ソーシャルメディアは、友人や家族とのコミュニケーションのとり方、フィットネスのトレンドからニュースまであらゆる情報をキャッチする方法、そして、自分の考えや才能を世界と共有する方法に変化をもたらした。そして今、ソーシャルメディアは、私たちが、どこで、どのようにショッピングを行うかを変えつつある。

 

ソーシャルコマース(ソーシャルメディアのプラットフォーム上で商品やサービスを販売すること)は、急速に普及している。2020年に、ソーシャルショッピングは35%増加し、米国の売上高は約380億ドルに達した。米国の市場調査会社eMarketerによると、米国売上高は2023年までに500億ドルに達すると予想されている。

 

この数字は素晴らしいものであるが、2020年に、ライブストリームコマース市場が、前年の660億ドルから1,700億ドルに達した中国(未開拓の成長可能性が示唆されている)と比較すると、依然として見劣りする。

 

ソーシャル販売の経験がないブランドにとって、今年こそ、始めるべき時だ。ブランドは、ソーシャルコマースによって、消費者がすでに利用し、信頼しているプラットフォーム上で新たなオーディエンスにリーチすることが可能となる。

 

さらに、ソーシャルコマースによって、人々がソーシャルプラットフォームから離れることなく、ブランドを発見し購入することが可能となり、販売プロセスが合理化され、収益を向上させることができる。

 

ソーシャルコマースの台頭を推進

ソーシャルコマースは、10年以上前から存在している。例えば、Facebookは、2007年に、ピア・ツー・ピア販売のための「Marketplace」をローンチしている。

 

しかし、現在、いくつかの要因が重なり、新たな成長の波を加速させている。Statista(ドイツの市場調査会社)によると、新型コロナウイルスによるパンデミックはeコマースのブームを後押ししており、昨年は約40%増加、2020年の第3四半期までに米国の売上高は約2,100億ドルに達するという。今年の売上高が約3.5兆ドルに達すると予想されるモバイルショッピングの台頭も影響を及ぼしている。

 

こうした購買習慣の変化は、マインドセット(考え方)の変化も反映している。長年にわたり、消費者は、ソーシャルメディアをウィンドウショッピングに利用してきた。ブランドは、ソーシャルプラットフォームを、認知度、コミュニティ、信頼や影響力の構築を目的として使用し、商品の販売には、Amazon、WalmartShopifyなどのeコマースサイトを活用していた。

 

しかし、ビジュアルファーストのソーシャルプラットフォームであるPinterestの登場、それに続くInstagramによって、その境界線は曖昧になり始めた。Instagramの人気の高まりによって、同プラットフォーム上でのプレゼンスを通してのみ存在する「Instagramブランド」という現象につながった。また、ブランドがフォロワー数の多い人と提携して商品やサービスを宣伝する「インフルエンサーマーケティング」も生まれた。

 

ソーシャルメディア上でプロダクトプレイスメントやプロモーションを見ることに慣れた消費者が、他のプラットフォームやブランドのウェブサイトに移動せずに買い物をしたいと思うのは次の一歩としては当然のことだ。ソーシャルメディアプラットフォームは、ソーシャルコマースを実現するいろいろな機能でそのニーズに対応しており、今後さらに多くの機能が提供されるだろう。

 

ソーシャルメディアで販売を始める方法

1年前と比較しても、初めてソーシャルコマースを始めようとしているブランドには、より多くの選択肢がある。各ブランドがソーシャルコマースへの取り組みに最適なプラットフォームとしてどれを選択するかは、そのブランドの既存のデジタルマーケティングと販売戦略によって異なる。

 

すでに、顧客とつながっているプラットフォームや、新規顧客を見つける可能性が最も高いプラットフォームで、ショッピング機能を有効に使えるようにしたいと思うことだろう。ここでは、ソーシャルコマースを始めるのに役立つ、各ソーシャルプラットフォームにおけるいくつかのハイライトを紹介しよう。

 

Instagram

Instagramのビジュアル性は、商品をフィーチャーするための優れたツールであり、ショッパブルな投稿に関しては、同プラットフォームが代表的な存在となっている。

 

「Instagramショッピング」では、オーガニック投稿やInstagramストーリーズで商品を紹介することができる。ユーザーがストーリーズ上の商品ステッカーや投稿のタグをタップすると、商品ページに移動する。そこでは、出品者は、その商品に関する情報(画像、価格や仕様)や購入可能な出品者サイトに直接アクセスするためのリンクを追加することができる。

 

大事なことを言い忘れていたが、「Instagramチェックアウト」を使って、ユーザーは、モバイルゲームでアプリ内購入を行うのと同様に、Instagramを離れることなく商品を購入することができる。

 

新しいブーツや新居に合うランプを購入したいときなど、Instagramを使って商品のカテゴリーを閲覧する人が増えており、「検索&発見」機能を利用して商品を発見している。

 

Facebook

Instagramは、Facebookエコシステムの一部であり、その関係性から、ブランドは投稿時に両プラットフォーム間の相乗効果から恩恵を受けることができる。

 

Facebookは、投稿写真や動画に追加できる商品タグを通して、Instagramと同様の機能を提供している。人々はタグを選択して投稿された商品情報にアクセスし、買い物を始めることができる。

 

Pinterest

Pinterestは、商品ラインを頻繁に変更するブランドにとって、販売を開始するのに最適な場所だ。

 

Pinterestを使えば、「リッチピン」でウェブサイトとオーガニック投稿の情報を同期させることができる。これは、商品の価格や説明などのデータを頻繁に更新するブランドにとって便利だ。この機能によって、すべてのピンは自動的に最新で関連性のある状態に保たれる。

 

YouTube

YouTubeは、ショッピングを考える上ではすぐには思い浮かばないかもしれないが、動画を通じて商品を強調するための非常に優れた方法である。

 

ブランドは、動画の再生中にポップアップするリンクや情報を含む「カード」(あらかじめフォーマットが決められた通知)を使用したり、インフルエンサーが好んで言うように、「下部の概要欄にあるリンク」を利用することもできる。動画の下にあるこれらのセクションは、アフィリエイトリンクを含めるのに最適な場所でもあるのだ。

 

TikTok

現在、多くのブランドが注目しているプラットフォームがTikTokであり、急速にソーシャルコマースの場となりつつある。TikTokは、2019年に、ショッパブル投稿をテストし、2020年には、ショッパブル広告を本格展開して、ユーザーがアプリから離れることなく購入できるようにした。

 

TikTokのライブストリームショッピングは、中国で大成功を収めており、TikTokは、米国でも同機能を拡大しようとしている。

 

Shopify

Shopify は、eコマースブームの恩恵を受けており、ソーシャルコマースにも参入している。

 

Shopifyは先月、FacebookとInstagram上で販売を行うShopifyのマーチャント向けに、安全な決済プロセスである「ショップペイ」を使えるようにすると発表した。

 

結論

ソーシャルメディアとeコマースは、我々の生活において占める割合が増加し続けており、両者の境界線は曖昧になりつつある。ソーシャルプラットフォーム上でのコマースを垂直統合することで、顧客はソーシャルプラットフォームを離れることなく、見つけた商品を購入することができる。

 

ブランドにとって、ソーシャルコマースは、顧客が信頼する、確立されたプラットフォーム上で顧客を惹きつけ、収益の増加を意味する販売プロセス合理化の機会を提供する。

 

ソーシャルメディアは、顧客が家族や友人と過ごすソーシャルプラットフォームという場所で、簡単に買い物ができる機能を追加し続けている。ソーシャルメディアは新たなショッピングモールになりつつあるのだ。

 

 

※当記事は米国メディア「Ecommerce Times」の3/4公開の記事を翻訳・補足したものです。