世界最大級のファーストフードチェーンMcDonald’s社は、モバイルでの注文や決済など、デジタル機能の充実を軸とした長期的、かつグローバルな成長戦略を立てている。
シカゴで行われた投資家に向けたイベントにて発表された同社の戦略。世界最大のファーストフードチェーンは、これからの成長にモバイルサービスが欠かせないと認識しているようだ。
「この二年で我々はビジネスの方向性を根本的に変えた。我々の価値観に基づき長期的成長と利益のために行った軌道修正で、勢いを加速していく」と話したMcDonald’sのCEO、Easterbrook氏。「我々が目指すのは、美味しくて心地よい時間を誰にでも提供する、より良いMcDonald’s。これを実現する事で、我々が外食分野のグローバルリーダーであることを再認識できると信じている」。
世界的成長の計画
以前より他の飲食チェーンやブランドなどはモバイルサービスに力を入れてきたが、McDonald’s社はしばらくの間、その動きを明らかに静観していた。
McDonald’sが数ヶ月間提供していたのは、簡素なモバイルサービスのみ。StarbucksやDomino’sなどが既に手掛けていたような注文サービス等の機能を備えていない簡単なものであった。しかし数か月前に状況は一変。McDonald’sがモバイル注文の事業実現に向け、既に試験運用の段階にあることを公式に発表したのだ。
事業の方向性がほぼ明らかになったMcDonald’s社。モバイルサービスの充実を、今後の継続的な成長の鍵と捉えているようだ。この計画の最初のステップは、デジタルやモバイルを最大限に利用することにより顧客満足度を高めること。投資家イベントでMcDonald’sは、この計画の動機の一つを、デジタルサービスで遅れを取った事により失われた顧客を他社から呼び戻すことだと認めている。McDonald’sがモバイルサービス事業に乗り出せば、こうした状況は変わっていくだろう。同社は2017年中に世界20,000店舗でモバイル注文サービスを取り入れていく計画だ。
モバイル注文サービス
創業から現在に至るまで、McDonald’sは常にファーストフード業界トップブランドの一つに君臨してきた。しかし、モバイルサービス分野では競合に遅れを取っている事は明らかであった。デリバリーサービスの実現化に関して言えば、UberEATSとの最近の提携によりMcDonald’s社のデリバリーサービスが試験段階であることが示唆されていたため、特に大きな衝撃はなかった。(続きを読む)
McDonald’sは期限限定商品のMcRibを提供する店を探すアプリなど、モバイルサービスとしてはユニークなものをいくつか提供してきた。(続きを読む)
しかし同社は、顧客はこうした機能を求めている訳ではないとし、代わりに、消費者の要求をより叶えるモバイルサービス事業へ方向修正。これはMcDonald’sの懸命な判断と言えるだろう。「継続的な成長を実現するには、より多くの顧客を獲得していく必要がある」とEasterbrook氏。「最大のチャンスは我がブランドの芯の部分にある。それは我々の提供するメニュー、価値、そしてお客様の満足だ」と話した。
※当記事は米国メディア「Mobile Commerce Daily」の3/3公開の記事を翻訳・補足したものです。