秋の始まりは9月23日といわれるが、実際のところ、9月第1月曜日のLabor Dayがほとんどの人にとっての秋の始まりといえるだろう。学校では新学期が始まり、少しず気候も変わり始める。そして、大いに愛され、それと同じくらいネタにされた「パンプキン・スパイス・ラテ(PSL)」が帰ってくる。

ロケーションインテリジェンス企業Gravy Analyticsによる実店舗での客足分析データから、この「パンプキン・スパイス・ラテ(PSL)」の事例を見ていこう。

 

15年前から販売

「パンプキン・スパイス・ラテ」は、2003年にStarbucksが最初に発売したフレーバーコーヒーで、15年もの間、市場に出回っている。その商品からは多くの商品が派生し、季節商品のサブジャンルの一つが誕生した。

食料品店でのパンプキンスパイスフードの陳列

 

「パンプキン・スパイス・ラテ」発売当初は、その目新しさから、常に新しい顧客を呼び込んだ。こうして、多くの人々にとってカフェイン入り飲料における秋の定番商品となった「パンプキン・スパイス・ラテ」であるが、Starbucksの売上と来店客数への効果は減少しているようだ

 

パンプキン・スパイス疲れか?

Gravyによる分析では、2018年の再販時には、このカロリーが高い定番商品「パンプキン・スパイス・ラテ」効果による来店者数の増加はみられなかったという。同社によると「1日当たりの来店者数は2%減少。また、『パンプキン・スパイス・ラテ』の発売後、顧客のStarbucksへの来店回数も特に増加はなかった。発売期間中、デバイスごとの1日あたりのサイト平均訪問数も横ばいだった」とのこと。

 

人々が特に関心を持たなくなったのか、単なるパンプキン・スパイス疲れ(PSF)が生じているのかはわからない。Starbucksの客足データに基づいて、米国のファストフードチェーンDunkinのような競合チェーンが発売するパンプキン・スパイス・ドリンクも、期待ほど売り上げが伸びないとGravyは推測している。

曜日別のStarbucksの客足データ(2018年7月15日~10月13日)

出典:Gravy Analytics(2019)

 

一方、Gravyが以前に実施した調査結果によると、アメリカのミートレス(動物の肉を使用しない)の食品テクノロジー企業Impossible Burgerのテスト販売に参加している米国のハンバーガーチェーンBurger Kingへの来店者数は、同メニュー導入により20%近く来店者数が増加。Burger Kingは、この来店者(および販売データ)数の増加を受け、2019年8月から、ミートレスバーガーの全米での取り扱いを開始した。

 

実店舗への客足分析データの活用

ロケーションデータには多くの用途がある。一般的なのは、オーディエンスセグメンテーションやオフライン属性への活用である。また、競合他社に関するインサイト獲得への利用も一般的になりつつある。しかし、もう一つの重要なユースケースは、商品テストだ。ロケーションデータは、ファストフードのメニューの決定に影響を及ぼすツールとして使うことができる。こういったケースでは、たとえばある商品を広範囲に導入する前に、ロケーションデータに基づいて来店者数の変化を調査することが可能だ。

 

「パンプキン・スパイス・ラテ」は、ロケーションデータを活用した顧客インサイト獲得の実用性を証明するわかりやすい例である。また、テストマーケティングおよび販売データは、これまで製品の実現可能性を判断するために使用されてきたが、ロケーションデータは、その製品にまだ市場訴求力があるのかどうかを判断するのに役立つのだ。

 

※当記事は米国メディア「Marketing Land」の9/3公開の記事を翻訳・補足したものです。