今や多くのブランドが、Facebook傘下の写真動画アプリInstagram上に、収益の一部を引かれることなく出店できるようになっている

Instagram社は、2016年11月から20のブランドを対象に、買い物可能なオーガニック投稿(広告でないフィード上の通常投稿)のテストを行ったのち、いよいよ製品情報を持つ写真からブラウザ内でそのアイテムを購入できるという機能を追加する。更に、友人を写真にタグ付けするレベルの簡単なステップで商品を販売できるようにするセルフサービスツールを紹介した。

アパレルやジュエリー、美容などのブランドで、Facebookに製品カタログを載せた米国内企業は、本日(2017年3月21日)よりInstagram Shoppingの利用が可能になる。Instagramのセールスチームはこの機能を利用できるマーケッターを選定予定。カナダのShopifyやアメリカのBigCommerceなどの大手EC作成プラットフォームと連携し、多くのブランドを呼び込む見込みだ。「テスト段階と同様に、ブランドとInstagram間で手数料は発生せず、動画やカルーセル形式のように何枚も写真を投稿しなくても一枚の写真を投稿するだけで買い物ができるようになる」とInstagram社製品マーケティング部長Jim Squires氏は語る。

Instagramは、視覚的情報による訴求で写真共有アプリSnapchatとしのぎを削ると同時に、ピンボード風写真共有ウェブサイトPinterestの視覚的なショッピング領域にも進出。数か月前にPinterestが“Shop the Look”機能をデビューさせ、ブランドの投稿から注目商品の詳細情報を見られるようになると同時に、Instagramは手数料のかからないショッピング目的のタグ機能を有する“Instagram Shopping”の試験を開始していた。

このInstagram Shoppingを試用したLulu’sMacy’sWarby Parkerなどのブランドは、デジタル画面を通した閲覧者を自社の顧客に変える事ができることを確認。更に、商品売上の一部をInstagram社に手数料として払う必要もない。

ユーザーはInstagram上の購入可能な投稿をタップし価格などの商品情報を確認、“Shop now(今すぐ購入)”ボタンをタップすると、Instagramのブラウザ内でブランドサイトが開かれ、アプリから離れることなく購入手続きに進める。

 

 

Instagramのオーガニックショッピングにおける小売業者の製品写真とサイトのタグ付けの流れ

テストでは、平均19%の人が(商品を)タップし商品情報を見てからブランドサイトへのリンクに進んだ一方、購入可能な写真を提示された場合は商品ページへ進む確率がわずか4%にとどまった。Instagramでの買い物に興味のある人々の兆候と同じく、後者の統計は購入可能な投稿の目新しさが影響しているかもしれない。Instagramは試験期間が終わると、「ある写真がユーザーの画面上に何秒か表示されると、その写真に写る購入可能な商品に印をつけることでより注意を引くようにした」とSquires氏。彼は機能拡張がどれくらい多くの影響を与えたか、あるいはInstagramがブランドサイトでの売上に関する統計の開示はしていない。

写真を通じて買い物できるということをよりわかりやすくするため、ブランドが購入可能な写真をInstagramで簡単に作成できるようにする必要があった。テスト段階では、Instagramのエンジニアが手作業で製品情報を追加し、写真に“Shop Now”のリンクを貼る必要があったのだ。「テスト段階では、セルフサービスの要素はなかった。すべてがシステム内で手作業において行われ、投稿するマーケッターのために設定されていた」とSquires氏は続けた。

セルフサービス機能がないことで、ファッションサイトLulusのように、せっかく投稿写真から33%の自社サイトアクセスを獲得しても、その利用が制限されてしまうような事態が起きていた。Lulusのマーケティング担当副社長Noelle Sadler氏は「それぞれの“投稿”の全てに(購入可能にする)設定を行っていない主な理由は、Instagram社がまだセルフサービスツールを整備しておらず、それをする時間がかかりすぎるからだ」と語っていた。

現在では、ブランド自身で購入可能な投稿を作成するためのセルフサービスツールが開発され、間もなくInstagramのアプリ内で商品のタグ付けができるようになる。それは写真に友人をタグ付けするのと同じくらい簡単な方法だ。

テスト段階では、どのくらいの人数が製品情報を見るためにタップし自社サイトへ飛んだかなどのデータはInstagramに問い合わせなければ分からなかったが、数か月後には、セルフサービスの内部機能で、購入可能な投稿をチェックしている人数をブランド自身で把握できるようになる予定とのことである。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の3/21公開の記事を翻訳・補足したものです。