Twitter

Twitterは、広告に最も適したソーシャルメディアツールとは思えないかもしれないが、無視するべきではない。アメリカ国民の22%が利用しており、インターネットでトップニュースとなるソースの一つだ。今、政治家に立候補したり、従来のメディアに影響を与えようと考えている人にとって、Twitterアカウントは必須である。政治家は、Twitterで喫緊の課題に対する自分の立場を伝え、選挙活動ニュースを発表するからだ。Twitterは、政治ニュースに関する問題の温床となっており、ファクトチェックを始めている。

 

しかし、政府外機関もTwitterを利用している。非営利団体、NGO、タイムリーなニュースに関心の高い組織は、政治家と同じようにTwitterを活用している。また、メディアはニュース記事をアップロードしたり、レポーターがニュース速報をライブツイートしたりと、デジタルニュース・ティッカー(テレビなどのディスプレイの端にニュースを流す技術)として活用している。

 

 

Pinterest

結婚式の準備、新しいレシピの検索、DIYプロジェクトには欠かせないPinterestは、インスピレーションを得たリンクに「ピン」を刺すことができるデジタルインスピレーションボードである。コンバージョン率の高さと高価値の売上をもたらすことで知られており、即座にとりくむべきプラットフォームだ。

 

Pinterestは、ウエディングドレスショップやグルメブログ、観光案内、衣類やアクセサリーのようなビジュアルを重視する企業にとって、クリックして自社サイトにアクセスする可能性が高いオーディエンスに向けて、商品やアイデアを発信する手段となる。フラワーアレンジメントの写真で宣伝したり、プレート料理に「おばあちゃんのかぼちゃパイではない」といったテキストを追加したり、Pinterestは、口コミによるアクセスを生み出すことができる最強のプラットフォームである。

 

 

TikTok

TikTokは、ソーシャルメディアシーンでは比較的新しく、さまざまな編集機能が使えるショート動画アプリである。この記事の冒頭で紹介した「Ocean Sprayガイ」のような動画は、自社の消費者属性にリーチするペルソナを作るだけで、マーケティングになることを証明している。何もかもが本格的である必要はない。

 

The Washington Postは、TikTokアカウントを所有している。78万3,000人以上のフォロワーが、「The Washington Postガイ」が投稿する時事問題をベースにしたユーモアのある動画を視聴しているのだ。アメリカのプチプライス化粧品会社のELFは、メイクアップのチュートリアルや、インフルエンサーとのパートナーシップ、バズるダンス、ヒントを投稿している。最近では、犬用グッズの詰合せボックスを毎月定額で提供するBarkBox(アメリカ)が、自社の子犬コンテンツアカウントに投稿するTikTokのプロを募集した。

 

今の時代、ソーシャルメディア広告は、企業のマーケティングミックスに欠かせない。Facebook、Instagram、Twitter、Pinterest、TikTokなど、それぞれのソーシャルメディアプラットフォームは、ターゲットオーディエンスの注目を集めるユニークな方法を提供している。予算にもよるが、数百~数百万のインプレッションを生み出し、最終的には売上につなげることができる。

 

主要4つのソーシャルメディアプラットフォームについての今を整理してみたが、自社のターゲット層に適しているは、どのソーシャルメディアプラットフォームだろうか。そして、それをどのように活用していくことだろうか。改めて考えてみる機会にしてもらえたら幸いである。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の4/8公開の記事を翻訳・補足したものです。